第一章 第三話 運命の人
その日、僕はユーフェル様と組み手をやっていた。
「覇王十字剣!」
「なんの!一刀斬!」
さて、次はどう来る?
「火炎球!」
ならば・・・!
「護戦の女神よ!その盾を我に!至高の盾!」
僕の眼前に光の盾が現れ、炎をかき消す。
「ふう・・・『君の世界』の女神の術かい?」
「ええ。この世界の魔法の法則性を応用すればできるかと思って、やってみたらできました。」
「ふむ・・・君とは違うけど、似たことを考え、実行していった人がいた。」
「誰ですか?」
「二代目レイスト。レイスト・ティアムル。解呪なんか、当時誰も思いつかなかった。」
「えっ?解呪って、対象の術を解除するんじゃないんですか?」
「違う。『自分』のだ。最も、『血族』にまで効いてしまうが。」
「じゃあ、伝説に聞く『レイスト一族』の戦いでは凄いことになったでしょうね・・・」
「ああ。なったらしい。」
そのとき、突然、ライトブラウンの耳を持つ若い黄金騎士が飛び込んできた。
「殿下!王妃様がご出産されました!姫様です!」
「わかった!今行く!彼も連れていっていいか?」
「?はい。」
まさかこのとき、僕は、将来の妻に逢いに行くなどとは思いもしなかった。