第五章 第十一話 邪の三賢人
「ワシは、ハイペリオン。皆からは「老師」と呼ばれておる。」
「ミュウ・キルアレートよ。」
「ファルスだ。」
ルミナリアとファルフを先に行かせたものの、そうそうたる面子に勇者たちは、ごくりと生唾を飲んだ。
「さて・・・この世は狂っておる。なぜ、横恋慕なんぞで、妻子を殺されねばならぬのかのう。」
「真面目に働く人のお仕事を、邪魔するなんて許せないワケ!」
「へッ!研究ってのは神聖なモンだぜ!ライテスの野郎を見てりゃわかるだろうがよ!」
クソ真面目なバカ三人・・・
やりにくい・・・
「ようこそ・・・ルミナリア・トラルティア・・・」
「私はルミナリア・ライテスよ!」
ルミナリアは、目の前の少女を見た。
「あなたが、レミナリア・ウズドガルド・・・」
「そう。」
ファルフは、二人を見比べる。
「そっくりだ。」
「それはそうです。旧トラルティア王家と旧ウズドガルド王家はもとは一つ。」
妙だ・・・
ルミナリアは、ひっかかりを感じていた。
「「はッ!」」
二人は、同時に床を蹴った。
「!!」
ぽたり・・・
床に血が落ちる。
互いに手傷を与えた。
出血のわりに、傷は深くない。
「これは・・・」
ファルフは、おぼろげながら、これがどういうことかを理解し始めた。
ルミナリアの表情を見る。
焦っている。
明らかに互角。
しかし、僅差でルミナリアが僅かに上・・・
勝てそうな気がするが・・・
「ルミィも気付いている・・・?」
どういうことだろうかと考える・・・
トラルティア王家の血・・・
ウズドガルド王家の血・・・
「まさか!レミナリアはコレを狙って!」