第三章 第四話 潮時
「退きますよ。ウォルスト。チェスでも、キングがナイトに詰められた状態です。いわば、更にクイーンでなんとか誤魔化した状態。本当なら投了です。」
「フン!確かにそうだ。だが、グラデストという男はどうする?」
「捨てておきましょう。なに。「こちら」の「株主」になってくれる『人間』はまだまだいますよ。」
「そうだな。このライテスという男も切れ者だ。いくら一人で乗り込んできたとはいえ、まさか魔法探知機を独力で開発し、護衛対象に仕掛けているとはな。」
ウォルストとファレンは、かき消すように姿を消した。
「くそ!またキティルハルムへ行って来ないと!」
僕は、歯噛みした。
「キティルハルムって?」
「キティルハルムは、建国当初から、あらゆる技術が収められた「王立図書館」があります。「錬金術ギルド」本部があるのもここです。トラルティア、ラムンセン、イグドラシル・シティの支部は、それに継ぐ規模ですが。」
殿下と、一緒に行ったときは更にすごいものを見た。
繁栄を築いているが、のどかな都市は仮の姿。
一国を滅ぼした魔女と呼ばれる、初代女王の生まれ変わりとまで言われる現女王ノワール二世と深遠の図書館を有する恐るべき国・・・
それは、初代女王ノワールが、超魔王の復活に備えて建国したとさえいわれているのだ・・・
ノクターンのキティルハルム建国記と連動しているので、少し書きやすくなりました!