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「まずは“瑠璃の欠片”について話そうか。“瑠璃の欠片”が元あった場所は、僕の夜の庭にある“瑠璃の泉”なんだ。その名の通り“瑠璃”で作られた泉なんだけど、僕が大切にし過ぎたせいで影響を受けちゃってね、でも悪いことではないんだよ。ただただ穏やかに宇宙を写し出し、照らすんだ。とても綺麗なんだよ。で、幼い青蓮を助けてくれた神人に、お礼として僕の大切にしている“瑠璃の泉の欠片”をあげた。とびきり綺麗なやつだったんだ。でもさ、青蓮がお茶目な事しちゃっただろ? “瑠璃の欠片”は怒っちゃってね、青蓮のことを嫌いになっちゃったみたいなんだ。だけどただの石になっちゃった欠片は何の力も無かったんだけどね」
はふっと天帝がたまった息を吐き出した。
「ただの石にされた“瑠璃の欠片”は、まずは早くもとの姿に戻りたいと願う方が強くて、途中から青蓮への嫌悪感なんて忘れてたみたい。それに、僕らが今いるこっち側では起きているんだけど、人の世に瑠璃ちゃんが戻るとそのまま眠りにつくんだ。だからあまり心配はしてなかった。ただ、元の姿に近づけば近づくほど“瑠璃の泉”への想いも強くなってね、寝ている間に夢を見るようになった。そこで僕は考えた。“瑠璃の泉”に入れちゃおうって。瑠璃ちゃんが現世へ戻る直前のルートに“瑠璃の泉”を組み込んだんだ。目論みは大成功でね、欠片は安心して眠りについていた。だから、本当は瑠璃ちゃんの記憶を引き継がせないなんて事は不要だったのかもしれないんだけど、念には念を入れてね、何かの拍子で思い出して起きちゃうか分からないし。“瑠璃の泉”に入る事、イコール、記憶を封じるという式にした。リセットは瑠璃ちゃんが眠ってコッチに来た時には全て解放して元通り、って訳だ」
一旦話を区切り、天帝が皆の顔を見渡した。
「で、今回、青蓮が“瑠璃の泉”へのルートを変えた事で記憶が封じられなくなり、きっと瑠璃ちゃんは全てを覚えているままに覚醒したはずだ。そこまでは問題ない。欠片は寝ていたからね。問題はその指輪だね。青蓮の名を模した“瑠璃の指輪”、且つ恐らく青蓮は瑠璃ちゃんの指に嵌める前、自分の力を注ぎ込んだだろう?」
青蓮は天帝を見ながらゆっくり頷いた。
「指輪を瑠璃ちゃんが嵌めた途端、僕の力だけだったところに青蓮の力と眷属の石の影響を受けて目覚め、“瑠璃の欠片”は思い出したんだ。自分を石に変えた青蓮のことが嫌いだってこと。自分の仲間である“瑠璃の指輪”が青蓮の名を模していて力を帯びている、許せないってね。そして目覚めた欠片は自分が“瑠璃の泉”から遠く離れてしまっている状況を理解し、青蓮の影響下から脱して早く戻りたいと願った結果、瑠璃ちゃんの中で大暴れしてしまったんだね。青蓮は瑠璃ちゃんの中にあるものを取り出そうとしたけど掴めなかったのは、欠片が、嫌っている青蓮に二度と触れさせまいとした結果だね。大昔に青蓮が作った原因が元で今になって返って来た。しかも直接の原因である青蓮ではなく、青蓮が恐らく自分の命よりも大事だと思っている瑠璃ちゃんが傷つく結果になった。青蓮も分かっただろうけど、自分の最も大切なものが傷つけられるほど辛いことはない。後々の事もよくよく考えて行動しないとね。わかったかな?」
天帝はまるで幼い子に諭すように話して聞かせてくれた。そして、やはりわたしはあの時、死にかけていたんだと、だから暗闇の中に一人いたのだと理解した。
「さてと、これで全部かな。さぁ質問のある人は手を挙げてー!」
「・・・」
話の内容と天帝のテンションの温度差に違和感はあるものの、これといって質問はなかく、沈黙してしまう。それは他の人達も同じようで、青蓮に至っては天帝を冷ややかな目で見ている始末。
「や、やだなぁ、青蓮。そんな目で見るんじゃ無いぞ。パパだって頑張ったんだぞ。っていうか、青蓮がアホな事ばっかするからフォローして回ってたのに」
「父上、それについては深く感謝いたします。ですが、なぜ“瑠璃の欠片”が完全に戻った時に、すぐに取り出して下さらなかったのですか」
「え? ああ、それはだねー、その方が面白いと思っただけで、他意はないぞ」
「それだけで十分です。・・・瑠璃の命を何だと思っていらっしゃるんですか!」
テヘペロで乗り切ろうと思っていたらしい天帝に、珍しく青蓮が憤って食って掛かった。
「そこはそれ、お前の対応能力を見たいと思ってたからね。ギリギリまでとっておいたの」
「ギリギリ過ぎます! そもそも私への試練ならなぜ私自身へ課されないのですか! 瑠璃は全くの巻き添えではありませぬか!」
「ほほほ。青蓮ったら紅蓮や紫蓮にしたみたいに、お父様もコテンパンにやっつけそうな勢いね。構わないけどねぇ」
ああー、そういうこともあったなぁと思い出した。
兄弟姉妹のいないわたしは当然兄弟喧嘩なんてしたことないが、あれはさすがに兄弟喧嘩の範疇を超えていたんじゃないかなと思っていた。しかし、母親である神妃がおおらかに笑っているのを見ると、この兄弟にとっては普通なのかもしれない。
とまぁ、わたしが呑気にそんなことを思い出していた間、青蓮は神妃の言葉に更に頭に血が上ったようだ。
「母上。笑い事ではございません。紅蓮も紫蓮も自由すぎるのです! いえ、今はそんな事よりも、そもそも父上を止められるのは母上だけではありませんか」
「まぁね。確かに今回はちょっとタイミングが悪かったものね。そこは反省しているわ。ゴメンナサイ」
こちらもペロリと舌を出している。放っておけば、このまま永遠と青蓮は怒り続けているに違いない。グッと握りしめている青蓮の手を両手で包み込みこちらへと視線を向けさせる。
「青蓮、もうそのくらいで。わたしは、ほら、この通り元通りなの。済んだ事よ。それよりも今後の事を考えましょう。あなたは今後、どうしたいの?」
そう問えば、目を三角にして怒っていた青蓮が、ようやく穏やかな顔に戻り両手でわたしの顔を包み込みコツンと額を合わせた。そしてひどく優しい声色で「瑠璃のしたいように」と言う。
「それじゃ、話合いにならないわ。わたしはあなたの意見が聞きたいのよ。お願い、聞かせて」
「瑠璃・・・ああ、瑠璃・・・かわいい、かわいすぎる。この場で食べたいくらいだ」
顔だけでは足りなかったようで、グイグイ抱きしめられた上に盛大にスリスリをされている。
「ほほほ、そんな事すると、あなたのお父様と同じよ。おほほ」
ピク。神妃の言葉に青蓮が激しく動揺を見せた。
「同じ?」
「ええ、そうよ。この人はね、求婚をすっとばして寝込みを襲いに来たんだから。それで私のお父様が怒り心頭で暫く出禁になったのよね」
ほぉっと懐かしい思い出でも話すかのように神妃が微笑んでいる。その一方で、面白くらいにしどろもどろで大慌てをしているのは天帝だった。
「え〜っと? むー、昔昔の大昔、太古のその前の大昔かな? そんな事があったような無かったようなぁ・・・最近はそんな昔のことなど、とんと思い出せんなー。歳かなー。あははー。むむむむー」
うんうんと唸ってみせているが、絶対に覚えているに違いない。その辺り、青蓮も見抜いているようで、冷たいを通り越して呆れた目で自分の父親を見ている。
「父上。そんな最低な事をなさったのですか。母上もよくもそんな父上に嫁がれましたね」
「あら、だって好きになっちゃったんだもの。仕方ないわ。一目惚れっていうのかしらね。いえ、あの時は顔は見えなかったから、でも、ちゃんと分かったもの。この人が旦那様になる人だって」
あっけらかん、と呑気に神妃が答えた。
「・・・よく、お爺様はお許しになられましたね」
よく見ると青蓮の米神がピクピク動いているのが見える。そこをそっと撫でてあげると、一瞬目元が緩まり、わたしの手をとると手首に口づけを返してくれた。
「まぁ寝込みを襲われたと知られた時にはかなり怒ってましたよ。お義父様に追放しろって度々訴えていました。あなた、そうでしたわよね? だから、だったら私も行きます、と言って駄駄をこねてみたの。それが功を奏したのかどうか分からないけど、追放しろとは言わなくなったわ。ね、あなた?」
「父上・・・最悪ですね」
表情を作るのも面倒臭くなったのか、というより、最大の呆れ顔というのか、デフォルトな無表情をしている。
「仕方ないだろう。誰にも取られたくなかったんだよ。若気の至り。先手必勝。ってね。・・・駄目?」
またしてもテヘペロきた。顔が良ければ何でも許されると思ったら大間違いだというのを実感する。
「やり方が駄目です」
「まぁまぁ、そう怒らないで青蓮。その時に身籠ったのがあなたなのよ。あなたが宿ってくれたからお爺様も結婚をお許しになったのだし。可愛がってもらったでしょ?」
「確かに可愛がってもらいましたが・・・だから何だと言うのですか。父上のことを甘やかさないで下さい」
青蓮は例え母親であっても手を抜く事は無いようだ。実に頼もしい。
「大丈夫よ。この人が甘いのは私にだけだから。でもほら、それでもあなたが心を失った時、どんなにお願いしてもそれだけはキッパリ突っぱねられました。厳しい時には厳しいのです。良いではありませんか。あまり目くじらを立てないでちょうだい、瑠璃ちゃんにドン引きされても知らないわよ」
「瑠璃は大丈夫です。私は夫としてきちんとしますから」
「堅いよねー、ほんと。これが本当に僕の息子だってんだから驚きだよ」
「あなたではなく私に似たのです。あなたに似たら手におえません。紅蓮だって紫蓮だってそうです。まあ・・・二人とも瑠璃ちゃんを襲ったのはあなた似ですけど」
「何だかグサッと来るよね。でも、許せるんだよね。これが愛ってもんだよ」
妙に人間臭い天帝だなぁと感じるが、きっと人が天帝に似たんだろうと思う。しかし、こんなところで青蓮のご両親の馴れ初めを知る事になるとは・・・きっと青蓮も初めて聞く話だと思う。だからこそ、この激しいツッコミのオンパレード。
わたしたちとそんなに変わらないんだなと思うと、とても身近な存在に感じる。だけど、そうなると、この人達ってどういう存在なんだろうと疑問が湧いて来る。
「何だか不思議そうな顔をしているね瑠璃ちゃん、何か質問でも? もう義親子なんだから遠慮せずに何でも聞いていいよ」
割と細かい気遣いを見せる天帝に、甘えてみる事にした。
「あの、今のお話を伺って疑問があるのです。お義父様方はどのような存在なのでしょうか? 創造主だというのはわかるのですが・・・」
「そうだね。理解してもらおうとは思っていないんだけど、聞いてくれる?」
「はい」
神妃がそっと天帝に手を重ね優しく微笑んだ。まるでエールを送っているかのようだ。
「僕らはね、なかなか死ぬ事が出来ない種族なんだよ。だからとても寿命が長い。君たちヒトからすれば気の遠くなるという言葉がピッタリかな。きっとこの太陽が数回燃え尽きても僕らは死なないんだ」
天帝が何やら水盤のようなものを取り出し、そこに宇宙を写し出した。平面ではなく立体的に全宇宙が広がっているのが見える。まるで“瑠璃”のように見える。
「僕らはこうやって世界を見ている。僕の創った世界の特徴はね、立体的に沢山星を作り、それぞれに条件を与え、同時に全く違う状態を作り出したんだ。僕の父親の世界は平面だった。それはそれで面白いんだ。パラレルな構造だったなぁ。懐かしいねぇ」
どうやら作り手次第で、それぞれ世界の仕組みが違うようだ。
「僕らはたまたまこの地球にいるけど、地球から見たこの先の先の先にある星達も見守っているんだよ。というか全部だね」
「地球と同じように生命体が住む星があるのですか?」
そう質問すると一つの星がフォーカスされたかと思うとググッと写し出され、そこに息づく生命体を見せてくれた。わたし達とは違う形の知的生命体だそうだ。
「あるよ。結構な数になるけど、一つ一つはものすごーく遠いからね、そうそう簡単に互いに干渉しないようにしてある。せっかく一つの世界で全く違うものがあるのにミックスしちゃうと面白くないしね。僕から見たらね」
天帝の説明に写し出されている生命体に目を奪われる。父も同じようでとても興味深そうにしている。
「面白い? ここの子達はね地球で生まれた君たちとは違う能力ができた。だけど、平均寿命が短い。太く短く生きるのがこの子達だよ。とても平和的な子達でね、この星は色んな意味で豊かなんだ。星全体が素晴らしい調和を保っている。当初は僕らはココの星に行く予定だったんだけど、遊び心でこのスティックをね、こうやって立てて指を離したら、ころんと転がって地球を指したんでコッチにきたんだ」
「では、わたしと青蓮が出会わない可能性もあったと」
「そうだね。本当にたまたまってことだね」
何でも無いかのように淡々と話す天帝に、わたしは複雑な思いを胸に秘め凝視した。下手をしたら自分の知らないところの話だけど、青蓮に会えなかったのだ。わたしの心を知ってか知らずか、再び淡々と天帝は話し始める。
「僕らが長くいるところの星の知的生命体は自然と僕らに似て来るんだよね。だから、ひょっとすると地球の生命体が、こっちの星の子達のような姿だったかもしれないね」
「どうして・・・、どうしてそうなるのでしょうか」
「単純明快。子ども達のお嫁さん探しの為だね。面白いんだけど僕の奥さんも僕の父の作った世界に産まれたヒトなんだよ。僕と結婚して同じ種族になってしまったんだけどね。で、この息子は僕の創った世界に生まれた瑠璃ちゃんをお嫁さんにしたね。だから、君たちも、君たちの子どものために世界を創らないとね。要するにだ、この世界は僕の巣なんだ。この世界全体が僕と僕の奥さんと子ども達の家で、その中で子ども達を教育して育てあげる。その子ども達はそこで伴侶を得て巣立って行くんだよ」
時間の縮尺は違うけど、この人達もまたわたしたちと同じ営みを持っているんだと心の緊張が解きほぐれた。わたし達がこの人達に似たから、というのが正解なのだけれど、どうしても自分の視点から見てしまいがちになる。
「ふむ。でも今回は青蓮が新しい世界を創って出て行っても、孫や子孫が残るし、そう言う意味では僕らにとってこの星は特別なモノになった。本当は子ども達が全員片付いたら別の世界を創って移り住もうかと思っていたけど、少し考えようかな」
天帝の隣で神妃が嬉しそうにうんうんと頷いている。
ここで単純な質問をしてみた。
「お義父様のお創りになったこの世界と、お義祖父様の世界との行き来は可能なのですか?」
「異世界を渡れるのは僕たちに限られるけどそう言う意味では可能だよ。親戚の家に遊びに行く感じだし。現に、じーさんも時々こっちに顔を出したりしてるよ。ひいじーさんもそのまたじーさん達も時々やってくるし。いやぁみんな若作りでね、本当に詐欺だよね詐欺、あっはっは」
こっそり神妃から「あなたもです」と言われていたけど笑って誤摩化している。
「でもね、僕らが死んだらこの世界も消滅するんだ。これは決まり。僕らが世界を創る時に最初に決める決まりだ。僕の創った世界に誕生したヒトがどんなに異世界に行きたいと思っても移してあげられない」
ま、星が産まれて消滅しても僕らの方が全然寿命長いんだけどねー、あははー、とケラケラ笑っている。
「瑠璃ちゃん、覚悟なんて特別なことは要らないんだけど、青蓮の事、宜しく頼むね」
天帝と神妃がふたりでこちらを和やかな顔で見ているが、こうしているとわたし達と変わらない。その隣にわたしの父と母が並んで同じようにしていても全く違和感がない。でも全然寿命が違う種族といのは事実で、わたしもたった今、足を踏み入れたのだ。
「瑠璃。大丈夫か? 不安になったか?」
そういう青蓮の方が不安がっているようで、あべこべな感じがしてそれもまた不思議だ。青蓮の不安の原因が何なのかは理解している。わたしがそういうのは嫌だと言って否定するのが怖いんだと思う。でも、安心して。
「わたしはあなたがいれば良い。あなたの側にいて、あなたと同じモノを見たいの。だからわたしを一人にしないでね」
「しない。する筈が無い・・・離しはしない」
感情をおさえられないといった様子で青蓮がわたしを抱きしめた。そして
「父上方、母上、所用を思い出しましたので私と瑠璃はこれにて失礼します」
青蓮がそう言うなり、一瞬で青蓮の宮にある寝所に戻ってしまった。戻る直前、ぽかんとした天帝と父の顔、まぁと言って目を輝かせていた神妃の顔が見えた。今頃なんと言われているのか想像するだけで身悶えるが、すぐに、そういう考えに至れないほど、青蓮に翻弄される事になった。
*** ***
「しっかし青蓮のやつ、すごい勢いで帰って行ったなー」
「ほほほほ。新婚さんですものねー」
「え?・・・ということは、所用っていうのは」
「まぁ、あまり深く考えるな。早く孫の顔が見られるかもしれないんだぞ」
「楽しみですわね。青蓮に似て無表情な子にならないかが心配ですけど」
「・・・複雑です。非常に複雑な思いです」
「あははは。理一郎、自分が新婚の時の事を思い出せ。それと同じだ」
「ぐ・・・」
「ほほぅ、理一郎も頑張った口か。頼もしいな。青蓮も頑張るぞ」
「やめて下さい。想像したくないのです。娘はいつまでも清らかだと思い込んでいた自分が恨めしい。娘をもった父親ってのは非常にセンシィティブなのですよ」
「焼き餅か。焼き餅だな。ならば細君に慰めてもらえば良い。もともとは其方達二人が協力した結果なのだからな」
「もうあんな体力はありません。ふぅ・・・ですが、あちらの界では婚約すら発表しておりません。このまま妊娠してしまうのはちょっと・・・」
「心配するな。週明けに公表すれば良いだけだ。心の準備はしておけよ」
「はい。それは大丈夫です。あの、こちら側では何もしなくても良いのでしょうか?」
「ああ、構わんよ。青蓮が我らに宣言したことで婚姻は成った。安心していい。面倒なのはヒトの世界よ。どうしてこう面倒な事をするようになったのだろうのぅ。ま、それがまた面白い事ではある。せいぜい楽しもうぞ。では明日は其方の藤花も加えて今後の『打ち合わせ』をしようか。祝い酒を飲みながらな」
打ち合わせがメインなのか、飲むのがメインなのかは定かではないが、何にせよ子を持つ親同士種族が違えど子の幸せを望むのは同じこと。明日はせいぜい楽しもうと理一郎は思った。




