表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
d+d【先行公開版】  作者: Hilde
【先行公開版】第一章 壁 - Wall -

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

12/60

検問所 - Border Crossing - 3

◯カナン地区・北ガザ県・ベイト・ハヌーン市・傭兵宿舎(夜)


埃まみれのゾットと息子たち、疲れた足取りで階段を上がる。

突き当たりの部屋のドアの前にうずくまっているエーリンを見て、ぎょっとする。


ゾット「なんでまだ居るんだ?」


エーリン、のろのろと顔を上げて、

「通行証がないと出国させないって」


ゾット「何だそれは」


エーリン「カナン人を出国させないから、カナン人でないことを証明する書類が必要なんですって」


ゾット「俺たち(ロマ)にそんなもの無いだろ…」


エーリン「私、ここに泊めてもらえるかしら?」


ゾット「…俺たちから離れるなよ。他の奴らと雑魚寝だから」



◯傭兵宿舎・室内


仕事を終えた傭兵が次々と部屋に入ってくる。


傭兵1「女だ」

傭兵2「誰かが呼んだのか」


ゾット、大声で「俺の妻だ。親戚に不幸があって俺を訪ねてきた。一晩泊めるだけだ」


傭兵たち、不満の声を漏らしながら寝転がる。

部屋の一番隅にエーリン、隣にゾット、その周りを息子たちで固めて就寝する。



◯同(翌朝)


日の出とともに傭兵たちが起き出し、支度を済ませて部屋を出て行く。

ゾットと息子たちも出発の準備をする。


ゾット、エーリンに、

「一緒に来い。雇い主に相談してみる」



◯ベイト・ハヌーン市・路上


傭兵宿舎を出て、西へ向かう。

大きな建物が増えて行き交う住人も多くなると同時に、空気が埃っぽくなる。


ゾット「カナン地区は3つの宗教の聖地がある。それぞれの信者が混在して暮らしていたが、3年前、シオン教の信者が、聖地と異教徒の村を襲撃して占領し、壁を建ててシオン国を建国した。残った地域もシオン国の攻撃を受け続けている。カナン地区も防戦しているが、戦力の差が圧倒的で押されているらしい。

人の出入りも制限されているから、この状況が外に伝わらず、孤立無援の状態らしい」


多くの家族連れが南へ向かって移動している。皆、痩せて疲れた表情をしている。父親に抱えられた子供の細い手足が力なく揺れている。


ゾット、手のひらほどの大きさの紙をポケットから出す。

「昨日、空からこれが降ってきた。南へ行けという意味らしい」


紙には、カナン地区の地図が描かれ、シオン語とフスハー語で文字が書かれている。カナン地区の北部に何カ所も✕が付けられ、南部へ向かう矢印が大きく描かれている。


エーリン「大きな作戦って、このこと…?」


ゾット「恐らくな。お前を出国させるように雇い主に頼んでみるが、出国できなかったら南へ向かえ」


エーリン「ゾットたちは…?」


ゾット「わからん。作戦次第だ」


通り沿いの建物が崩れており、がれきが道路に散乱している。


エーリン「あの建物、壊れているわ」


壊れた壁の隙間から、中で住民が暮らしているのが見える。


ゾット「砲弾がシオン国から飛んでくる。ここから先はあんな建物ばかりだ。がれきが増えて足場が悪くなるから気を付けろ」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ