第三章
「まさか、超魔王を復活させる生贄として、トラルティアの姫を誘拐してみれば、まさか君がそうだとは・・・一之瀬遙・・・」
地下迷宮の奥で、マントをまとった男が私と向き合っていた。
「その口調・・・秋宮洋介!あんたもこっちに転生してたの!?」
冗談じゃない!
こいつ・・・
前世で私を追い回したあげく、殺した男だ!
せっかく、転生先でいい男が許婚に、兄になったと思って安心した矢先にこれだ!
まったくツイてない!
おかげで私は、晩年度重なるこいつのストーキングのせいで職も家も失い、トラウマから恋心さえも失った!
「今の僕の名はグラデスト・ウズドガルド。ウズドガルドの宰相さ。ここ数千年以上、ウズドガルドと外界の経済差は、激しくてね。王家は開国派と鎖国派に分かれてるのさ。開国派は、どこか隣国に王位継承者たる第一王女を嫁がせて国を併合させようと言っている。」
「そうでなければ、おなかをすかせた国民を救えないからでしょ!国の体面と国民とどっちを取るのよ!その辺、ウチの初代王トラルティア様は、『立憲資本型民主王制』をとったあたり、立派よ!」
正直そう思う。
でなければ、トラルティアは世界の最先端をいく国になれなかったし、『レイスト一族』という偉人集団も生まれなかっただろう。
「そこで、『抵抗』を鎖国派はあきらめて、『封印』を解くことにした。」
ナヌ!?
なんと言った!?
「『ある人』が現れて言ったんだ。『だったら全部ぶっ壊せばいい』って!あれは、闇の大魔王だ。」
「まさか・・・人から産まれた魔王!」
「ご名答。」
「ライテスが、一番恐れていた奴だ・・・」