第四章 第四話 ルミナリア・ライテス
キティルハルムから、帰国後・・・
エリーは、身体の不調を訴えた。
深遠の図書館から、戻ってから、ノワール二世の好意で、旅行客御用達の高級宿に宿泊したが、差し入れと称して出された飲み物に、初代宰相秘伝の媚薬が混入されていたらしい。
そのまま、燃え上がってしまった。
「誰だ!」
がちゃり!
レッサーパンダの使い魔が、レーザーライフルを、その男へ向けた。
「僕は、ユーフェル・トラルティアだが、君のご主人にお目通り願いたい。」
「お・・・王太子殿下であられますか!ご無礼を。ささ・・・お通りくださいませ。」
「ぷ・・・わははははは!あれが、噂の「レーザーパンダ」か!さすが、君は面白いものをつくる!」
客間で、ユーフェルは、腹を抱えて笑っている。
「でしょ!で、ライテスのところにいるのが、ダニエル。私のところにいるのが、マリア。」
臨月に入り、出産を控えたエリーが紹介する。
「まったく・・・女王陛下に、「一服盛れ!」と指示されたでしょう・・・殿下。」
「まあね。」
「私にも、「性欲」はありますよ。失礼な・・・前世が前世だけに、互いにべたべたできないだけです。エリーも、そのようで、性欲処理がてら・・・と思っていたところでしたが・・・」
「それじゃあ、困る。帰国直後の「仮面夫婦」騒動を、忘れたわけじゃあるまい?君の機転とギャグで乗り切ったが。」
しかし、ライテスはジト目で、ユーフェルを見る。
「けど、殿下のところはどうなっています?」
「どうも、国民世論と主政派が、保守派を押さえているらしい。むずかしいところだよ。」
出産を控えた頃、キティルハルムから、人材が派遣されてきた。
エリーくらいの歳の、少女である。
ナース服のかわいい、人猫の少女だ。
「キティルハルム軍医隊指令ミア・キティルハルムです。奥方さまの主治医を陛下より承りました。」
「ん?キティルハルム・・・?あなたは、女王陛下の?」
「王太子殿下は、上の姉にあたります。下の姉は、図書館の騎士団・騎士団長夫人兼副官です。」
ライテスの質問に、ミアはにっこりと笑って答えた。
「こう申しますと、私が親の七光でこの地位を得たと思われるでしょうが、前年まで、このポストはなかったんです。」
ほどなく、ダニエル・マリアの両名から陣痛の報が入り、ミアに客間から締め出された。
どれくらい経っただろう・・・
この日、大きな産声が響きわたった。
命名・・・ルミナリア・ライテス
性別 女
時、同じくして、ティアムル邸でも跡取りが生まれていた。
命名・・・レイスト・フローラ・ティアムル
性別 女