10
蓮の協力のお陰で夏期休暇をフルで使う事無く、蔵の片付けが終わった。
埃が無くなり、すっかり入れ替わった蔵の中の空気は淀みがなくなった。こざっぱりとした蔵に元々入っていた物を戻し終え、シャワーを浴びて汗を流した後、私たち二人は蔵の中を見て回っている。
少し欠けたりしている古い木の箱が所狭しと収まっているが、幸いにも中に入っていた細かな品々は専用の箱に入っていたため完全な姿を留めていたのには胸を撫で下ろした。
収蔵物の大半は小物類で、我が家の女主達が使っていたと思われる。時々、何に使うのか分からないものもあったが、ネットで調べると、半分くらいは似ているものがほかにも存在している事がわかったが、どうしても分からないものもある。当時も一般的で無かったものかもしれない。その内の幾つかは、明らかに日用品ではないと分かる物もあった。
「考えたんだけど、同じものでなくとも似たようなものが蓮のお家に有るかもしれない」
「ふむ、可能性はあるな」
「いつか互いのDBを照らし合わせて見ましょうか? なにか面白い事が分かったりして」
「まあそうだな。やってみようか」
それは竹崎サンの作業が終わったらやろうということになった。・・・一体いつになるのだろう、というのはここでは言ってはいけない。私が一旦お手伝いを終了した時点でまだ四分の一程だったのだから。
そして、当然全ての収蔵物は撮影しておりPCの中で保管しているから、特に取り出す理由もなければきっとこのまま時代を渡っていくのだと思う。
「蓮、ありがとうございました。蓮の協力がなかったらこんなに早く、綺麗に出来なかったわ」
改めて、隣に居た蓮にこれまでのお礼を言った。
「どういたしまして」
蓮はにっこり微笑むと私の言葉を受け止めてくれた。
「お礼をしたいんだけど何か欲しいものとか、食べたいものとかあったら教えて」
「ある」
蓮は爽やかな笑みを浮かべて即答した。
「遠慮はいらないわよ。夏のボーナスも入ったしね」
ここで使わなければ、基本的にはあまり使う予定の無いお金なので、私の口座の中で眠り続けるだろう。
「ふむ。お金がかかる様なものでもない。だが・・・欲しいと言えば、本当にくれるのだろうか?」
珍しく疑いつつ蓮は私を見ている。そんなに信用ないかしらと思うが、何となく蓮が欲しがりそうなモノに一つだけ思い当たった。
「えっとぉ・・・私の財力では何でもと言う訳にはいかないけれど、まぁ、出来る限り頑張るわよ、うん」
思い当たったモノを少しばかり頭の片隅に押しやり、できれば物で解決したいなぁと思う。それでも、会社員で相応のものしか貰っていないだけに上限は自然と決まってくるので少々申し訳なく感じながら、蓮の回答を待つ。
「そうか。ならば瑠璃が欲しい」
「やはりそうきたか。本当にぶれないわね蓮は」
「瑠璃以外欲しいものはないからな」
全く情慾等ひとかけらも持ち合わせていない様な爽やかな表情と声色で答えているが、それは外見だけだということを私は知っている。何故なら、つい最近危うく貞操の危機の目にあったから。
「他に無いの?」
「無い」
何度聞いてもきっとこの答えしか返って来ないのは火を見るより明らかだった。でも、幾ら蓮の事を好きになっているとは言え、やはり早々にそういう関係になるのは気が進まない。
「うんとー・・・困ったわね。ほんと物好きね。私のどこがいいのかしらねー?」
蓮のぶれなさっぷりに呆れるのを通り越して感心する。
「心外だな。人を好きになるのに何か理由が要るのか? 強いて理由をつけるのならば、瑠璃だからだ」
大真面目に答える蓮に、こちらが居たたまれなくなる。そして、ほんのり心が躍るのも今となっては仕方が無い。
「ありがと。あーあー、恋愛すると変わるって本当なのかも。少し前までだったら『なに言ってんのこの人』って思っていたはずよ」
そう、ほんの少し前までの私だったら、かなり冷めた目で見ていただろうな。とにかく煩わしい事になるのだけは嫌だったし。何より、面倒くさいのは嫌いだ。
「今は? 今はどうなんだ?」
子犬がご褒美を期待して待っているように、蓮の瞳がキラキラと期待に溢れている。
「今はーーー『嬉しい』かな。私の事を条件付きで見ない人って居なかったもの。そう言えば、蓮は私の家族の事は知っているの? 調べたりした?」
「いや、知らないし、調べても居ない」
そんなものは興味は無いとでも言うように即答された。
「そう・・・。何だろう、蓮だからかな。多分嘘は言ってないって感じる。本当に調べていないんだろうなって。無条件に私の事だけって」
「初めからそう言っているだろう? 瑠璃が歯ぎしりしていようと、寝相が悪かろうと私は構わないんだ。瑠璃だから」
今、さらりと蓮の口から出た言葉に焦った。この二週間は一緒にお昼寝をしている仲だ、蓮の言葉が冗談とは思えない。
「ちょっと、ちょっと待ってよ! 私、歯ぎしりしているの? そんなに寝相が悪いの?」
「今更何を焦っている? 毎日一緒に寝ていたのに」
すごく真面目な顔で見返されるのがいたたまれない。
「こ、答えになっていません」
「そうだな、歯ぎしりは時々してる。ああそういえば、この前、はとこ? だったか、それが来た後あたりが一番大きな音をしていた。寝相はかわいいものだ。少しばかり転げ回りすぎるので私が抱えて寝ている」
「そ、それ、本当に? やだもぅ。ますます嫁の貰い手が無くなるわ」
ひえーん。もうすぐ30歳なのに、寝相の悪いのは子どもの頃だけだと思っていたのに、加えて、歯ぎしりも本当にしているとは!!! どうやって治せばいいの!
「安心しろ無くならない。もう決まっている。私が瑠璃の夫になるのだから」
「蓮ってばよくそういう恥ずかしい言葉を淡々と言えますね」
「事実だからな」
うー。このまま蓮に巻かれてしまうのもありかも、と思ってしまう自分が怖い。
「そうなの? まぁいいわ。とりあえず、蓮へのお礼は私が考えます、それでいいかしら?」
「ああそれでいい」
「後で違うなんて文句は受け付けませんからね」
「言わない」
「OK、じゃもう母屋に戻りましょう」
ちょっとだけ勇気を出して、蓮の手を握り私が先頭に立って蔵から出た。
「鍵はしっかりしておかないと。最近、怖いからね」
あの人達がどういう意図でうちに近づいているのかも分からないし、先祖代々受け継いで来た物を横から持って行かれるのは嫌だった。
「瑠璃、その鍵を私に」
「はいどうぞ、どうするの?」
手渡したアンティークのような鍵を手に持つと何やらおまじないでもしているかのようにゴニョゴニョと口を動かしている。
「瑠璃、この鍵を持って、そう、そして一緒に鍵をかけよう」
私の手の上から蓮の大きな手が被さり、二人でこれまたアンティークでこれ見よがしな錠前に鍵をかけた。カチャリと施錠された瞬間、一瞬、何かが見えた気がした。ほんの一瞬のことで瞬きをする暇もなかったくらいだったが、青白い光のような、淡い色だが強い光を放っていたようなとでも表現すべきかーーーそんなようなものが見えた気がした。
「静電気? 何か光らなかった?」
蓮も見ていないかと期待をして聞いてみたが、蓮の答えは素っ気なかった。
「そうか? ・・・これでいい。これでこの鍵は開かない。私と瑠璃を除いては幾らこの鍵をもってしても開ける事はできない」
「そ、そお? 何かのおまじない? でも、そうよね、気持ちは大事だから、絶対に開かないようにって私もお願いするわ」
蓮のおまじないに乗っかろう、と言えばなぜだか折角の美形が引きつっている。
「(これ以上強力な物は要らないのだが、)瑠璃がそうしたいのであれば願うと良い。きっとそうなる」
「うん。私と蓮以外の人がこの鍵を使っても開きませんように。中の物が盗まれませんように。これでよし」
「・・・更に強まったか。さすがだな。では、戻ろう。義母上がお待ちだろう」
時々、蓮には何かが見えているんじゃないのかなと思う。不思議な事を言うし、今だって視点がどこを見ていたのか良くわからなかったし、蓮、貴方は一体何を見ているのでしょうか。
その日の夜、蓮へのお礼をどうしようかと両親に相談をしてみた。すると、母は妙案とばかりに胸を張って発言する。
「まだ夏休みは残っているんでしょ? 一緒に過ごしたら良いじゃない。ね、あなた」
「そうだな。折角だから泊まりでどこか旅行にでもい・・」
父も母に同意をしたが、最後まで言う前に母に遮られてしまった。
「あなた! それは駄目です。まだ結婚していないんですからね」
「だけど、蓮君だって男だぞ。いくら何でも我慢させ過ぎじゃないのか。お昼寝の時もただ一緒に寝ていただけだっていうじゃないか。男には我慢の限界というのがある」
父よ。明け透けな事を娘の前で言うのは控えていただきたいのですが、と思うのだが父と母の応酬に割って入る勇気もないのでただただ決着がつくのを待っている。
「あなたは瑠璃が弄ばれて捨てられるのを黙ってみていろと仰るの?」
「そんなことは言ってない。一般論だ」
「男の人の性は存じません。いいですかよく考えて下さい。もし結婚前にそんな関係になったとして、先々別れる様な事にでもなったら、傷つくのは100%瑠璃の方なんですよ。幾ら三十路前だからといってもこればかりは母親として譲れませんわ」
ゆるい父に対し、母は至極尤もな正論で父に対抗する。ある意味、母は真っ直ぐ過ぎるのだ。だが、父も負けてはいない。おいそれと反論する。伊達に約30年連れ添っている訳ではないのが分かるエピソードだ。
「ならば結婚させればいいじゃないか」
「早すぎます。まだお付き合いを始めて、ふた月も経っていません」
「忘れたか? 私たちは見合いして一ヶ月後には結婚したんだってことを」
知りませんでした。初めて聞く両親の馴れ初めに、内心驚きを隠せない。そんなに早く結婚したと言う事はもしかして、できちゃった結婚でしょうか? いや、それだと計算が全然合わない。
「それはそれ、これはこれです。そもそも、あの時はあなたから泣いて縋って来たから仕方なく早めたのですよ」
ええええええ? この父が泣いて縋る? 母に? 私は表面上無表情をかろうじて保っているが内心では百面相中だ。
「違う違う。君のご両親から提案されたの。どうせ結婚するなら忙しくない時期にしてくれって。ならば、早いうちが良いと思って君に相談したんじゃないか」
・・・。祖父母よー! そんなアッサリと結婚の時期を決めても良いのでしょうか。一生がかかっているんですけど。随分と母との印象が違うなと、母方の親子関係相関図を頭に描いてみる。
「“どうせ”って何ですの? 聞き捨てなりません!」
軽い印象を受けたのか、母は珍しく・・・もなく、般若顔になって、パン! とテーブルを叩いた。だが、父は終始穏やかな物言いを崩さない。むしろここからが本領発揮か?
「それは言葉の綾だ。悪い意味で使った訳じゃない。現に私たちは問題なく長年連れ添っているじゃないか、私たちは今の瑠璃よりも若かったのだけれど?」
「ですからそれは、私とあなたが互いに努力しているという結果ですわ」
はい、父の勝ちー。母自身の言葉で言わせれば、母も納得すると父は知っている。この超絶技巧、いつもながらにほれぼれします。
「そうだ、互いに思いやりが大事だろう? ならば蓮君と瑠璃が努力すればいいだけだろう? 二人ともいい大人だ。もう我々の手を離して多少無茶をさせてもいいんじゃないか?」
きっとここに蓮が同席していたら言質を取ったとばかりに、直ぐさま食べられていたに違いない。居なくて良かったとこの時ほど思った事は無い。
「あなたはどうなの瑠璃。結婚する気はあるの?」
突然矛先がこちらに向き、焦る。何も考えてなかった。
「うーん、まだ、そこまでは、分からないわ。蓮からは会う度にプロポーズめいた事は言われるんだけど、正直言って、結婚って一体何なのか分からないの。あ、蓮の事は好きよ。だけど好きだからどうしたいのかって分からないの」
好きだから一緒に居たい、というのは何となく分かるようになってきた。けれども、結婚するって言う事がまだ全然実感として湧かない。だから、蓮からの熱烈な言葉にも戸惑っているのが現状なのだ。
「・・・自分がどうしたらいいのか分からないの。何を悩んでいいのかも。今の距離が私に取って心地よいって事だけは言えるんだけど、それ以上の事になると、自分の事として考えられないの。やっぱり、一人っ子だし跡継ぎは産まなきゃよね、それは分かるんだけど」
私の吐露に父はちょっとばかり考えて口を開いた。
「ふむ。少しばかり箱に入れ過ぎたかな。私の意見を言うと、お前は少しばかり頭で考えすぎる傾向にあるな。乱暴な言い方だが、何も考えずに踏み出す事もしてみた方がいいかもしれない」
「あなた・・・」
「黙って。君も瑠璃がこのままではいけないと思わないか? 痛みを知らないより、知っている方がより幸せについての実感が持てると思うんだけどな。幸い、私が見た所、蓮君は見た目は派手でも、中身は忍耐強くて堅実な青年のようだし、残りの休みの間、一緒に過ごさせてみるのも、僕は良いと思うよ。経験が伴わないからこそ瑠璃が躊躇するのだろうし」
それって、それって、父は私を既に蓮へ嫁がせる気があるってこと? 結婚前にその、その、それなりの関係になっても良いって?
「でも、蔵の片付けのお礼にっていうのは、妙な話だな」
ここへ来てようやく軌道修正がなされた。
結局のところ相談の結果何も決まらず、全面的に私に任される事になった。
(やっぱり蓮に聞くのが一番てっとり早いかも)
時計を見ればまだ夜の9時台。寝ている事は無いわよね、と考えながら蓮へ電話をかけてみる事にした。
コール2回目で蓮は出てくれた。
「どうした? 何かあったか?」
「ううん、別に。あのね相談したい事があって、今、電話してても大丈夫?」
大丈夫? と一応聞いてはみるが蓮の事だ、仕事をしていても大丈夫と言うだろうと、かなりな高確率で仕事中だろうとは思うけど、それは、いつかけても同じなので蓮の言葉通り鵜呑みにする。
「ああ問題ない。どうした?」
「・・・あの、お礼の件ね、決められないの。だから、相談したいと思って」
「そうか。ならば、そうだな・・・得意料理は何だ?」
「ん? 得意料理? そうねぇ幾つかあるけど・・・」
「それを全部」
「え? 全部? お腹痛くなるわよ」
「できれば、朝昼夜おやつ夜食に分けて」
どれだけ食べる気なのこの人。
「ちょーっと待って。その想定ってやっぱり残りの夏期休暇中全日程を想定しているのよね?」
「そうだ。でなければ毎日毎食毎おやつ毎夜食を食べれないだろう? 無理か? 私の望みは叶えられないのか?」
弱々しい声で蓮がそう言うと、電話の向こうで子犬が耳と尻尾を垂れて、クーンクーンと鼻を鳴らして項垂れている姿が見える!
「分かったわ。むしろ、却ってそんなモノで良いのかって恐縮しちゃうけど」
「“そんなモノ”ではない、それが良いと言っている。では、明日、行っても良いか?」
面と向かってはいないけれどストレートな言葉に顔が火照るし、嬉しいし・・・。蓮の美味しいって言う表情を想像してニンマリが止まらない。
「ええ、待っているわ。頑張って美味しいって思ってもらえるものを作るわね」
「楽しみにしている」
「うん。相談に乗ってくれてありがとう。じゃ、おやすみなさい」
「ああ、“良い夢”を・・・。瑠璃?」
「なあに?」
「愛している」
そして電話は切れた。
(なに? なに? 一体なによ、ずるいわ。私に返事もさせないなんて)
一方的に切られた電話に、自然と想いが募る。その想いを言葉にして伝えられないのがこんなに苦しいのかと、無性に悲しくなった。
*
「良い傾向のようですな、ふぉっふぉっふぉ」
「覗きか? 翁」
「いいえ“界”が感じている事を申したまでですよ、青蓮様」
「ふん。だがまだだ。まだ、決定打がない。なぜ解けぬのだ? これほど近しくなっているのだが、やはり・・・。いや、それは違うな」
「青蓮様、何をお悩みかは薄々、拝察いたしますが、瑠璃様のご意思は尊重してさしあげるのが良き夫というものではないでしょうか?」
「わかってる。既に数百年待っているからな、あともう少しを待てないはずは無い。それより・・・今宵は、“瑠璃”は来てくれるだろうか」
「はてさて、いかがでしょう。今宵は望月でありますからな、常であればあのお庭をご覧になられるでしょう。ですが、こればかりは私には分かりかねますわい、ふぉっふぉっふぉ」
*
「“瑠璃”」
「青蓮」
「会いたかった。“瑠璃”」
「私もよ青蓮」
“わたし”はいつもの通り、薄青い月光の中で庭を見ている。
「もう、無茶な注文をしてくれたわね。そんなに食いしん坊だったかしら?」
「一緒に居たいからだ。早く・・・、瑠璃に目覚めて欲しい」
「青蓮。ごめんなさい。なかなか上手く解放できないの。何かが、あと少し・・・。でも、ほんの少しずつだけれども出来ている気がするの。ね、青蓮もそう感じない?」
「ああ、感じている。最初に会った時の瑠璃の目は私に対して何の感情も持っていなかった。同じ顔、同じ魂を持っているはずなのに、それが酷く悲しかった。だが、今は私に対する想いを乗せて恥ずかしそうに見てくれる。まだ、“瑠璃”のようではないがな」
「“わたし”の目はそんなに貴方への想いに溢れているかしら?」
「ああ。私はその目に見つめられるだけで心が打ち震える。“瑠璃”の心も私にあると感じられる。・・・安心する」
「青蓮、“わたし”の未来の旦那様。その時が来るのを待っていて」
「いつまでも待つよ。これまでも気の遠くなる年月を待ったのだ」
「頑張るわね」
「無理はしなくていい。お前の心が疲れるのは見たくはない」
「でも・・・」
「私を頼ってくれ。その為に、現世へ行っているのだから」
「ええ、心強いわ。現世の私ももっと貴方に甘えればいいのに、こんなにも理屈や知識優先だったなんてね」
「それを含めて瑠璃なのだから仕方が無い。私はそういう瑠璃も愛しくて仕方が無いのだ。どんなに遠回りになろうとも、かならず私の所へと辿り着いてくれると信じているから」
「はい。きっと辿り着いてみせます。『愛しています、青蓮』」
「ふ。根に持つか?」
「当たり前です。現世の私にも何か言わせて下さい。一方的に切るなんて、もやもやが堪って仕方ありませんでしたもの」
「それは悪かった。つい、意地悪をしてみたくなった」
「愛しています青蓮。未だ、現世の私があなたを思い出せなくても」
*
ん・・・? せい・・れ・・ん・・・?




