第五章 第十話 聖魔剣士と従者
「しかし、このワシと戦おうと言うのが、おぬしらとはな。」
教皇エクシィル・・・
大魔皇エクシィルというべきか。
「あなたは、かつてアトランティアの皇帝が亡くなってから、その跡を継いだと聞く。恥ずかしくないのか?他人の国に侵攻したあげく、大魔王に成り下がって。」
エリスが、ヴェイストの剣を構えた。
「しかし・・・誰かに似ておるな・・・ま・・・まさか・・・「陰りのヴェイ」!」
「ようやく気付いたか。歴代のヴェイストは、「ヴェイ」の転生体。」
「がううう・・・神に仕える身ながらの自分勝手・・・許せません!」
エクシィルは、呪文を唱え、術を放つ。
「火炎十字!」
しかし、ヤンの術に止められていた。
「暗黒障壁。重力で攻撃の速度をゼロにする術です。」
「な・・・」
「世界から隔絶されていたので、わからないでしょうけど、「人間」みんななかよくしてます!「エルフ」だけが、偉いわけじゃないんです!」
「そう。我々は、示さなければならない。全てを捨て、一つを手に入れることの愚かさを・・・」
「全てを捨てず、一つを手に入れる幸せを!」
次の瞬間、エリスの姿は、黒い竜鳥に、ヤンの姿は翼を持つ姿に変わっていた。
「「暗黒竜鳥」・・・!「魔神犬」!」
ヤンは、印を結ぶ。
「ノワール女王が言った言葉を今僕が言います!「背教者はあなたです!」」
そのまま、術を放つ。
「暗黒雷撃!」
それを、エリスが剣で受ける。
「魔王破邪斬!」
エクシィルの身体は、斬られると同時に霧散した。