再会
翌朝、翔汰は……
いつもの朝寝坊をしていた
夜中に目が覚めたせいで朦朧としている
目覚めの珈琲を飲みトーストを食べ終わり家を出た。
外は晴れていているけど風が少し冷たかった。
雪は少し残ってる程度だったので自転車で、お店へとペダルを漕いだ。
お店に着くと、店長が仕込みの準備を済ませてくれて珈琲豆を挽いていた。
翔汰「おはようございます♪」
店長「おはよう♪また、眠そうな顔ねぇ」
翔汰「夜中に目が覚めちゃて……なんだか、寝付けなかったんです。」
頭の中に恵美の顔がよぎった
店長「そっか。無理はしないでね。」
翔汰「ありがとうございます。」
店長「そうそう、話しは変わるけどミルフィーユ美味しかったよ♪ありがとう♪」
翔汰「良かったぁ♪また、何か作ったら持ってきますね」
店長「うん♪」
そんな会話をしていると他の従業員達も出勤してきた。
今日は、どんな一日になるのだろう。などと考えながら担当であるデザート作りに取りかかった。
開店して、しばらくすると顔馴染みの常連のお客様が来店した。
常連客「翔汰くん、何か甘酸っぱいのが食べたいんだけど、無い?」
翔汰「甘酸っぱいのですかぁ…今日は、甘めのを作ったんですよねぇ…お時間が大丈夫でしたら、特別に作ってお持ちしますけれど…」
常連客「本当?大丈夫、大丈夫!待ってるから作って♪」
翔汰「かしこまりました。でわ、お待ちください」
翔汰は、店長からの信頼も厚く、メニュー変更などの権限を与えられているのである。
翔汰は、得意のベリー系タルトを焼き始めた。
翔汰「でも、どうしたんですか?甘酸っぱいデザート注文は珍しいですね。いつも、アップルパイなのに」
常連客「うん。翔汰くんのアップルパイ大好きなんだけど、今日は甘酸っぱいのが良かったんだよね」
翔汰「そうなんですかぁ…もう、焼き上がるんで待っててくださいね。」
常連客「ごめんね……ありがとう…」
そんな、会話をしている内にタルトが焼き上がった
常連客「あぁ…美味しい♪やっぱり、翔汰くんが作るスイーツは心がこもってて温かい気持ちになれる」
翔汰「そうですか?僕は、ただ、お客様の為に作っているだけですよ」
常連客「それが、凄いのよ。ありがとう♪美味しかった。」
満足そうに常連のお客様は帰って行かれた
その後、団体で女性のお客様が来店され、話しに花を咲かせていた。
午後五時を過ぎたくらいになり、恵美が、お店にきた。
翔汰「いらっしゃい」
恵美「なんだか、来ちゃった。ごめんね…」
翔汰「何を謝ってるんだよ。来たいんだったら、来ればイィんだしさ。」
恵美「翔汰って、どうして、そんなに優しく出来るの?私には、無理だよ…」
翔汰「そんなことを聞かれてもなぁ…俺は、俺らしく恵美に接してるだけだからなぁ」
恵美「ありがとう…」
翔汰「で、何がイィ?俺に任せるか?」
恵美「うん♪」
翔汰は、ブルーベリーロールケーキと珈琲を出した。
恵美は、嬉しいそうに食べてくれた。
恵美「そうそう、お母さんが翔汰に会いたいってさ」
翔汰「ん??お母さんに話したの?」
恵美「話したよ♪」
翔汰「えー、お前、言うなよぉ…お店に来たい言い出したんじゃないか?」
恵美「正解♪いいじゃない♪」
翔汰「いいんだけどさぁ…顔合わせづらくてさ」
恵美「大丈夫よ♪明日、連れて来ていい?」
翔汰「いいよ。今くらいの時間なら、落ち着いてるから、今くらいの時間にしてくれたら助かるかな」
翔汰は、付き合ってる時期に恵美の母親に可愛がられていたのだ。
恵美「分かった。あまり、気負わないでね」
翔汰「うん。」
翔汰「そうそう、お前さ、何かあっただろ。隠しても分かるよ…」
恵美は、ドキッとした顔をしたが冷静を装った。
恵美「なにもないよ?勘違いだよ」
翔汰「そうか?まぁ、いいよ。でもさ……いや、やっぱいい」
翔汰は、今は深追いするのは辞めた。
恵美「翔汰は、昔から心配性だからねぇ。」
翔汰「うるさいよ。こんな奴なんだから仕方ないだろ」
恵美「まぁね。翔汰の良い所でもあり悪い所だよね」
翔汰「どっちだよ」
などと、笑いを交えながら話をしていたら、店長が来た。
店長「今晩は♪」
恵美「今晩は♪すいません、翔汰くんを借りっぱなしで」
店長「いいのよ。でも、ちょっと、借りるね♪」
店長が耳打ちで、常連のお客様が注文をしてきたからと言ってくれた。
翔汰は、急いで注文を聞きに常連のお客様のテーブルへと向かった。
恵美は、珈琲をおかわりして
店長と翔汰の話しで花を咲かせた。
結局、閉店まで忙しくなってしまった。
閉店後、翔汰は恵美を家の近くまで
送って行くことにした…