第三章 第一話 封印の解き方
「超魔王の封印・・・それは、二つの王家の血が混じりあうことで解ける。つまり、トラルティア王家とウズドガルド王家の間に子が生まれ、その血をもって・・・あるいは、両王家の血を儀式に使うことで解ける。」
そう言いつつ、一人の男が戸を開けて入ってきた。
「ウォルスト!・・・いや・・・ダイアレート!」
「おや・・・ご存知で。我が名はウォルスト・ティアムル。最もウォルスト・ダイアレートと言った方が通りがいいが。」
「大魔王がどうして生きているのよ!勇者エミアに倒されたはずでしょ!」
「フフフ・・・どうやら私は大魔王となったことで、超魔王様が滅びぬ限り、滅びぬようになったようだ。しかし、姫よ。なぜ私のことを知っていた?「存在」を知ってはいても、「そのもの」は誰も知らんはずだが・・・このグラデストという男を除いては。」
「ライテスの言うとおりだわ・・・こんな奴・・・伝説どおりなら誰も相手できない!」
「ライテス・・・レイスト一族の傍系で「転生者」か・・・かの世界は、私のような「落ちこぼれ」が多いとこの男から聞いたぞ・・・なるほどな・・・同族嫌悪というわけか。「せっかく何でもできる世界に生まれたのになぜ魔王になぞなったか?」というところか。」
どうやら、ウォルストは心理分析学に長けているようだ。
「それにだ・・・歴史を学ぶうち、「このような奴を倒すには、「レイスト」をぶつけてはだめだ。実力はともかく、心理戦で負ける。」と判断したのだろう。」
そのとき・・・
足音が響いてきた。
「ご名答だ。しかし、「同族嫌悪」とは言ってくれる。」
そこにいたのは、ニルスを連れたライテスだった。