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d+d【先行公開版】  作者: Hilde
【先行公開版】第一章 壁 - Wall -

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砲撃 - The Shelling - 1

◯アル・シマー小学校・2階・教室(日替わり・夜)


就寝準備のためにマットを敷いているエーリン。


ラシャーが年上の女の子と連れ立ってやって来る。

少し照れたように「今日は、ザイナと一緒に寝るの」


エーリン、微笑む。

「そう、いいわね」


ラシャー「おやすみなさい」


エーリン「おやすみなさい。きっといい夢が見られるわ」


ラシャーとザイナ、手を取り合って隣の教室に向かう。


エーリン、ほっとする。

(ラシャー、元気になってきたのね)



 ✕ ✕ ✕



エーリンを独占できて嬉しそうなリリアン。エーリンとくすぐりあってクスクス笑い、エーリンに抱きついて眠る。


エーリン、リリアンが眠ってから隣のライラに尋ねる。

「リリアンは3歳よね? そろそろお喋りする頃かしら…?」


ライラ「リリアンは、以前は喋れていたようです。両親を失ってから言葉を発しなくなったと聞きました」


エーリン「そうだったの…」

リリアンをきゅっと抱き締め目を閉じる。


ドォォン


バアァーン


遠くで、近くで、断続的な砲撃音が聞こえる。


エーリン(今夜は多いわね…)

気になって寝付けなかったが、いつしか眠りに落ちる。



◯2階・教室(早朝)


シュウゥゥゥ


ド、グヮッシャァァッ!!!!!!


大音量と凄まじい衝撃。

校舎がグラグラ激しく揺れる。

天井や壁がきしみ、天井の石膏の破片がバラバラと顔や体に落ちてくる。


「!!?」

エーリン目覚める。


耳をつんざくような子供たちの悲鳴。

飛び起きたライラとテクラが、教室から駆け出していく。

エーリンも慌てて起き上がり、怯えてしがみつくリリアンを抱えて、二人の後を追う。



◯2階・隣の教室


もうもうと埃が舞っている。

血の匂いと、子供たちの叫び声。

壁や天井が崩れ、教室の壁に開いた大穴から明け方の空と市街地が見える。

大量の血と小さな手足が大穴を中心に飛び散っている。

血まみれで動かない子供たちと、泣き叫んでいる子供たち。

大怪我をしている子供に、ヘナンが必死に心臓マッサージをしている。


「ああーーっ!! 神よ!!」

ライラ叫んで血溜まりに飛び込み、身体が欠けている子供たちを順に揺さぶる。

「シドラ…リーム…ヒンド…ああ、神よ、神よ…ウォード、ザイナ、ラシャー…、起きて…ねえ、お願い、目を開けて!」


(ラシャー…!!)

エーリンよろける。


ライラ、崩れた天井に頭部を潰され動かないヤキーンを揺さぶる。

「ねえ、ヤキーン、朝よ…起きて…起きて…起きてよっ!」

わああああっ

ライラ、ヤキーンの亡骸にしがみついて号泣する。


かろうじて生き残った子供たちも、テクラやライラ、年上の子にしがみついて泣いている。


「エーリンッ!!」

ゾットが息を切らせて教室に飛び込んで来る。

「無事だったか」

エーリンをリリアンごと背後から抱き締める。

が、ぱっと腕をほどく。


エーリン、振り向き、震える声で、

「ラシャーが…。私…ラシャーに幸せになれるよ、って言ったのに…」

ゾットの肩に寄りかかるようにして泣く。

ゾット、躊躇(ちゅうちょ)してから、そっとエーリンの肩に手をやる。


ゾット「エーリン…マフムード首長に報告しないといけない。遺体を埋葬するために応援も呼んでくる」

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