第八章 第三話 勇者たちと老師
そこには、ハイペリオンがいた。
「ほう・・・この老骨に、この人数でかかるか。」
シャルス、リーク、ミラが剣を構える。
「あなた・・・女性に対しての乱暴狼藉が、酷すぎますわ!」
「よく言うわ。お主は、間男ならぬ「間女」に男を自分にとっての邪魔者に勝手にされた覚えがないから、そう言えるのじゃ。そのあたり・・・ライテス一族と婿二人は、よくわきまえておるわ。」
「あんなできた連中と一緒にされちゃ困るな!」
「同感!」
「さて・・・ライテスが破壊した、「太陽光送電衛星」じゃが・・・お主たちが・・・もしくは後の者たちが作れるとして・・・「悪用」せなんだと言えるかの?」
シャルスたちは、沈黙する。
「すぐには答えを出せぬか。よい。あれほど、科学導師として優秀な者も、「古代」には存在せなんだ・・・「人間的」にもな・・・」
シャルスは、呪文を唱える。
「世界樹の雷!」
「むんッ!」
ハイペリオンは、磁場の障壁を張って防ぐ。
「電磁結界か。教科書どおりの防御だな。」
「そうそう・・・ライテスほどの科学導師なら・・・「核動力」を考案しているはずじゃが・・・」
ミラは、ライテスに教わった「原子理論」を思い出した。
「確か・・・森羅万象の物質は、分解していくと、やがて一つの「原子」という粒子に行き当たるとか。更に、コレを破壊することで引き起こされるのが、「核爆発」・・・その際に、放射能と呼ばれる呪いの波動が、放出されます。これは、「遺伝情報」を狂わせる呪いの波動です。故、ライテス卿は自国内でのあらゆる「核関連」の研究を禁止する法案を作成。ユーフェル陛下を通して議会に提出。賛成多数で可決されたと聞きます。」
「ほほお・・・」
「なにせ、「地球」では、唯一「核」を使用された国の民だったそうですから。」
「「火の雨が降り注ぎ、その後に黒い雨が降った」ってな。この黒い雨こそ、放射能を含んだ呪いの雨だったらしい。」
「詳細よのお・・・ワシらは、大型弾頭に使用せず、今の「シティエルフ」・・・アルテルンセンのエルフたちに対して銃火器の弾頭として使用したのじゃ。」
リークの瞳孔が、開いた。
「まさか・・・」
「ライテスも仮説に行き着いていよう。左様・・・現在のエルフィーラの民の先祖・・・「ライトエルフ」「ダークルフ」の出生率・寿命の低下は、被爆の影響よ。まあ、混血化によって免れたようじゃが。」