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1章

本作は実験的に投稿しています。

戦闘描写が相当適当、ミリタリーにそこまで明るくない。

孤児院時代、士官学校時代の描写が適当すぎる。

(まぁこの辺はあまり俺が興味無いからなんだけど)

本来はこの辺も1話くらいかけて丁寧に描くべきなんだろなぁ。

幼い頃に良く祖母から良くおとぎ話を聞かされた。

昔、この世界にはバルバロイと呼ばれる世にも恐ろしい魔物が住んでいたのだとか。

彼らは獰猛で、全身を動物の血や毛皮等で覆い、この世の物とは思えぬ異臭を放っていたと言う。


ある日村人が一人失踪した。数日後、その村人は全身の皮を剥がされ村の広場に捨て去られていたと言う。

そんな魔物の横暴に、村人達はいつもおびえながら暮らしていた。


しかし、そんな魔物の横暴も勇者の登場によって終に幕を引くこととなる。

勇者達は皆勇敢で、力強く、聡明であった。

勇者達の活躍によって、魔物たちは終に西の奥地へ封印されたのだと言う。

こうして、今日の私達平穏な生活は勇者達の活躍により齎されたのだ。


しかし、魔物達は今も尚この世界の何処かに存在していて、

お父さん達の言いつけを守る良い子にしていないといつかバルバロイに連れ去られてしまうのだと。



私はその物語を何度も聞かされている内に、魔物に対する恐怖よりも、

そんな魔物達を勇敢に倒す勇者達に憧れを抱くようになっていった。


いつか自分もそんな英雄になりたい


これがその時の私の素直な気持ちだった。



勇者達によって平和が確立され、その後は特に恐ろしい事件も無かった。

いつしか幼少期に聞かされたバルバロイの話も、勇者達の話も、風化してゆき、私は家族や友達達と平穏に少年時代を送る事が出来た。

あの日までは。


忘れもしない、あれは私が11歳の時の事だ。

その晩は風が強く、満月が私達の頭上に広がった。


夕食の後片付けを済ませ、私はそろそろ床に着こうかと考えていると、なにやら外が騒がしい事に気がついた。

どうやら2つ先の居住区で規模の大きな火事があったらしい。

人手が必要との事で、私は桶を持参し現場へと向かった。


現場では既に大勢の人が消火活動に勤しんでいたが、炎の勢いは凄まじく、村人総出でバケツリレーで消火を行っていたがそれくらいでは消火の目処は立たない程だった。

正に焼け石に水って奴だった。

それでも皆必死に消火に当っていた。

必死のあまり、侵入者の存在に気づく事が出来なかった。


突如現れたそれらは、まず消火に当っていた大人達を襲い。

その後逃げ惑う女子供達を次々と襲っていった。

誰かがこう叫んだ

「バルバロイだ!」


おとぎ話の中の存在と思っていた魔物達が、今正に目の前で惨劇を繰り広げている。

村人達はどうする事もできず、ただただ逃げ惑うばかり。

勇気あるものは農具を片手に反撃に出たが、無残にも惨殺されていった。

そうこうしている間にも火事は広がり続け、時間が経つごとに状況は悪化していった。


突如魔物の群れがこちらの団体に気づき、一斉に襲い掛かってきた。

炎に照らされたバルバロイの姿は正に魔物そのものであった。

私達はただただ逃げ惑った。大人も子供も一斉に駆け出す。

途中、助けを求める人たちが居た。足が切断されているもの、背に矢を受けているもの、衣服に火が燃え移っているもの。

皆一様に助けを求めていたが、私は彼らをどうする事も出来ず、ただただ生きたい一身で逃げ出した。


逃げ遅れた人たちが魔物達に捕まっている内に、私はなんとか逃げ延びる事ができた。

最初は10数名程と一緒に逃げていたのだったが、気付いたときには私一人になっていた。

それでも私を足を止めず走り続けた。

いつの間にか私は村はずれの森の中に入っていた。一体村からどれ程離れたであろうか。

辺りは村の喧騒が一切届かず、静寂であった。

どうやら私は生き残る事が出来たらしい。


その日は一睡もしないで森で野宿をして凌ぎ、翌日の日の出と共に私は村の様子を伺いに行った。

昨晩の喧騒がうその様に辺りは静まり返っていた。建物は殆ど焼け落ち、私と同じく生き残った人達が、村の様子を伺いに来ていた。

どうやら魔物達は去った様だ。


話を聞くと、あの後自警団がやってきてバルバロイを追い払ったのだと言う。

しかし、昨夜は風が強かった為火の移りが早く、村はほぼ焼け落ちてしまっている。

生き残った村人はこの後どうするのか。自警団が言うにはこの村は諦めて別の村へ移住する方が良いだろうという。

こうして、私の生まれ育った村は放棄された。私は11歳にして故郷を失った。



身寄りの無かった私はとある町の孤児院に預けられた。

孤児院には私と同じような身寄りの無い子供が集められていた。

何せこんなご時世だから、孤児院はそう行った子供達で溢れ返っていた。

当然食事も最低限の食事にしかありつけず、いつも空腹を我慢しながら過ごしていた。


正直、この先どうやって生きればいいのか、生きる事になんの希望も抱けなかった。

実際そういった子供が自殺に走るケースを私は多々見てきた。

しかし私は死ぬ事を望まなかった。


私は幼い頃に祖母から聞かされた話を思い出した。

魔物を駆逐する英雄の話を。

私は大人になったら魔物を地上から駆逐すると胸に誓い生き続けた。

相変わらず孤児院での暮らしぶりは貧しいものであったが、あの復讐心があればこそ今の自分があるのだと思っている。



それから数年後、15歳になった私は士官学校へ入学した。

近年増加傾向にあるバルバロイの蛮行に対応するべく、議会が軍備拡張を進めたのだと言う。

貧しい私の様な者が軍属に転属できる機会を得られたのは好機だった。

私は孤児院を後にし、士官学校へ入学した。


士官学校は3年制で、入学費やその他の費用は奨学金制度によって後々払える様になっている。

様は唯で勉強させてやるから卒業後にしっかり働いて返せと言う事だ。

私は復讐の機会を与えてくれるこの仕組みに大いに感謝した。

人によっては金の問題でとやかく言う輩もいるが、私は自分の命はバルバロイの駆除の為だけに存在していると思っているので、それ以外の余分な金銭にはそれほど気は使わなかった。

余った金は孤児院に寄付をする事にしていた。



3年後、士官学校での成績が認められ、私はさっそく前線へ下士官として赴任する。

下士官とはつまり、士官(将校)の指示にしたがって兵を指揮する役割である。

戦闘での指揮はもちろん、私生活の面でも私は兵達を指導する義務がある。

私は小隊長として8人の部下を纏める事となるのだが、彼らから言わせるとどうやら私は生真面目すぎるらしく、口うるさい上官として認識されているらしい。

私から言わせれば、何時戦闘になるか分からない前線で、鍛錬をおろそかにする事は命を軽んじている事と同義と思っているのだが、どうもその辺りの認識にズレがあるようなのだ。

兵達と心の溝を埋めきる間も無く、それから数ヵ月後私は初陣に出る事となる。


バルバロイ達は夜襲が好きらしく、今回もまた夜を見計らって現れた。敵襲を告げる鐘が轟々と唸る。

今回違う点は、村ではなく軍事拠点をターゲットにしている点。

私が少年ではなく軍人としてバルバロイと対峙する事になると言う点だ。


終にこの時が来た。この時が来るのをどれ程待ちわびたであろう。

幼い日からこの日まで、魔物達の息の根を止める事をどれ程夢に見た事か。

私の隊は突撃部隊として真っ先に敵と正面衝突する事になる。

生還率は極めて低いが、一番バルバロイを駆逐するチャンスに恵まれている場とも言える。

私は自分自身の生存よりも、一匹でも多くのバルバロイを駆逐する事にのみ関心があった。


戦闘に突入する。見た限り、戦力はほぼ互角。

体感としてはこちらが優勢に思えたのだが、初陣と言う事もあり私は状況把握を正確に出来ていなかった。

確かに私の小隊は攻勢だったが、気が付いた時には私の小隊は本隊から分断されていた。

つまりは誘い込まれる形で敵陣の深くへ切り込んでしまったのである。

「もとより我々の隊は帰還を是としていない、我々の目的は1匹でも多くのバルバロイを駆逐する事にある!」

死を覚悟して最後の突撃に踏み切ろうとした矢先、腹部に鋭利な痛みが走った。矢を受けたらしい。

ついで背中を切りつけられた。激しい痛みが全身を駆け抜ける。

それでも剣を放す事は無かった。無我夢中で剣を振るう。

いつの間にか部下とはぐれ、孤立無援の状態に陥っていた。

ついにはバルバロイの刃が胸に深々と突き刺さる。

剣を握ろうと力を入れたが、どう言う訳か自分の意思とは反して剣を手放してしまった。

どうやら神経が切断されたらしく、腕が使い物にならなくなったらしい。

酷い出血から意識はブラックアウトしてしまった…



意識が戻った。

死後戦士の魂はヴァルハラに召集されると言われているが、ここがそうなのであろうか。

辺りを見回す。

「ヴァルハラとは、随分味気ない場所なのだな」

意識がよりはっきりし、ようやく自分のおかれた状況を知覚出来るようになった。

「縄…、縛られている?」

辺りをもう一度良く見回して見る。


どうやら自分は森の中にいるらしい。辺りにはテントがいくつかある。

火がおこされており、大きな器の中では煮えたぎった湯げグツグツと音を立て、その湯気が朦朧とした意識をよりハッキリさせた。

どうやらここはバルバロイの居住区のようである。


これから自分はどうなるのか。

幼い頃に聞いた祖母の話が頭をよぎる。

『全身の皮を剥がして殺される』

考えると恐ろしさがこみ上げた。


体の状態は・・・。傷口を確認してみる。

腹部に受けた矢傷、矢は抜かれていたが、なにやらペースト状のモノが塗られている。

胸の傷にも同じものが塗られていた。

恐らく、背中の太刀傷にも同じ施しがされているだろう。

「治療されている…?」

どうやらバルバロイは私を殺すより生け捕りにしておくつもりのようだ。

「脱出出来るだろうか」

右腕に力を込めてみたがピクリとも動かなかった。

どうやら右腕は完全に使い物にならなくなったようである。


「!」

ふと物音がした、どうやら誰かやって来る様である。


現れたのは初老に入ったであろう大柄の男であった。

全身の血が沸騰するのを感じる。

今、自分の命はこの男の手の内にある事と、憎きバルバロイが目の前にいるのに何も出来ない事に対し、

私は恐れと怒りが入り混じった感情を抱いた。


男はこちらをちらりと一瞥すると言葉を発した。

「カラダ イイカ?」

「!?」


今なんと言った?「カラダ イイカ」

にしてはこちらの身を案じた言葉に聞こえたが・・・、いや、まだ分からない。

バルバロイの言語なのかもしれない。

そうこう思案していると男は続けざまに

「オマエ 3ニチ ネル」


お前 3日 寝る

間違い無い。どうやらこのバルバロイはこちらの言葉がすこし分かるらしい。

私は恐る恐る口を開いた


「なぜ 助けた?」

なるべく男の語調に合わせて話して見た。

「オマエ ツヨイ タスケタ チガウ タスカッタ」

…いまいち要領を得ない。

突如男が大声を上げた。

「----!!」

どうやら仲間を呼んでいる様だ。


数刻後、バルバロイの男が新たに3人現れた。

皆いかにも戦いに適した体格をしており、体には恐らく動物の血を塗っているのであろう、そのせいか得体のしれない匂いがした。


バルバロイ同士が何やらこちらを指さしながら話し合っていたかと思ったら。

そのうちの一人がこちらにやってきて

「我々に言葉を教えろ、だから生かしている」

「!?」


先ほどのバルバロイよりもはるかに流暢に言葉を発した。

なるほど、私を生かした理由に合点がいった。

「既に話せているではないか?」

「我々は以前戦いの最中お前たちの仲間を連れ帰り言葉を学んだ、その男は既に死んでしまったから代わりにお前をつれてきた」


少々訛りがきついが、十分に会話が可能なレベルだ。


「その男が言った。自分は階級の低い軍人だから難しい事は分からない。もっと詳しく知りたいなら上の階級の人間を連れてくるべきだ」

「そういう事か」


どうやら彼らはこちらの軍事事情を探ろうとしているらしい。

どの拠点にどの程度の兵が駐在しているか、我々の装備は、補給路は。

彼らはその辺に関心があるようだ。

戦場で指揮を取っている私を見て、階級の上の人間とめぼしを付けて連れてきたに違いない。


「私は絶対に話さない。殺したければ好きに殺すが良い。私が死んでも、かならず私の同胞が貴様を討つだろう。」


多少早口に言った。正確に伝わっていなくとも、こいつらに情報を与える意図は無いと言うくらいの事は伝わっているだろう。


「敵に塩を送るよりは死を選ぶか…お前たちの中にも勇敢な戦士は居るのだな」


再度驚かされた。

バルバロイは皆野蛮で粗暴だと見なしていたが、こうも理性的に言葉を交わすことが出来るとは…


「お前たちは私の村に火を放ち、私の両親を、友を奪った。

 そんなお前たちに、一体どうして協力が出来ると言うのだ!」

「お前たちは我々を侵略者と見なしているそうだが、

 我々からすればお前たちの方こそ侵略者なんだよ」

「なにを馬鹿な!」

「まぁ聞け異民族の若き戦士よ。かつてこの地には我々の先祖が住んでいた。

 ある日、海を超えてやってきたのがお前たちの先祖だ。

 お前たちの先祖は住む土地を失い、新たな地を求めて遥々海を越えて来たと言う。

 我々の先祖はそんなお前たちを哀れに思い土地を与えたのだ」

「・・・」

「最初は上手くいっていた。

 お互い、敵対する事もなく、お前たちの先祖が海の向こうから持ってくる物が我々にとっても有益なものであったからだ。

 いつのころからか、お前たちの先祖は数が増えて行き、

 『もっと土地をよこせ』

 と要求し始めたのだ。

 我々の眼は見開かれた。いつしか我々の住む地にはお前たちインベーターが押し寄せ、その結果平和だったこの地が戦乱の渦中に置かれるようになった

 我々からすれば、お前たちこそ侵略者なのだ」


「嘘だ!」

一体何を言い始めるかと思えば!

誰がその様なデマカセを信じるものか!


「この地はもともと我々のものであり。それを貴様たちバルバロイが奪いに来るから争いになっているんじゃないか!

責任転嫁も甚だしい!」

「何故そう思う異民族の戦士よ?

 お前たちは自分達の子らに、その様に歴史を教えているのか?

 その歴史はお前たちの先祖が改ざんしているんであろう?」

「…話にならん。どちらにせよ、軍事機密を話すつもりは無い。殺したければ殺せ。」


彼らの厚顔無恥な言い分が無償に腹が立った。

言葉を解する理性的なバルバロイかと思ったら責任転嫁を図る様な恥知らであった。

このような蛮人と一体どの様な言葉を交わせと言うのか。


「…どうやらまだ疲れている様だ。

 今日はこのくらいにしておこう。」


バルバロイ達は去って行った。


ーその夜ー


あのバルバロイの言った言葉が頭を離れない。

『いつしか我々の住む地にはお前たちインベーターが押し寄せた』

『お前たちこそ侵略者なのだ』

・・・何を馬鹿な。

そう思いながらも、幼い頃に祖母から聞かされたおとぎ話を思い返す。

『勇者がバルバロイを西の奥地へ追いやった』

では、勇者は一体どこから来たんだ?バルバロイも西から攻めてくるが、おとぎ話と関係があるんだろうか?


「馬鹿馬鹿しい」

私は考える事を止めた。

生きた人間の皮を剥ぐ様な野蛮人の言う事なんか信用できる訳がないじゃないか。

今はそんな事よりここから脱出する事を考えなくては。


ー翌日ー



自分の認識や信じているものがもし偽りだったら?

そんな葛藤を、インベーターとバルバロイのやりとりを基にして浮き彫りにしていけたら。そこを狙って書いて見たいと思ってます。


今の日本でも、歴史を廻っては日中韓で相当揉めてますからね。

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