ダイアナ - Diana - 1 挿絵
◯エンパイア国・アテナイ市・世界連帯構想本部・事務局オフィス・防衛部デスク(土曜日・午前中)
他部署から少し離れている防衛部のデスク。
ダイアナがアヴェスに、防衛部の業務について説明している。
アヴェス、デスクに頬杖をつき、ニコニコしながらダイアナを見つめている。
書類から目を上げたダイアナ、アヴェスを少し睨んで、
「私の説明、ちゃんと聞いていた?」
アヴェス「ああ」
指を折りながら、
「世連における魔道士協会の業務は、世連要人の警護、加盟国代表団の警護と伝達係、世連のイベント会場の警備、加盟国が攻撃を受けた際の防衛、だろ?」
ダイアナ「そう。世連に常駐している私たちは、魔道士協会の窓口となって魔道士の手配や事務手続きをしているの」
アヴェス「仕事中は、そんな顔してるんだな」
ダイアナ「えっ?」
アヴェス、にまにましながらダイアナの顔を下から覗き込む。
「普段会う時と雰囲気が全然違う。きりっとしてるダイアナも良いな」
ダイアナ赤くなり、書類をアヴェスの顔に押し付ける。
「もう、真面目にやって」
総務部のルーカスが小走りで防衛部のデスクに近付いてくる。
「アヴェス君、ダイアナさん、君たちのご両親が受付に来ているんだけど」
アヴェス・ダイアナ「えぇっ!?」
◯世界連帯構想本部・受付前
ルイ・シルヴィア・エーリンが受付前で待っている。
ダイアナとアヴェス、3人のもとに駆け寄る。
ダイアナ「お父さん、お母さん、どうしたの?」
エーリン「アヴェス!」
アヴェスに抱きつき頰にキスする。
アヴェス、母を受け止め、
「母さん、なんで!?」
◯世界連帯構想本部・応接室
エーリンとルイ、ルーカス・アヴェス・ダイアナに、カナン地区で見聞きした事を報告する。
ルイ「私は以前、メシーカ国で、メシーカ国軍とアルマダ国のコンキスタドールの戦闘を見た事があります。あれに比べると、カナン地区で見たものは…戦闘とは言えないものでした。シオン軍によるカナン地区の民間人への一方的な攻撃でした。たとえカナン地区に軍隊があったとしても、シオン国との軍事力の差は圧倒的だと考えます」
ルーカス「お二人のお話を伺った限りでは、シオン国の行為は、カナン人に対するジェノサイドの可能性があります。検問所封鎖による意図的な飢餓、民間人を標的にした攻撃、強制移動…。これらは、人種的、民族的または宗教的集団を破壊する意図をもって行われているように思えます。
カナン地区もシオン国も非加盟国ですので、世連にできる事は、カナン地区とシオン国に対して調停・仲裁を申し出たり、人道的観点からシオン国に対する制裁や圧力を加盟国に勧告する程度です。強制力も無いので、実効性は乏しいでしょう。
最も現実的な方法は、緊急特別総会を開催して、カナン地区の国家承認を行い、世連に加盟させる事でしょう。世連に加盟すれば、魔道士協会による防衛機能が使えますから」
ダイアナ、ルイ、うなずく。
シルヴィア「今ここで話をしている間にも、カナン地区の子供たちはシオン軍から攻撃を受けています。子供たちを世連が救うことはできませんか?」
ルーカス「前提として、世連は加盟国間の安全保障や国際協力を目的とした組織であり、非加盟国の国民の保護については規定していません。しかし、加盟国にカナン地区の子供の救済を要請したり、慈善団体に子供の避難事業を委託する事は可能です。
加盟国を通して要請書を提出していただいて、夏の理事会で承認されれば、世連で対応できます。
ただ、様々な手続きが必要ですので、実現するまでに数カ月かかると見てください」




