真実の裏で
莉乃が間宮和樹と仕事をしたその日の夜、「Help!!!!」とだけ送られてきたLINEに心配し、翌日莉乃の家に向かうと世界でいや、宇宙で一番嫌いな奴が出迎えた。
「よっ、莉乃じゃなくて残念だったな」
意地悪く笑うこいつこそが城山健太郎。
その辺のアイドル顔負けの爽やか風イケメンだが中身はただの変態でなんでこんなやつが超人気声優なのかが私は全く理解ができない。
「なんで、あんたがここにいるんだよ」
「莉乃に呼ばれたからに決まってるだろ」
「は?お前なんか呼んでないんだよ」
「話聞いてた?俺は莉乃に呼ばれたの。お前に呼ばれてねぇよ」
玄関で城山と言い合いしていると、城山の後ろからひょこっとこの家の家主が出てきた。
「城ちゃん、瑠衣ちゃん、二人とも遅いと思ったらまた言い合いしてるの?いい加減仲良くして欲しいんだけど」
「「絶対無理」」
「ほら、息ぴったりー」
ぱちぱちと拍手する莉乃に、城山と睨み合いを続ける。
「めんどくせぇな、ほんと。...はぁ、莉乃、腹減った」
「はいはい。ご飯できたから食べよ。それからゆっくり私の話聞いてほしいし。瑠衣ちゃんは手洗ってからね」
「やった!今日のご飯なに?」
「今日は唐揚げになすの味噌汁に冷奴、あとはレンコンのきんぴらだよ」
「城山の好物ばっかじゃん!!」
「城ちゃんに昨日連絡したら食べたいって言うから」
「言ったもん勝ちだからな」
鼻で笑いながら見下ろしてくる城山に肘鉄でも入れたかったが、莉乃の手前大人しくした。
ここで突っかかったら城山の思うツボだ。
――――――
莉乃お手製のご飯も食べ、相変わらずどれ食べても美味しいから幸せな時間である。
斜め前にいる城山の顔がなければ!!!
なんでちゃっかり莉乃の横にすわってすました顔でご飯食べている?
いや、私の横でも正面でも嫌だけど!!
「なに?キモイんだけど」
私が城山の顔をガン見している
と、怪訝そうに言ってきた。
「なんでもないですが?」
口開けば喧嘩腰の城山だが、莉乃が声をかけるとコロッとこいつは雰囲気が柔らかくなる。
「城ちゃん、ケーキありがとね!」
「別に莉乃が好きそうなのがあったから買ってきただけ」
この男、莉乃だけには甘い。だからと言って告白する訳でも無い。
梨乃も城山に恋愛感情は全くなく、お互いが都合がいい存在だと語っている。
いまいち掴みどころな無い城山はほんとむかつくやつだ。
莉乃はティーポットを用意すると三人分の紅茶とケーキを持ってきた。
「さて、2人はどれがいい?」
「莉乃、先に選んでいいよ」
「っつか、お前のために買ってきたんだから先に選べ」
「えー」
私たちの圧に負けたのが、困りながらも嬉しそうな顔に私もほっこりする。
―――――――――
「それで、間宮和樹とはどうだったの?」
「それが...」
今までニコニコしていた莉乃が突然この世の終わりかのような顔をしてぽつりぽつりと話し始めた。
「で、間宮和樹にバレたわけね」
「はい...」
「でも、嫌がられては無いみたいだからイベントとか別に行ってもいいんじゃない?」
「うーん。いいのかなぁ」
「にしても、顔だけじゃなくて名前までバレてるなんて...間宮和樹、侮れないな」
すると、今まで黙ってた城山が口を開いた
「俺が間宮さんに言ってたからな」
「「.........はぁ!?」」
まさかの言葉に莉乃と一緒に城山に詰め寄った。
「ちょっと城ちゃん!?言ってたってどーゆーこと!?」
「そのまんまの意味だけど」
「お前、散々しれっとした顔でなに言ってんの!?」
「いつから!?いつから間宮さんに私の事言ってたの!?」
「最初に共演した時ぐらい...かな」
「ってことは、8年くらい前?」
「だな、正確には覚えてねぇけど」
「そこしっかり思い出して!?」
「まぁ、間宮さんにお前と付き合ってるのか、と聞かれたしな」
「一応聞いておくけど、城山、否定したんだよね?」
「ははは」
城山は謎のから笑いをして、余計に私たちの怒りを煽った。
「城ちゃん!?私たち付き合ったことないじゃん!!なんでちゃんと否定しないの!?」
「別に俺らが付き合おうが付き合わなかろうが、間宮さんには関係ないだろ」
「それはそうだけど!!」
間宮と仕事をする前より頭をさらに抱えた莉乃。
なんで、悩み相談するはずがコイツは悩みを増やしてんだか。
莉乃は暫くは関わることないから大丈夫、と自分に言い聞かせ、とりあえずは話しても解決しないので今後は仕事以外で不用意に関わらないように心に決めたようだった。




