第一章 第二話 列車の中で
「ツキの光に見捨てられ~♬何度も殴りあう~♬」
ルミナリアは、ウズドガルド行きの列車の中にいた。
周囲の騎士や、冒険者、家族連れがルミナリアを見ている。
一斉に、その視線がこう言っている。
『なんちゅう歌を歌っているのだ。』と。
「明石屋のアーチを抜けて~歩いてゆきましょ~♬私は花の子です~そして花粉症です~♬」
しかも、かなりの音痴である。
「・・・・・・」
随伴している、フローラは仏頂面である。
ちなみに、ルミナリアはかなりの美少女である。
「それ」を殺すマネをなぜするのか・・・
「モテたくない」のだ。
これ以上の注目は、いらない。
注目自体は、避けられない。
故、自然と、「引く」ように仕向ける。
父から教わった「処世術」だ。
「やめなさいよ。もてないわよ・・・」
「別にいい。」
グレイは、どこ吹く風である。
醒めている。
「それより仕事のほうが大事じゃない。そんな猿みたいな「獣理論」にはつきあってられないわ。」
「あんた・・・絶食系ねぇ・・・」
「肉食系のあんたよりはいい。ご先祖様が泣くわよ。」
「ルミィ・・・」
「理想は、絶食系彼氏よ。下手な肉食系よりうまくいきそう。父上は言ってた。一度絶食系と肉食系がつきあうと、絶対破綻するって。」
「お・・・叔父様って・・・」
前世、ひどい目にあったようである。
『次は、アルミニア・・・アルミニアです。お降りの方は・・・』
ルミナリアたちは、ウズドガルドで発展し始めている、アルミニアの駅で降りた。