第二章 第三話 レミナリア・ウズドガルド
「そうでしたか。では、やはりライテス卿はご賛同いただけなかったのですね?」
「うん。だめもとだったけど、だめだった。」
闇の中で、ルミナリアとそっくりな少女が、実験用マウス一号の報告を聞く。
「あれは、「前世の失敗を思う存分やり直し、世界を望むように変えたい。」という表情だった。自分勝手な意味ではなく、いい意味で。」
「傲慢ですのね。そんなの理想に過ぎないのに。」
「猫さんたちもそうだよ。「猫の司書」を名乗って好き放題だ。」
「狐さんたちもそう。近頃、トラルティールやキティルハルムに追いつかんばかりに発展している。」
「帝もそうだけど、東宮ヤマトタケルや将軍たちもね・・・短気だが文化人のオダ・ノブナガや人心掌握に長けたトヨトミ・ヒデヨシも要注意だ。」
「相手の理想を押し付けられることを嫌って孤立して、結果、理解されなくて・・・理解されることを拒んでいるのに、無理やり理解されようとして、まとわりつかれて・・・面倒ですわ・・・」
少女は立った。
「このウズドガルド「旧王家」当主・レミナリア・ウズドガルド・・・見ていてあげましょう。まずは、勇者ルミナリアと勇者フローラを。」
彼女こそ、「純血」のウズドガルド王家の最後の生き残りである。
レミナリア・ウズドガルド・・・
ついに、大魔王たちの「株主」として動き始めた。