エイプリル・フールの嘘 異世界ver.
エイプリル・フールのネタです。
当日投稿出来て、良かった。
エイプリル・フールの嘘は、笑えないものは駄目だよねって話です。
主人公の口調が安定してないかも。
当日投稿の為、見直す時間が無かった事にしておきます。
「おい!
聖女であるお前の世界では、4番目の月の初日は虚偽の言動が許される日なんだよな!」
とある異世界のある日、頭の中が残念な公爵家嫡男が、婚約者という事になっている異世界から来た聖女、まあ、私の事だが、に問い掛けました。
いや、断言口調なので、問うている訳では無いのかな?
何かニュアンスが違う気がするんだけど…。
それに、この世界での暦は一年10ヶ月で、1月35〜37日だったりするし。
トータルの日数が辻褄合わせされているのは、作為的なものを感じる…。
例えば、色々ある世界の規格って決まっているとか?
建売り住宅的な?
ちょっと例えが悪いかな…。
まあ、どうでも良い考察だけど。
おっと、何か睨んできているし、返事をしなくては。
「はぁ、まあ。そうでございますね。」
エイプリルフールの事だよね?
うーん、明らかに冗談と分かる類のものが基本で、直ぐにネタバラシが必要。
更に、人を傷つけるようなものは論外なんだけど、幾ら説明しても自分に都合の良いように脳内変換する男なんだよね。
もっと言えば、自分の考えに沿わない意見には、癇癪を起こすだけだし。
て言うか、何処から聞いたんだろ?
過去の聖女の逸話でもあったのかな?
まあ、いいや。
ここはいつも通り、無難に聞き流そうかと思ったけど、昨日とある朗報を聞いた事もあり、少しお相手をするかなと、気を変えた。
何か嫌な予感もするしね。
「どの様な嘘を吐かれたのですか?」
すると、聞かせてやろうとドヤ顔をする嫡男。
いや、別にそんなに聞きたい訳でも無いんけど。
イラっとするのを抑えて、先を促す。
「聖女のお前と婚約する際に、婚約破棄してやった元婚約者がいただろう。
可哀想だから、愛人として引き取ってやろうとしてやったのに断りやがった奴だ!
そのまま、未婚のまま引き篭もるのがお似合いだと思っていたら、よりもよって隣国の王族に嫁ぐ事になったと聞いたんだ。
あんな奴に相応しい縁談ではないが、忌々しいことに既に決定事項でな。
だから、隣国の使者に、彼女は自分の従者と出来てる淫乱だと言ってやったのさ。」
なんて事を!
直ぐに王宮に知らせないと!
「明日にでも、聖女の世界での慣習だと言っておくさ!」
同席していて蒼ざめている執事と侍女に、目線で対応する様に指示。
慌てて出て行く彼ら。
呆れたし、堪忍袋の緒が切れた。
昨日来た朗報、契約期間満了のお知らせも来たんだし、もう潮時だよね。
最後にザマァしてあげようか!
「では、私からも嘘を。
私がこの公爵家に居るのは、婚約の為では有りません。
実は、公爵家において唯一の直系男子であるご嫡男様が、治癒魔法でも治せない死病に至る呪いに侵されてることが判明したのです。
その呪いは強力で、浄化も不可能でした。
出来る事は、呪いを抑えての延命のみ。」
何故なら、嫡男本人が呪いの触媒を飲み込んで消化していたから。
どうやら、とある下級貴族次男に悪逆非道な事をしていて自殺に追い込んだらしく、その恋人から恨まれていたそうで。
彼女は捨て身で、嫡男に気のある振りをして一夜を共にし、その時の食事に呪いの触媒を混ぜ込んだらしい。
嫡男も迂闊としか言えないが、そこまで恨まれるなんて何をしたんだろう?
おっと、説明の続きをしないと。
「この国の筆頭公爵の後継問題発生を直ちに公にするには、色々問題がありました。
事態を最小限に抑える為に、それなりの時間が必要でした。
強力な呪いに対抗して、その時間を稼ぐにも又強力な力が必要でした。」
この世界はつい先日まで、急速に広がる瘴気で作物は不作、魔物は凶暴化、正に世界の危機に見舞われていた。
それを憂いた女神様が聖女を異世界から召喚し、世界を危機から救ったのである。
因みに、その聖女が私。
ただ、瘴気から救われたと言っても、世界的混乱の後始末で各国の上層部は大変である。
そして、その混乱を利用しようとする者達もいる。
喉元過ぎれば熱さを忘れると言うが、ちょっと前まで、世界の危機だったのに、…ある意味逞しい者達だよね。
「そこで、世界の浄化を行う程の力を持つ聖女に、時間稼ぎの為の嫡男延命の依頼が来たのです。
帰還の延期に関しては、宰相様である公爵家御当主様自らが動き、聖女が了承するならと女神様から許可を頂き、私に話が来ました。
その後の交渉の結果、私は引き受けました。
そして話し合いの末、下手な横槍を防ぐ為に延命目的と知られない方が良いと、表向きは嫡男様の婚約者として、この公爵家に来たのです。
そうそう、
元婚約者様は、元々望んだ婚約でも無かった事に加えて、慰謝料と王家も新たな縁組に協力すると聞いて、二つ返事で了承したそうです。
そうです。
今回の縁談には、この国の王家も関わっておられるのですよ。」
私が聖女として世界救済に来たのは、女神様からの依頼。
元の世界で事故死する筈の処を、救命と元の世界への帰還を交換条件にこの世界を救う事を引き受けた訳で。
これまで、瘴気の浄化に必要な人材を見付けても、逆ハー希望とかチートで無双させろ等、普通は交渉が大変なんだけど運が良かった、と女神様曰く。
因みに、事故には一切関わっていないとの事。
自分の世界は兎も角、他所の世界に干渉する事は出来ないらしい。
まあ、コチラとしては信じるしかないけど。
聖女としての役割は命と引き換えなんだから、文句は言えなかったんだけど、帰還後のことを考えると公爵家からの依頼は有り難かった。
こちとら、奨学金返済に苦しむ薄給社畜。
帰還してから更に上乗せで入院費も稼がないといけないし、どうしたものかと思っていた。
借金返済と当面の生活費に困らない額なら、女神様が現世の神様と交渉して上手いことやってくれると約束してくれたし。
流石に、生命と引き換えとは言え、報酬ゼロは気が引けたらしい。
そして先日、後継に関して目処が付き、混乱も最小限に抑える算段が付いたと連絡があった。
近々、帰還の儀も行われるとの事。
元婚約者様も、代わりの縁談を無事用意出来て、一件落着の予定だった。
正直かえって良かったんじゃないかな、なんて思ったりもしたんだけど…。
そ・れ・な・の・に!
「ふふ。
なんて、冗談ですわ。婚約者様。」
あら、安心した顔をするかと思いきや、未だに引き攣った顔をしている嫡男。
頭の中残念男だけど、自分のしでかした事に流石に気付いたのかな?
それとも、私の嘘が何処か分かったのかな?
もっと、何処が嘘なのか曖昧にしようかとも思ったが、まあ良いですよね。