キャバクラ直行直帰
主に新宿ゴールデン街の一杯呑み屋を主戦場としていた僕ではあるが、会社では普通に女の子たちがいるキャバクラや、キャバクラ以上の何かのある夜のお店(性風俗とはまた全然違う)のようなお店にも普通に出入りはしていた。
キャバクラと一言にいっても、結構地域差がある。
たとえば値段でいうと、都内を高いエリアから並べるとこのような。
六本木>歌舞伎町>渋谷>池袋、上野、錦糸町>=中野、高円寺、吉祥寺、その他主要駅周辺
銀座となると、キャバクラではなくいわゆる「クラブ」になってしまうので、金額は跳ね上がるため除外した。僕が何度かお供した店では、詳しい料金システムまではわからなかったが、一人で行っても2、3名で行っても、一席15万円という固定価格だったようだ。
さて、僕のホームタウンは歌舞伎町なわけで、お高めの地域に属するし、会社でよく使うのも歌舞伎町がメインで、たまに六本木、超たまに渋谷って感じだったのだから、どっちにしても高い。そんな価格相場かつ、割と豪快に遊ぶ世界を見ていたので、その常識を持ったまま、他のエリアのキャバクラを知った時は逆のカルチャーショックを受けた。
「え、こんな安いの?」
たまたまだったが、下北沢駅周辺で3店舗ぐらいしかなかったキャバクラに行く機会があり、それなりに長時間滞在したあとの会計を見て本当にそう声に出してしまったことを覚えている。
長居したのにはわけがあって、といっても説明するまでもないのだけれど、当然一見でフリー(指名せずに15分おきぐらいで、キャストがクルクルと変わっていく)で入った上で、意気投合した女の子をまあまああっさりと場内指名してしまい、そのまま楽しくということであって。
基本的に会社の経費で行くお店がとっかかりにはなっているものの、仲の良い女の子ができれば一人で自腹も通うし、自分中心に誰かと遊ぶとなれば、やはりそういうお店に2次会、3次会あたりで行くことになる。そんな前提で考えると、やはり流石に頻繁に通うのに、歌舞伎町エリアはお高めだ。
その点、下北沢のお店はリーズナブルで、頻繁に通うという行為を許容可能なレベルではあったし、また歌舞伎町のお店とは少し違った雰囲気、なんというか、なんとなくお高く止まっていない、お店側もほんのり大学のサークル活動気味なノリのようなものをいたく気に入ってしまい、しばらくそちらへ通う日々が続いた。
しばらく……、あっという間に1、2年は経過してしまっていたかもしれないけれど、結構な期間、そこそこの頻度で通ったはずだ。
それこそ、一人でも通った。
ひどい時には、特に誰かと約束があるわけでもなく、なんとなく自宅からお店までタクシーで乗り付けて、3セットぐらい飲んで喋って、帰りももちろんタクシーで帰宅……なんてことも。
玄関開けたら20分でキャバクラ。
今思えばアホだなぁと思えるようなことも平気でやっていたのだから、若いって素晴らしい。
若いといえど30代。
若さってなんだ? (ふりむかないことさ〜)
特に何を求めていたわけでもなく、そんな素っ頓狂な遊び方をしている自分に酔っていたのかもしれないし、独り身だった頃なので、あわよくばという気持ちがなかったわけでもなかろうけれど、もちろんそんなことになるケースは限られているのは重々承知しており、費用対効果なんて言葉はどこ吹く風、自分なりの夜の街の楽しみ方がそれだったのだろう。
それが、ホームタウン歌舞伎町だったとしたら、おそらく金銭的にそんなに長い期間続けることはできなかったはずだ。下北沢価格と雰囲気だったからこその嗜み方をしていたのだとも言える。
なんて書いてはみたものの、下北沢で指名していたその女の子は、その後に、歌舞伎町の店舗に移籍したもんだから、自然な流れで僕も歌舞伎町に通う羽目になり、結構搾り取られたなあという苦い思い出を、一応ここに共有しておこうと思う。
STOP キャバクラ 直行直帰!