第一章 第一話 叙勲
騎士学校卒業生・騎士隊希望者並びに、全王国騎士が、謁見室に集まった。
「今年より、以降の叙勲は、「トラルティール王国叙勲」となる!汝ら、王国に仕え、民の安全と平和のために戦うことを、よしとせよ!」
「「ははっ!」」
国王ユーフェルの宣言に、誓う騎士たち。
トラルティールの騎士に、男女はない。
種族もない。
代々、騎士の家系の者はいるが、出生の身分も問わない。
それこそが、トラルティア時代からの伝統であり、誇りである。
「まずは、新任の神聖騎士を呼びます。」
トラルティール女王・ウズドガルド大公・ミリエール・ウズドガルド・トラルティールが、宣言する。
「騎士団長レイスト・ライザ・ティアムル!」
一児の母だが、ティアムル家の当主としての風格と威厳を備えていた。
レイスト一族の一角を成す、ティアムル宗家の頭領である。
「ガルス・ヴァルシュタイン!クラシス・ヴァルシュタイン・ティアムル!ピーター・ネザーランドドワーフ!ロニス・ニアキス!そして、ライテス!」
ずらりと並ぶ神聖騎士の中で、異彩を放つ騎士が二人。
一人は、ロニス・ニアキスだ。
獣人なのだが、珍しい人狼と人猫の混血である。
ライテスは、近年話題の「万能の天才」である。
なぜか、日本刀と呼ばれる片刃の剣を差し、鎧の上に陣羽織のように白衣を着ている。
右肩に、黒いカラスが留っている。
覇気はあるが、溢れる風格を無理やり自分のなかに押し込んでいるようだ。
また、「科学長官」を兼任する科学導師でもある。
次に黄金騎士となり、白銀騎士となった。
「ルミナリア・ライテス!」
周囲が、ざわめいた。
なぜなら、ルミナリアこそ、話題の神聖騎士とトラルティア最後の姫の娘だからだ。
おまけに、国王夫妻をテロから護った実績もある。
「レイスト・フローラ・ティアムル!」
フローラは、ルミナリアの親友で、従姉でもある。
青銅騎士や、鋼鉄騎士の叙勲も終わり、叙勲式が終わった。
女王様の肩書き、長いです・・・