第三章 第三話 超特急トラルティールエクスプレス
ルミナリアたちは、大陸間移動の特急トラルティールエクスプレスに搭乗する。
魔法力動力を主機関とし、レールから浮上して磁気の引力・反発力で走る鉄道である。
これもまた、ライテスの「故郷」地球にいくつかあったリニアモーターカーを起源としている。
もっとも、「エルフ文明」にも存在していたらしい。
「やー・・・快適ね・・・車輪の音がしない・・・」
フローラは、車窓から景色を注視している。
「酔うわよ。」
ルミナリアは、駅で貸し出されたライトノベルを読んでいる。
「列車に初めて乗った子供じゃあるまいし・・・」
本の表紙を見ると、「ストーカー連続殺人事件」と書かれている。
どうやら、「ストーカー」ばかりを標的にする「快楽殺人鬼」が主人公のようだ。
「こんなん読んで楽しいの?」
「うん。」
かなりぶっとんだ性格である。
「おっ!」
最後のシーンは、自分を追ってきた刑事を撒き、警察本部に潜入。粉末化学爆薬と魔法爆弾の合成爆弾に極大の爆裂魔法で点火して自爆。殺伐とした内容である。
「すばらしいわ。反ストーカーの啓発小説としては、秀逸ね。」
珍しく、ルミナリアはにこにことしている。
「あたしゃ、アンタの感性を疑うわ。」
「一方的な恋愛感情は、殺意しか産まない・・・すばらしい・・・」
「怖いわ!」