第二章 第一話 生暖かい視線
「きゃははははは・・・なにコレ!?」
ある休日、朝起きて居間に行ったルミナリアは、なにやら馬鹿笑いしているエリーを見た。
隣にライテスがいる。
どうやら、前世のネタでもりあがっているようだ。
「ぶっ・・・ぷくくく・・・あ・・・ありえなくない?」
「いや、だからこそここでこうなって・・・」
「ちょ・・・『超バット召喚』?いや、死語でしょソレ!」
「ならば、『黄金バット』で。」
「『純金』の『バット』を召喚するってか!?く・・・くだらなくて笑える・・・」
何やってんだか・・・
十二年こんな感じである。
「おう!朝食は、そこにあるぞ!」
なんだか、世間一般の夫婦とは違う。
「それで、しらけた敵に冷気をまとった蹴りを食らわす。名づけて・・・」
「『ホワイトキック』!?あんたマジでやるから!」
現に、ブロンズ像と石像を召喚し、『仏像!銅像!』というのを考案していた。
地球の昔はやった曲の替え歌で、もりあがっていたこともあった。
「なんなんだ・・・この夫婦・・・」
ルミナリアは、少し遅い朝食をとる。
「昔からです。旦那様と奥様は、型にはまった夫婦ではございません。」
グレイが、共に朝食をとりながら言う。
「円満なくせして、ラブラブが似合わないカップルも他にはいないな・・・」
「左様で。他人がマネをすると、夫婦仲が破局します。」
「うーん・・・わかるなあ・・・「仮面夫婦騒動」の誤解って・・・」
なんだかんだ言って、肉体関係があるように見えない。
「両親に聞いたところ、「ボケ」をかました旦那様の横で、奥様が爆笑されていたとか。」
「これだよ・・・うちの両親は・・・これでも上級貴族と王族だもん・・・」
「普通、転生者はもっと怖い印象がありますが、親しみやすいのも事実です。」
「けど、親父ギャグばっか飛ばしてるけど?」
「『地球』でも、抑圧されていたのではないでしょうか。」
ルミナリアとグレイは、顔を見合わせた。
「お嬢様の、醒めた性格は、「コレ」なのでしょうか・・・」
ルミナリアは、その一言を聞かなかったことにする。
その一ヵ月後、ライテス夫妻は第二子妊娠となった。