第三章 第一話 超魔王伝説
「超魔王とは・・・ただ、力で上回っただけでは勝てぬ存在だ。」
「どういうことですか?」
ストリアの言葉を聞き、フローラは聞き返す。
「単純な「魔力」という点ではなく・・・もしかして・・・超魔王も・・・」
「そう。「悟り」だ。そなたらも薄々感じていると思うが、ライテス、ノワール二世、スサノオ、ヤマトタケル・・・彼らは「悟り」を開きつつある。だが・・・」
ストリアは、目を閉じる。
「人が悟ってはならぬものがある。「闇の悟り」だ。」
「まさか・・・大魔王の共通点は・・・」
「気付いたようだな。かつて、「ヴェイスト一派」は、覚醒せずとも近い位置にいた。だから「呑まれた」。これは、危険であるがゆえ、「神」さえも触れてはならぬもの。」
「言わば、ガン細胞のようですね・・・」
「さすがは、ルミナリア。うまいことを言う。」
ストリアは、ルミナリアの頭を撫でる。
「ガン細胞・・・ってなんですか?」
フローラが訪ねる。
「うむ。例えば、今でこそ、キティルハルムが伝える「複写機」や科学導師が開発した印刷機があるが、かつては、写本には手書きの手法が用いられていた。すると、誤字脱字が目立つ。生物の細胞分裂の際にも、「複写」と同様のメカニズムで遺伝情報をコピーがされるのだが、時として「誤字脱字」が生じる場合がある。これが肉体を蝕む病を「ガン」というのだ。」
「地球の医学知識ね・・・」
「地球で、口の悪い科学導師は、ガン細胞を寄生生物に見立てて、「悪性新生物」と呼んでいたそうよ。」
つまり、世界を人体に例えれば、彼らは性質の悪い病原体ということか。
「これをコアとして、剣を打て。さらに「鳥の魔女」に会え。」
「「鳥の魔女」・・・?」