表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/3

2

 お風呂からようやくお父さんが帰ってきた。

 熱い湯につかったせいか顔が真っ赤だ。昨日も寝る直前までお風呂に入っていたのによくふやけてしまわないなと僕は思う。

 お父さんは目ざとく僕の手の中の物を見つけた。

「そんなおもちゃ持っていたか?」

 お父さんは不思議そうな顔をして僕の手の中のそれを見ていた。

「部屋に落ちてた」

「昨日は気が付かなかったが、いや、こんなでかい物が落ちていたら気が付かないはずないな」

 そう言って僕からそれを取り上げた。

「水筒かと思ったが、蓋が外れないな」

 水筒なら二のある位置を何度もお父さんはひねっていた。

「なんなんだろうなあ」

 お父さんは首をかしげる。

 お父さんの手から僕はそれを取り戻す。

 僕は蓋の位置をまじまじと見ていた。

 金属に真っ黒なガラスがはまっていた。

 僕はそれを隅々まで触ってみた。

 蓋の位置から真後ろ。そこにあたる場所がどこか触り心地が違う。ここだけ柔らかい?

 僕はそれをリュックに詰めた。

 それから家族でこの街を観光する。

 山の中の道をひたすら歩く。お母さんは時々神社なんかによってお参りしている。どこか行くならおもちゃがいっぱい売っている場所がよかったのに。

 途中で団子を食べた。本当はチョコレートがよかった。

 つまんないつまんない僕たちはひたすら歩いた後タクシーで駅に向かった。

 駅で御飯を食べる。やっとちゃんとした御飯だ。

 薄味の野菜ばっかりの料理と魚しかない料理なんてうんざりだ。

 僕はとんかつ定食を食べながらやっと家に帰れると安心しながら。

 僕は列車の中でそれを取り出した。何かわからない水筒のようなそれを。

 蓋のような場所にある黒いガラスをのぞき込みながらそこの柔らかいような場所をいじる。

 不意に目の前が明るくなった。ガラスの向こうに扉が見えた。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ