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酒罵微忘碌  作者: 久世
12/26

そうだ、那覇へ行こう! 「東京からの通い夫」編

 有言実行の男とは、僕のことだ。


 件の沖縄家族旅行の後、東京-那覇間の移動ルートの調査や、長期滞在を安く抑えるための宿探しなどを入念に進める。


 ただでさえ向こうではお金を使うことになる。なんせ、単独行動でのキャバクラで、おそらく行けば行ったでただひたすら延長を繰り返すという日々になるだろうから。


 できるだけ移動と宿泊にお金をかけずに、全リソースを店舗に注ぐ。資源の選択と集中。そういう心構えで望んでいたので、飛行機はもちろん早朝便のLCC。宿泊に関しても、日中は通常の仕事のため、Wi-Fiと電源環境やオンライン会議ができる空間は大前提として必須ではあるものの、LCHローコストホテルを謳っているような安宿などを利用する。


 意外と安くおさまるなと思っていた中で、想定の範囲外だったのが、季節要因による航空券の料金の爆上がり。


 成田から那覇までは、オフシーズンであれば片道数千円から高くても1万円程度で行ける時期なのだけれど、夏、ハイシーズンに入るやいなや途端に2万円近くまで高騰する。朝8時頃発の早朝便の値段でこれなので、もし横着して日中の移動とすると、3倍近い値段にもなる。


 多少金額は異なるだろうと思ってはいたものの、まさかこれほどとは。旅慣れていないビギナーゆえの盲点だった。


 僕は、このプロジェクトのマイルストーンを、一旦夏までと定めた。


 そこからの行動は早かった。


 まずは仕事の日程調整。幸い当時は、直接誰かと会う必要のある仕事の予定は、毎週火曜日に定例のミーティングがある程度だったので、アポイントなどが必要なものも、その前後に集中させた。


 もともとアポイントの多い職業ではないので、それは比較的容易だった。おおよそ週5、6日は、場所を選ばず仕事をこなせるようになる。あとは、火曜日のために月曜、火曜の早朝あたりに自宅に戻り、用事が終われば、また水曜あたりにまた沖縄へ向かえば良いだけなので、気持ちと、お金が途切れなければ、理論上は、週5、6泊の那覇滞在を繰り返すことが可能になった。


 思えばコロナの発生よりだいぶ前の時期のことなので、取引先との打ち合わせは、当たり前のように直接対面して行っていたけれど、今なら、「オンラインで」といえば概ね事足りた話ではあるので、数年とはいえ時代の移り変わりというのは早いものだとしみじみと感じる。


 閑話休題。そうしている間も、その女の子との連絡はコツコツと取り合っていた。


「近いうちに行くから」

「またまたー」

「いや〜まじでまじで」

「えー本当? じゃあ期待せずに待ってるよ」


 他愛もない、さしたる意味ももたない会話をしつつ、僕は胸をときめかせていた。


 本当に行ったらどんな表情をするかな。

 初日は連絡せずに行って驚かせてみようかな。

 お店に着ていく服は、さすがに2種類ぐらいはバリエーション欲しいな。

 これからどんなストーリーが進むのかな。


 おっさんの脳内お花畑具合といったら目も当てられない。


 とはいうものの、半分は人生トークのネタ作り的意味合いも含めての遊び心からの行動でもあったので、普通にびっくりしてもらえれば、それはそれでよかった。


 沖縄家族旅行から帰京後、一か月と少し。


「○○さんご指名で〜」

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