首長会合 - Majlis of Sheikhs - 1
◯カナン地区・ラファフ県・ラファフ市・ラファフ難民キャンプ(翌朝・土曜日)
ラファフ市にある大規模な難民キャンプ。
朝の光が、びっしり張られたテント群を照らし始める。
テントの外で目を覚ましたユスフ、両腕を上げて大きく伸びをし、首をコキコキ鳴らす。
カリドやヤットたちも起き上がり、水を飲み堅パンをかじる。
ユスフ、テントの中の女教師や子供たちの様子をうかがう。
「まだ起きてこないな」
カリド「昨日、散々歩いて疲れてるんだろう。寝かしといてやろう」
ユスフ、ヤットとミロに向き直る。
「じゃあ、俺たちの今日の予定だ。
まず、アル・ナジャール病院に行って、ハサンさんとカースィムから銃を受け取る。昨夜のうちに医者が銃身と添え木を替えているはずだ。
それから、ハサンさんを親族の家に連れて行く」
ミロ「カースィムは病院に残るの?」
カリド「カースィムは頼る親族がいないそうだ。だから、病院にいたほうがいいだろう」
ユスフ「ハサンさんを親族の家に届けたら、市場に寄って帰る。
今日は土曜日だから、食料が入荷するはずだ」
ヤットとミロ、うなずく。
◯ラファフ市・アル・ナジャール病院・外科病棟・病室
アル・ナジャール病院の外科病棟。
病室にはマットレスが隙間なく並び、近隣から運ばれてきた怪我人たちが寝かされている。
病室にカリドたちが入ると、手前のマットレスに寝ていたハサンが手を上げる。
「よう。今日もよろしくな」
ハサンの奥にはカースィムも寝かされているが、4人をチラッと見ただけで、目を逸らす。
ハサンのマットレスの横に、布で覆われた銃が4丁置かれている。
「医師たちが組み立てておいてくれたぜ」
カリド「助かる」
早速、銃をユスフたちに配る。
カリド、銃を肩に担ぎながら、
「ハサンさん。今日、親族の家に移動するということでいいですか?」
「そのつもりだったんだが…」
ハサン、肘をついて、少し身を起こす。
声をひそめ、
「病院に退避命令が出てるらしい」
カリド「まさか…」
ユスフ「ラファフ県は安全な地域のはずじゃ…?」
突如、ざわっ
病室の患者たちが、窓を指差して騒ぎ出す。
病室の窓越しに、空から白い紙のようなものが無数にヒラヒラと舞い落ちているのが見える。
「…俺、取ってくる」
ミロが病室の外へ向かって駆け出す。
ヤットも慌てて後を追う。
◯アル・ナジャール病院・門前の敷地
病院の建物から出たミロとヤット、空を見上げる。
白いものがヒラヒラと、いくつも舞い落ちてくる。
拾い上げてみると、手のひらほどの大きさの紙で、カナン地区の地図が描かれ、シオン語とフスハー語で文字が書かれている。
カナン地区南部に✕が付けられ、隣接する都市へ向かって矢印が大きく描かれている。
ミロ「…これって…」
◯アル・ナジャール病院・外科病棟・病室
ハサン、ビラを手に取り、低い声で読み上げる。
「『ハーン・ユーニス県へ避難を』」
ユスフ「…はぁ!?
昨日、ハーン・ユーニス県から来たばかりだぜ?」
ハサンも困惑した表情で、ビラを何度も読み返す。
「…だが、そう書いてある」
カリド、小さくため息をつき、銃を担ぎ直す。
「…ここが攻撃されるというなら、移動するしかないだろう…」




