待ち合わせ
10月某日
先程からスマホで時間を確認したり、あたりをキョロキョロしたり、はたから見たら不審者のような動きをしている女、雨宮莉乃。
「落ち着け……」
言葉に出したがやはり落ち着かない、何故なら……
「ごめん、待たせちゃった?」
紺のジャケットに白のシャツ、黒のパンツ、綺麗にまとめられた姿にスタイルの良さがよく分かる。
そして、声をかけて来たこの男、間宮和樹こそが私がそわそわしていた原因である。
「いえ、今来たところです!」
「ほんとに?」
「ほんとですよ!」
ふと間宮が手を伸ばしてきて、距離を取ろうと離れようとすると「動かないで」と制される。
頬の横に手を伸ばすと髪を一撫でする。
「ん、直った。風強いよね、今日。待たせてごめんね」
へにゃっと笑う彼は、いつも人を寄せ付けないオーラを持っている彼からは想像できないほど今は柔らかい空気をまとっている。
思わず目を逸らし、「ありがとうございます……
」としか返せない莉乃は既にHPは0寸前の状態だった。
「でも、ほんとに大丈夫?」
「何がですか?」
間宮さんが行きたいお店がある、と間宮さんの案内で待ち合わせした駅から歩いてお店に向かうことになった。
そんなに離れてない場所らしく、間宮さんは地図も見ずに歩き出して、程なく間宮さんが聞いてきた。
歩き出して、さりげなく間宮さんは道路側を歩いてくれるのはほんとに手慣れている様でなぜだか元彼とは逆でつい比べてしまった。
「城ちゃん、、、城山くんと付き合ってるんじゃないの?」
「付き合ってないですよ!」
城ちゃんが変な答えをするからあらぬ誤解をしているようで、さすがに私は訂正する。
「え、、、、」
「城ちゃんがなんかあやふやなこと言ったみたいですけど、付き合ってもなければ1度も城ちゃんとそーゆー関係になったことないですから」
「ほんとに?」
「嘘ついてどうするんですか」
キョトンとして聞いてくる間宮さんがおかしくて私は笑ってしまった。
「もう10年以上彼氏なんて居ないですよ。私より間宮さんこそ、付き合ってる方居ないんですか?」
「居たらそもそも誘わないよ」
少しまでで立ち止まり真っ直ぐと私の目を見て答えた間宮さんはとても真剣な顔をしていた……気がする。
「さ、着いたよ。ここ」
空気を誤魔化すように丁度お店に着いたようで慣れたように店内に入っていき、私もその後ろに続いた。




