第二章 第四話 眠り姫
ライテス一家は、またもユーフェルに呼び出された。
「ミリエールに報告が入った。旧ウズドガルド領で、エルフ帝国時代の遺跡が発見されたという。」
「この、トラルティール、イグドラシルシティ一帯は、「エルフ帝国時代」には「イグドラシア帝国」と呼ばれていた模様でありますが・・・」
「うん。キティルハルムからも、応援がくることになった。」
「ミスティ考古庁長官ですか?」
ルミナリアが尋ねた。
「彼女は、専門だからね。」
そこは、やたらと近代的な建築物だった。
「どうも、あらゆる魔法的・機械的な開錠を受け付けないのです。」
ミスティが言った。
「どういうことだ?」
言いつつ、ライテスが手を触れた。
「遺伝子ロック解除。魔法力ロック解除。「大帝アラン様」の御子孫のものと判明。扉を開きます。」
電子的な音声が響き、左右に扉が開く。
「どういうことだ?「大帝アラン」とは「大帝国」最後の大帝の名だが・・・」
まさかと、ライテスは思った。
様々な機械がある。
室内を見渡すと、モニターや操作端末があった。
中央に、人一人が入るカプセルがあった。
中を覗き込むと、一人の人狼の女性が眠っているようだった。
「これって、「冷凍睡眠」?」
エリーが言った。
「その可能性が高い。」
ライテスが、肯定する。
「「冷凍睡眠?」
ルミナリアが、尋ねる。
「人や生物を生きたまま「冷凍」することで、「冬眠」させるシステムです。恐らくこの女性は、なんらかの理由で、「眠って」いるようですね。」
「じゃあ、古代人?」
「ですね。」
ライテスは、端末を操作する。
モニターに、「冷凍睡眠オフ。蘇生作業に入ります。」と表示される。
程なくして、カプセルが開き、女性が身体を起した。
「・・・?一体、何年経ったのかしら・・・あなたは・・・魔女エレノラ様の使い魔ノワール!?」
「い・・・いいえっ!」
「目を悪くされたのですか?」
「もとからです!私は、ノワール初代女王陛下の子孫でミストリアと申します!」
ミスティは、まくしたてる。
「そういえば、ノワールさんにしては少し小さいような・・・」
「失礼。私は、トラルティール王国科学長官ライテス。あなたは、何者ですか?」
「あ・・・はい。大帝国に籍を置く報道記者滝川クリスタルと申します。」