金髪の先輩に告白されちゃった!?
帰宅の途中で、公園に寄ることにした。
私と先輩は、途中のクレープ屋さんでクレープを買って、近くの公園のベンチに座って食べた。
「瑞樹は何のクレープだっけ?」
先輩に聞かれて、私は答える。
「あ、イチゴカスタード生クリームです」
ほのかに暖かいクレープから、ほんのりいい匂いが漂ってくる。
「俺のは淡雪生チーズケーキクレープ。限定だから今しか食べられないぞ。食べてみる?」
そう聞かれると、食べてみたくなる。
私がジーッと先輩のクレープを゙見ていると、先輩は笑って、はい、と私の目の前に差し出してくれる。
いいのかな?と、また思う。間接キスにならないかな?
チラッと先輩を見ると、優しい目で私を見てる。
気にしてないみたいから、そのまま、差し出してくれたクレープを一口かじる。
「あ、美味しいです・・・すごい!チーズケーキがシュワッて溶けて、雪みたいっ」
私が感動して言うと、先輩は、良かったなと笑顔を返してくれる。
なんだろ・・・
何か、急に恥ずかしくなってきてしまった。
「あ、あの、海斗・・・も食べる?」
呼び捨てが抵抗あって、変な間が生まれてしまう。
「じゃあ一口」
そう言うと、私のクレープを持ってパクっと一口食べる先輩。
距離が近くて、何か心臓がうるさい。
「お、美味しいですか?」
私がきくと、先輩は、頷いて言う。
「ああ、美味しい、食べてみろよ」
そう言われて自分のクレープを一口食べる。
うーん、幸せ。甘いもの食べると何でこんなに幸せになれるんだろう。
「うまいか?」
先輩に問いかけられて、私はうんうんと何度も頷く。
「海斗は、クレープに何でもトッピング出来たら何がいいですか・・・いい?私は雲を固めた綿あめと、星屑をゼリーにした宇宙のクレープがいいなぁ。クレープ生地も、青っぽくして、キラキラしたアラザンをかけるの。きっと見た目も良くて、人気になりそう」
私がそう言うと、海斗は少し考える。
「そうだな、雪のアイスにして、オーロラをその上に浮かべて、沢山の虹をクリームにして入れるのはどうだ?」
「それも良いっ、光のクレープ。銀河でクレープ屋さん、やりたいなぁ」
「いいな、お金はどうするんだ?」
「そっか、うーんどうしよう」
悩む私を優しい笑みで見守る先輩。
「お客さんは宇宙人でしょ?ほかの惑星の珍しいものをもらったらどうかな?特産品みたいな。そしたらそれも交易できるし・・・」
「結構現実的だな」
「あはは、だって、店だもん。利益がひつようです・・・だよ」
そんな話をしながらクレープを食べ終えた私達。
話しているとあっという間になり、帰る時間になる。
「瑞樹って、俺が怖くないの?」
一緒に帰宅途中、唐突に先輩が話し出す。
「怖いって・・・・海斗が怖いわけない」
私は即答する。あ・・・でも・・・・
「最初はちょっと怖かったけど、海斗が私の話をちゃんと聞いてくれたから、もう怖くないよ。今は大切な友達だもん」
私は本心からそう言った。
「あー、友達ぁ」
海斗は複雑な顔をした。昨日兄の話をした時もこんな顔してたな。
「どうかした・・・?」
私が疑問を抱いて首を傾げると、海斗は首を振る。
「いや、何でもない」
そう言って私の頭に手をソッと置く。
「・・・?どうしたの?」
私が聞くと、海斗は、私の顔に近づいてくる。
「・・・あのさ、鈍いってよく言われない?」
「はっ?ひどいっ、そんな事ないよ」
私が抗議すると、海斗は軽く笑って、髪をクシャッとした。
「あーっ、髪がっ!」
「悪い」
すぐに髪を手で直す海斗。治すならなぜさっき乱したんだろう?
「海斗の髪、綺麗だよね」
私は髪つながりで、海斗の髪をジッと見た。
「そうか?染めてるから痛むんだよな」
「えー、そうは見えない・・・」
私は反射的に海斗の髪へと手を伸ばして髪を触る。
「ちょっ・・・いきなり触るなよ」
海斗は何故か驚いたように後ろに下がる。
「だって、私だって頭を触られたんだから、いいでしょ?」
私が抗議すると、海斗は困ったような顔をした。
「瑞樹と俺じゃ違うんだよ」
「何が?」
私が追求すると、海斗は先に早足で進んでいく。
「暗くなる前に帰るぞ」
「海斗っ教えてよっ」
そう言いながら追いかける私。でも結局海斗の考えていることは分からなかった。
その日。海斗と連絡先を交換した。
早速帰宅すると、海斗からメールが届いてた。
「無事帰れたか?今日は楽しかった。また寄り道して帰ろうな」
海斗のメールに思わず微笑む。
「私も楽しかった。寄り道楽しみにしてるね。今日はありがとう」
メールを送ると充足感を感じていた。
こんな気持ち、初めてかもしれない。
やっぱり海斗は私にとって特別な人なんだと感じる。
特別な救世主。私の居場所を作ってくれた人だから・・・。
だから、感謝しかない。
次の日、昼休みに屋上に足を踏み入れた私は言葉を失った。
「あっ、あっ・・・海斗っ、髪っ!」
「ああ、染めた」
海斗の綺麗な金色だった髪は黒くなっていた。
「ついでに、今日からちゃんと授業受けてるから」
「えっ、何で?急にっ」
黒く染めた海斗の髪に違和感を覚える。それに、急に授業受けるって・・・。
「だって、俺のせいで瑞樹が悪く言われるのは嫌だし」
「え・・・・」
私の為なの?私の為に髪を黒くして、授業にも出てくれてるの?
私が悪く言われないように?
「そんなの・・・」
なんとも言えない感情が込み上げてくる。私の為に彼はやりたくないことをやってくれているんだろうか?
優しさからなんだろうけど、私の内心は少し苦しい。
私が黙ってしまうと、海斗は私の頭に手を乗せて、顔を覗き込んできた。
「どうした?俺の髪、似合わないか?」
「あ、そうじゃない、イメージ変わったけど、海斗は海斗だから。そうじゃなくて・・・無理、してないかなって」
私は気になって海斗に問いかける。
間近にある海斗の顔が微かに驚いたような顔になる。
「無理してない。俺がやりたくてやってるんだから気にするな」
頭をポンポンされる。
それから、授業の時間になって、私と海斗は一緒に教室に戻る。
海斗と一緒に教室に行くのが、新鮮に感じる。
「今日、一緒に帰れるか?」
海斗に聞かれて私は頷く。
「帰れるよ。校門で待ち合わせする?」
「そうだな。そうするか」
2人で話していると、3階の3年の教室の近くにつく。1年はここから階段を降りていくんだ。
「海斗〜!どこいってたの?お昼一緒に食べたかったのに」
いきなり、海斗の腕に3年の女の先輩が抱きついてきた。
私は驚いて、一歩離れる。
女の先輩は、茶色く染めた長いウェーブヘアに、薄いメークをしていた。目鼻立ちがはっきりした綺麗な人だった。
綺麗な人だけど校則違反、だな、と私はった。
腕に抱きつかれた海斗は迷惑そうに腕を払った。
「お前と約束してないだろ。勝手に触るな」
海斗の声が怖くて、私はビクッとする。
私の前でそんな声を出したことないのに。
「え〜冷たいな〜せっかく久しぶりにクラスに来たんだし、仲良くしようよ」
女の人は海斗の声にもめげずに話す。
すごいな、と思った。私ならあんな冷たく話されたら会話を諦めてしまいそう。
「お前と仲良くする気ないから。どっかいけよ」
つ、冷たい・・・。
私は海斗の態度の変化に驚いていた。
「もー、海斗ってば、じゃあまた今度ね!」
そう言って女の先輩は、笑顔で手を振って去っていく。
すごい・・・。あのメンタル、見習いたいな。
海斗が振り返る。私は少し怯えて彼の顔をおそるおそる見た。
でも、私を見る視線は優しい。いつもの海斗だった。
「ごめんな、あいつ、前からしつこいんだ。別に何もないからな?」
何か、少し焦ったように私に言う海斗。
「うん、海斗、私との態度と全然違うからびっくりしたよ」
私は思わず思ったことを話す。
「怖かったか?瑞樹は特別だから・・・絶対に怖がらせる事は言わないって約束する」
「あ・・・うん」
海斗の目がいつも私を見てるとき優しい。だから、戸惑ってしまう。落ち着かないんだ。この頃。
「あ、じゃあ、そろそろ5時間目始まるから、行くね」
私がそう言うと、海斗は頷く。
「じゃあ、また放課後に」
私は教室に行く間も考えていた。考えてみれば普段の海斗のこと、私は何も知らない。
私の前で話す彼しか知らないんだな、と改めて思ってしまった。
それが少し寂しい気もする・・・。
放課後、私はいつものように、すぐに帰宅の準備をして、昇降口に早足で行く。
海斗と会えるのが楽しみだった。
靴を履いて校門に向かおうとすると、途中でさっきの3年の女の先輩が目に入る。
こちらを見て腕組みしていた。
私は一応軽くお辞儀をして通り過ぎようとすると、
「待ちなよ」
と呼び止められる。
「なんですか?」
私が尋ねると、先輩はギロッと私を睨んだ。
「あんたさぁ、さっき海斗と一緒にいたよね。調子乗らないでくれる?あんたみたいな地味な子、海斗が相手にする訳ないでしょ」
女の先輩の言葉は攻撃的だった。
私はたじろぐ。
「あの、私は海斗先輩と友達なので・・・地味とか派手とかは関係ないと思います」
「だからっ、友達っていうのが思い上がりだっていうの!あんたなんて遊ばれてるだけだから」
先輩はイライラしたような顔になる。
遊ばれてる?うーん。良くわからないな。友達だと思われてないってことかな?
それでも、私は海斗と一緒に話せればそれでいいんだけど・・・。
「あの・・・」
私が答えようとした時、私の目の前に誰がか立ちふさがった。
「瑞樹、何かされてないか?」
海斗だった。心配そうな顔してる。
「ううん、大丈夫だよっ」
慌てて答える。海斗は女の先輩の方に顔を向けた。
「お前ふざけんなよ。瑞樹に何言った?こいつに何かしたらお前のこと絶対許さねぇからな!」
「海斗っ・・・」
私に背中を向けてるから海斗がどんな表情してるのか分からないけど、女の先輩の表情が青ざめている。
「俺にも瑞樹にもう二度と話しかけるな!」
海斗の冷たい声に、先輩は、そのまま何も言わず走って校舎の方へ向かっていった。
「瑞樹・・・ごめん」
先輩が私の方を向いて謝る。
「大丈夫だから、謝らないで」
私は慌てて海斗に言った。
「でも・・・何か言われただろ?俺のこと?」
「あ・・・うん」
私達が校門前で話していると、下校の生徒たちがチラチラとこちらを見ている。
「場所変えるか」
海斗はそう言うと、私の手を握って、近くのカフェに入った。
「好きなの注文して」
「うん・・・」
海斗はカプチーノ、私はカフェラテを注文すると、彼は私に視線を移した。
「・・・で?なんて言われたの?」
「えーと、海斗は私のこと友達と思ってないって。遊ばれてるだけだって」
私は女の先輩に言われたことをそのまま言う。
「あいつ・・・!」
海斗の表情が怖くなったので、私は慌てて言葉を付け足す。
「でも、私は海斗が友達だと思ってなくても、話せるだけで楽しいよ。だから、気にしない。それに私は友達だと思ってるから」
私は笑顔で海斗に言うけど、海斗は複雑な表情で私を見た。
「・・・あのさ」
「うん?」
海斗が手を伸ばして来て、私の手に彼の手を絡める。
「か、海斗?」
「俺、瑞樹のこと、凄く好きなんだ」
「え、え?」
海斗の手の感触に心臓が急激に鼓動を早めた。
「この気持ちは友達じゃない。でも、瑞樹と離れる選択肢はないから、もし、瑞樹が友達でいたいって言うなら、俺はそれでもいいよ」
「あ・・・・」
私がその言葉を反芻していると、飲み物が来た。
気まずい沈黙が流れる。
気持ちを落ち着かせる為に一口飲み物を飲む。
海斗は私のこと好き?って恋愛的な意味でだよね?
私は?私は・・・。どうなんだろう。
「か、海斗、それって恋愛的な意味でだよね?」
私が聞くと、海斗は笑う。
「そうだよ。他にないだろ」
「あの、付き合いたいってこと・・・なの?」
私は恋愛したことがなくてよく分からなくて尋ねる。
「ああ、瑞樹が良ければ付き合いたいよ」
「でも、私、恋愛したことなくて、海斗は大切だけど、恋愛かどうか分からなくて・・・」
正直に言ってしまう。特別だけど、そもそも異性の友達が一人もいないからこれが恋愛なのか分からないし考えたこともなかった。
「それでもいい。もし俺のこと好きじゃなかったら友達に戻ってもいい。俺は瑞樹と一緒にいられるなら別に何でもいいから。まぁ、出来れば恋人として一緒にいたいけどな」
「そっか・・・」
一緒にいたいと言われて素直に嬉しい。
それなら、海斗と付き合ってみようかな。私の中に
、海斗の気持ちに応えたいという想いが強く沸き上がってくる。
「じゃあ、付き合ってみようかな・・・」
私は海斗に自分の気持ちを話すと、海斗がガタッと椅子から立ち上がって身を乗り出す。
「本当か?」
「うん・・・私、今海斗以外に特別な男の子っていないし、いいよ・・・でも、もし、好きになれなくても、友達に戻れる関係でいたい」
海斗と別れて話せなくなるのは絶対嫌だ。
「分かった。守るよ。俺も瑞樹とは友達でいたいからな。でも、そう言わせないようにするから。楽しく過ごそうな?」
彼に言われて、私は笑顔で頷く。
「そうだね、楽しく過ごそうね!」
海斗と私は一息ついて、ようやく飲み物を落ち着いて飲むことができた。
でも、ずっと海斗が私を見てニコニコしてるから、私は恥ずかしくてしかたなかった。
「ねぇ、海斗。そんなに見ないで、恥ずかしいよ」
私がカフェラテのグラスを持ちながら言うと、海斗は私の髪をサラッと撫でる。
「仕方ないだろ。瑞樹が可愛いんだから」
「えっ・・・」
私はカフェラテのグラスを持ったまま固まってしまう。
「そんなこと、急に言われるとどうしていいか分からないっ」
「ずっと瑞樹に言いたかった。まぁ、でもあまり見てほしくないなら気をつける。瑞樹、カフェラテ好きなの?」
海斗はそう言うと視線を外して、話題を変えてくれる。
「うん、カフェラテのミルク感が好きなんだ。海斗はカプチーノだね。シナモンが好きなの?」
私は海斗の持つカプチーノを見て話しかけると、海斗は頷く。
「ああ、シナモン好きなんだよな。シナモンロールも良く食べるよ」
「シナモンロール、そっかぁ。パン屋さんで見るね」
海斗の好きなものが分かって、仲良くなれたようで嬉しかった。
海斗はその後あまり、私をジッと見ることもなく、自然に会話してくれたから、楽しくカフェの時間を過ごすことが出来たんだ。




