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酒罵微忘碌  作者: 久世
11/26

そうだ、那覇へ行こう! 「唐突に突飛な渾身の求婚」編

 普通のキャバクラを実に4軒ほどハシゴした。


 前回書いたような、沖縄ならではのシステムや文化もまだ知らない頃だったので、そういう話をしたりきいたりするのも新鮮で、まさに社会科見学気分だった。


 普段ならフリーで入ったとしても、なるべく早めに指名を決めるのだけれど、せっかくなのでということで、割と回転よく次々と違うキャストとおしゃべりに興じる。


 向こうも、僕らが旅客だと知っているので、固定客として捕まえようなんて気持ちはさらさらなく、一杯でも出してもらえれば、無理に指名を確保しようなんてギラついたこも少ないので、そこらへんはスムーズだった。


 そんな感じで臨んでいたのだけれど、3軒目のお店で、気づいたら指名してしまっていた女の子と出会う。エキゾチックな顔立ちで、ノリがとても良く、気を使わせない面白いこ。見た感じの印象もよく、社会科見学のことをすっかり忘れて、迷うことなく場内指名とあいなった。


 時間というものは、かくも無効なものかと言うほど、楽しい時間はあっという間に過ぎるものだ。各店舗1セットか2セットまでで、いくつかの店舗を巡るという方針だったため、残念ながらそう長い時間その店にも滞在することはなく、次の店舗へと歩みを進める。もちろん、その指名をした女の子とも、わずかな時間でさようならとなる。


 だけれど、僕は一緒にいるとても短い時間のうちに、ある約束というか、宣言をしていた。


「一度東京へ戻るけど、そのあとも、このお店に通うからさ、いつか時間作ってデートしてよ! ……結婚を前提に」


 我ながら、なんとも、軽々しく、そして重々しい発言をしたものだと思うのだけど、これから数ヶ月後、僕はこの計画を確実に実行へと移すことになる。


 結婚を前提にと付け加えたのは、さすがに東京から通うわけないし、ましてやあって数十分で結婚を前提になんて頭のイカれた宣言は、どうぞジョークとして捉えてもらっても構いませんよというブラフではあるのだけれど、いざ、実際に東京から通い始めてしまえば、「なんだか面白い冗談を言う人だと思っていたけど、本当に実行するなんて何か真面目で誠実な人なのかも」と思わせるための布石でもあった。


 布石だと聞いて、不誠実と思うなかれ。


 本気で受け止めてもらえるのであれば、本気の言葉として僕も行動する気持ちは持ち合わせている。それが微塵もない状態では、このような発言をすることはない。たとえそれが、初対面かつ数十分間での出来事であったとしても。

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