第六章 第五話 出撃!キング・ライル
「うーむ・・・」
本来は、この女王席に座るのは、女王であるノワール二世なのだが、代行として座っているのは王太子のキティ二世だった。
彼女は、翼が生えた猫神状態である。
「このような「兵器」か・・・」
キティ二世は、小瓶を取り出す。
ラベルには「キングコブラ・36時間ヤれるぜ!」と書かれている。
彼女は、錬金術師。
強烈な薬品を作ることで、定評がある。
過日、ファミールが述べていた合成樹脂と「火炎瓶」も、彼女の「作品」である。
「偉大なるライル二世にあやかったのは、失敗だったかなァ・・・」
ライル二世・・・
キティルハルムの建国者・ノワール女王の夫である、初代女王補佐官の名を継いだ、中興の王で、野心的な発明家と冒険家を兼ねる「初代国王」である。
ぐいっと、瓶のふたを開けようとしたところで、レアンに止められる。
「おやめください。あなた様は、そこまで「消耗」されておりません。」
ことあるごとに、彼女は「飲んで」は、母に小言を言われている。
それで「泣いて」いるのは、夫であるレアンなのだ。
「ま・・・いいわ・・・全速前進!目標・パスキール!」
キティ二世は、白いローブを翻した。
酒の替わりに飲んでいるのでしょうか・・・