第一章 第二話 カミングアウト
この世界では、街を創って生きている人々を総称して「人間」と呼んでいる。
「人間」「獣人族」「エルフ族」「ホビット族」「人魚族」「竜族」・・・
変り種には、「フェアリー」なんて妖精族なんかがいる。
三代目勇者である、エミアという人の母親の弟子だったらしい。
どうやら僕は、何代にも渡って強力な種族が合わさった「交雑種」と呼ばれる存在らしい。なにそのチート・・・
「しかし君・・・どうも「やってみたらできた」ってことが多いね。」
「えっ?」
「君は、博識のくせに、前へ出ない。そういう人間は長いこと前へ出る恐怖を知っていると聞いたぞ。」
「僕は、「自信がある。」と言い切る人間がい嫌いです。むしろ、「自信がないと自信を持って言える。」人間を信用します。なぜなら僕は、自信を持った人間に裏切られてきましたから。自分も含めてね・・・」
「そうか。君の哲学はわからない。が、その根幹の思想は、生まれて少しでできあがるものじゃない。それに、君の言っていることのいくらかは、「最初から」知っていたとみえる。「輪廻転生論」・・・事実だったか・・・」
「かなり昔の思想ですが、人間は修行のため、記憶を消去し、何度も生まれ変わっているとか・・・確証は無いものの、「前世」の記憶をもった者もいるとか・・・」
言った途端、ユーフェル様は、僕を指差した。
「君だよ。ティア女王という人の記述に、別の世界の事が書かれている。そういう伝説をまとめた魔術書がティアムル邸にあり、エミアという人の親友であることを理由に入り浸っては読み漁ったそうだ。それによると、基本的に魔法は存在しないが、錬金術や科学力が著しく発展し、なおかつ数百年数千年先の技術を民衆でさえも想定している世界があるとね・・・
僕は、君がそういう世界から転生してきたと見た。」
「・・・そうです。なんでわかったんですか?」
「君は、人との対応が同年代の人間より「慣れている」んだ。だからもしやと思った。」
「でも、秘密にしておいてください。」
「保身のためかい?」
「それもありますけど・・・大騒ぎになります。」
「わかった。「友として」の約束だ。」