第三章 勇者の資質?
風の塔。
この遺跡の最上階には、黄金竜(人型)のような男がいた。
「初めまして。ストリアという。」
「・・・!竜神の長・光竜ストリア!」
ニルスは、目を見開いた。
「誰です?」
フローラが訪ねる。
「この「星」の守護神が没する前に、人との間に生まれた、いわば最初の竜神だ。黄金竜の祖ともいわれる。」
「そうだ。そもそも、そこの「勇者」二人とも遠い血縁関係にもあるといえる。さて・・・勇者はどのようなものがふさわしい?」
「「資格があるのに、なりたくないと望む者!」」
ルミナリアとフローラが、異口同音に応える。
「うむ。その通り。全てがそうだとは限らんのだが、資格がありそう望む輩は私利利欲でそう考える者が多い。謙虚さが足りん。」
「卑屈って言われますが・・・」
「無欲って言われますが・・・」
「それでいい。」
ストリアの右手に、「気」のようなものが収束する。
「お・・・神波動・・・!」
ルミナリアが、声をあげた。
「知っていたか。恐らく、キティルハルムの女王や我々の他にこの力を知っていそうなのは、頻繁に「王立図書館」に行っている「ライテス卿」だけだ。娘であるそなたも、聞かされていたのだろう。」
むむ・・・と、気合を入れると、剣のような「塊」へと変わる。
「ぶ・・・物質化・・・!ラ・・・光流金属!」
「どこまで調べたのだ・・・そなたの父上は・・・」
ストリアは、呆れていた。ライテスの勤勉ぶりに・・・ルミナリアのオタクぶりに・・・
「・・・確か・・・「宇宙戦艦」の動力よね・・・魔法力よりもずっと巨大で、「神の力」と呼ばれる・・・」
「そう。神は、神波動を物質に換える。創造と破壊の竜も全て光流金属らしいわ。」
「ご名答。さて・・・それでもこれは、私の「もの」ではない。ある人物からの預かり物だ。」
「・・・かつての「風の勇者」の剣・・・」
「うむ。彼女らは、六つのそれを残した。後の五つは、「レイストの剣」「ヴェイストの剣」「炎のレイピア」「吹雪の弓」「世界樹の剣」に宿っている。」
「これは、言わば、剣の「魂」・・・」
「そうだ。」