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第4唱 選択とは他の道を捨てることである!

徹もクラブ活動を選ぶようです。皆さんはクラブ活動はどうでしたか?ちなみに僕は将棋部でした。

 僕は12年間というまだ短い人生で、一番のどうしようもない大失敗をしてしまった。後悔とは「後に悔いる」と書くもので、それは決して取り返しがつかないのだ!!

 まさか、中学生になってパジャマで登校スルトハ……。

 マンガの中でしかないと思っていたが、本当に僕がヤッテしまうとは……。トホホ。


 僕が茫然としていると、先生が「とりあいず出席とるから座りなさい。」と、戸惑いつつも声をかけてきた。先生には、生徒がパジャマで登校してきた時のマニュアル、なんて洒落たものを知らないのかもしれない。いや、知るはずがないだろう

 みんながにやにや笑う中、僕はとぼとぼ席に向かう。

 きっと、裸足でドラ猫を追ったサ●エさんもこんな気持ちなのかもしれないが、ちっとも笑えない。「笑うのは赤の他人だ!」「嘲笑しているんだ!」と、僕はどうでもいい事に腹をたてる。

 席につくと、前に座るかっこいい空手少年こと清水達也君が輝く白さ、驚きのさわやかな笑顔で、「災難だな、田中。俺はジャージ持ってるから貸してやろうか?」と助け舟を出してくれる。

 僕は涙ぐみながら、ありがたくその好意を受け取った。



 朝のホームルーム後、トイレで清水君が貸してくれたジャージに着替え、僕は誰も見ていない事を確認して鏡に向かってぼやく。

「トール、僕がパジャマだって事を教えてくれてもいいのに……」

『知るか、んなぁこったぁ。自分の失敗を俺に愚痴るな』

 トールは相変わらずキツイ。正論はどんな言葉よりも深く突き刺さる。

「はぁ……。こんな失敗して、この先の僕の学校生活は大丈夫かなぁ。」

 鏡の中で、僕の顔がにやにや微笑む。これはトールの顔だ。詳しい事は分からないけど、僕は鏡に映る自分の顔を、頭の中で見えるはずのないトールの顔に変換して見えてしまうらしい。他人が見れば僕の情けない顔が見えるのだろうけど、僕には厭味ったらしいトールの笑顔が見える。

『まぁ、今朝のお前の魔法はなかなかのものだったぞ。この調子で魔法の腕を磨いてくれ』

 トールにとって、僕の悩みなんて他人事のようだ。

「はぁ……、賢者様なら、僕に助言してほしいよ……」

 僕は再びため息をつき、清水達也と丁寧につけられたゼッケンを背に授業を受けた。


―放課後―

 

 僕は気分どん底な状態で先生に寝坊して遅刻した事を報告した。先生の名前は峰高春奈(みねたかはるな)ととてもかわいらしい名前をしている。そして、とてもかわいらしい顔つきで、そのチューリップ色の唇にたばこをくわえ、すぱすぱ吸いながら書類を書いた。

 この人マズイんじゃないの? 天然? ……と、思ったが、僕はその感想を意識の外に追い出した。

「田中君は夜更かしをしているの?それとも食生活が偏っていて、朝に弱いのかしら? 生活習慣は改めた方が良いよ。」

 先生は優しく諭すが、その前に自分のたばこをどうにかした方がいいと思う。学校は全面的に禁煙だ。隣の先生が怖い目で睨んできていますよ。

「いえ、春休みで油断していただけです。」

 僕は先生のたばこから必死に意識をそらして答える。

 彼女は慣れた手つきで灰皿でたばこの火を消し、僕の目を見つめてくる。

「そっか、てっきり先生は田中君が内気で、引っ込み思案で、神経質なせいで、学校生活のプレッシャーで眠れなかったのかと心配したけれど大丈夫なのね。はい、ご報告御苦労さま。」

 先生はほほ笑んで酷い事をスパスパ言う。先生は天然なのだと、天然であって欲しいと僕は願った。


 僕は一度教室に荷物を取りに戻ったが、ほとんどの生徒が帰宅、又は部活動見学に行ったようだ。残っている女子数人のグループがどんなクラブにしようかという話が聞こえる。

「うーん、どんなクラブにしようかな……?」

 部活動は友達を作るのにとても重要だ。部活動で一緒に行動する事で引っ込み思案な僕にも友達を作るチャンスはある……はず?

 そこで僕が考えた、友達を作るための秘策! 友達を作りやすい条件とは!

 部活動仲間+クラスメイト>部活動の仲間≧クラスメイト>他のクラスメイト

 これは僕が発見したBlendフレンドの定理だ!(この後、英語の授業で間違いに気がつくが、それはまた別の話)

 しかし、これには大きな壁が立ちふさがる。

 僕は運動も音楽も芸術や他の事にも興味が薄い!僕がずっと続けられるクラブは何があるのか?僕にもわからない。僕はうなって思案していると、

『トール、くらぶってなんだ?』

 トールは僕の頭の中に直接話かけてくるので、僕は誰にも聞かれない事を確認する。

「みんなでスポーツや芸術や趣味などを楽しむことだよ」

 僕の説明に、トールは納得したような声を出す。

『なるほど、剣術や武術、芸術音楽を学ぶって事か。……よし、とおる。お前は歌唱隊に入れ!』

「えっ、どうしてそうなるんだよ。そんなの無いと思うけどさぁ」

『お前には歌を洗練して、魔法を上達してもらわなければ困る』

「僕の学校生活を大きく左右する事を勝手に決めないでよ」

『どうせお前は自分のやりたい事が無いくせに生意気な! 自分のやりたい事をいっちょ前に見つけてから俺に意見しろ!』

 トールの言葉に僕はグサッと心に染み渡った。


 気力が萎えた僕は帰宅する事にした……が、その前に、今朝あわてて開けてしまった屋上の鍵をかけておく。もし鍵が開いているのを先生に知られて、屋上の立ち入り禁止体制を強くされては、今朝と同じ事ができなくなる。あまりやりたくはないが、瞬間移動ができる事に越した事はない。

 南京錠を元に戻した後、僕はふと思いついた、

「登校した時みたいに家に瞬間移動できるかな?」

『さぁな、お前の才覚しだいだな』

 僕はためしに〈家に帰りたい〉という願いを込めて【遅刻しちゃうよ】を歌う。

 ……しかし、効果はいまひとつのようだ。

「あっれぇ? 今朝はこれで瞬間移動できたのになぁ……」

 僕は瞳を閉じ、精神を集中させてもう一度歌ったものの、また失敗した。

「うまくいかないなぁ。」

『その歌はお前が学校に遅刻したくないと願いを込めて歌った歌だ。それでは《家に帰りたい》との願いを込めにくいんだ。面倒がらずに新しく歌を作るんだな。』

 深々と僕はため息つく僕をトールはバカにしたようにたしなめる。

「はぁ、メンドーだなぁ。……まぁ、新しく魔法を作ってみるか。」


題名 メンド・メンドー

作曲 田中 徹

歌詞 田中 徹

歌  田中 徹


2本足で歩くのメンドくさい

勉強なんてメンドくさい

朝起きるメンドくさい

使命義務なんてメンドくさいのに


人生楽だけあればいい

山は登らずふもとで昼寝

「苦労」て、言葉はなんだっけ?

何でみんなせわしく歩くの?

何でみんな必死なの?


今日だけ楽して良いんじゃない?

毎日いそいそ疲れちゃう?

メンドーな事が勝手に済めば良いのに

メンドー事が無ければ良いのに

今日はお休みグッナイ?



 僕はこの歌を画期的だと思った。

 これで魔法を使えば面倒な事が済んでしまうのだ。家に帰るのも、宿題も、さまざまな面倒な事がこの魔法一つで解決なのだから。

 ……まぁ、成功すればの話しだけど……。

 徹は【メンド・メンドー】を唱えた。

《テュルルルル♪(効果音)》

 徹のため息が2倍に上がった。トールのあきれ度が2倍に上がった。

……つまり、魔法は発動しなかった。

『徹、世の中そんなに甘くない。それじゃ面倒な事が嫌だなとの思いを込める事ができても、家に帰りたいとの思いが込もってない。きちんと家に帰る魔法を作れ。じゃなきゃ、一生ここで遊んでな!』

 トールは冷たい事を言う。もう少し同情的になってくれてもいいじゃないか……。

 がっくり肩を落としていると、階段の下から足音が聞こえてくる。

 僕はギクッとした。あんな恥ずかしい(一応自覚はある)歌を聞かれたら穴にひきこもりたくなる。

 心臓をばくばく鳴らしながら階段の下を凝視していると、僕と同じ一年生を現す女子の制服を着た、ポニーテールの活発そうな女の子だった。

 彼女は笑みを浮かべながら小首を傾げ、ためらうように尋ねてくる。

「田中……君、だよね? 今、歌っていたの……」

 同じクラスメイトの女子だったけど、とっさに名前が出てこなかった。

「う、うん……。そうだよ。」

 僕は顔を真っ赤にしながら答える。今すぐ逃げ出したくなったが逃げられない。

 穴があったら入りたいと言いたげな僕の顔を見て、彼女はクスクスと笑う。口の端に浮かぶえくぼが印象的だ。

「ユーモアたっぷりな歌ね。声もなかなか良かったわよ。」

「えっと、たしか……。君は渡辺、薫さん……だよね?」

 僕は頭の中をほじくり返して思い出した名前を恐る恐る口にする。間違えたら失礼だし、赤っ恥だ。

 幸いにも正解だったようだ。彼女は微笑んで頷く。

「そうよ。所で田中君はクラブなににするの?」

「えっと、まだ決めてないんだ」

 これに本当に悩んでいた。友達作りに欠かせないとはいえ、僕のやる気が続かない部活に入れば、幽霊部員となったあかつきに肩身の狭い思いをしてしまう。

 僕がそう答えると、渡辺さんは嬉しそうに手を叩き、声をはずませる。

「じゃ、コーラス部なんてどう? 私これから見学にいくの。もし歌うのが好きだったら、一緒に見学しない?他に見学する子が見つからなかったのよ」

「えっと、どうしようかな?」

 僕が悩んでいると、トールが頭の中で話しかけてくる。

『トオル、コーラス部とは歌を歌う歌劇団みたいなものか?』

「(小声)そんなもんだよ。今は話しかけないで。」

 僕はトールに呟くと、彼は満足そうに『うん、うん』と頷く。

『よし、ならやれ。直ぐやれ。直ちに、速やかに、迅速に!』

 トールの勝手な命令に、僕は眉をひそめる。なんで、僕の中に居候している奴に命令されなくちゃいけないんだ。

 しかし、渡辺さんは僕のしかめっ面を違う意味で解釈したようだ。彼女は顔を曇らせる。

「あぁ……、田中君どうかしたの? 嫌なら別にいいんだけど……」

 せっかく声をかけてくれたのに、こんな断り方はない。まぁ、せっかく友達になれるチャンスだし、見学するだけなら……。

「そ、そんな事ないよ。見学、してみようかな。……ただ男子生徒もいるかどうか気になっただけ。」

 僕はあわてて取り繕う。そんな僕に安心したように微笑みが戻ってくる。

「確かにそれは気になるよね、周りに女の子しか居なかったら。でも、それを目当てにきそうな男の子も居たりして。」

「僕はそんなつもり無いよ。」

 僕はまた少し顔を赤らめた。

「じゃぁ、一緒に行きましょ」

 僕は渡辺さんの後について、コーラス部を見学しにいった。


 コーラス部は音楽室にある。

 音楽室は吹奏楽部が使っているのではないかと思ったが、杉山さんの話だと吹奏楽部は第二音楽室という名の吹奏楽部専用の練習場所あるらしい。そっちの方が広く、きちんと練習できるらしい。

 僕らの音楽の授業は第一音楽室で行うのだけど、中学生の音楽なんて、ピアノとリコーダーと人の声があれば十分である。

 そんな訳で、普段は音楽の授業をしている、第一音楽室に向かった。




ピンチ!僕は正直コーラス部についてよく知りません。適当に無茶苦茶にしますがつっこまないでください。

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