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地球よ原始に帰れ

作者: 月光良司


まえがき

このお語は1部「地球は愛のために」、2部「地球よ原始に帰れ」、3部「合併列島」の短編3部作で全て架空の物語になっています。



(「地球は愛のために」に続く物語)



 ある国の大統領が「本来、地球を維持しなければならない私達が地球を破壊したり、戦争を行っている国が有るのはおかしい!」との発言から世界中の国民がこの意見に賛同した...


「地球人同士に敵などいない!

合法的大量殺人など行なわれてはならない!

戦争なんてしている場合ではない!

今は直ぐにでも世界が一丸となって壊してしまった地球環境を元に戻し、気候変動を食い止めなければならない時だ!

このままだと近い将来、人類は破滅する!」と...



確かに戦争が悪い事であるのは誰でも知っているはずなのに禁止しないのは合法的大量殺人を許している事になります。又、近い将来に気候変動によって地球全体が破滅規模の災害に覆われる事になりかねません...


「戦争禁止法」を発案したある国の大統領は反対する国に対し反対の理由を問いただした...

反対の理由は戦争ビジネスによる経済欲が主な原因で根本的に個人的な「強欲」が発端である事が分かったのだ。


国を指揮する首相の「強欲」が少しでも経済を良くしようと大量殺人を行わせて良いのでしょうか?

今はそんな事をしている場合なのでしょうか?

それよりも地球環境をこのまま破壊し続けても良いのでしょうか?

毎年、悪化している気候変動による自然災害...

今、地球上におきている自然災害は天罰とも言えるのではないでしょうか?




そこで各国の首相が集まる今までに無い大規模なサミットが秘密裏に行なわれ、地球の法律として半強制的な条約となる「地球復興条約」が結ばれた。その中に核兵器はもちろんの事、あらゆる兵器の使用、所持、製造を禁止する「戦争禁止法」が決定されたのである...

このために特殊な銃(各国の大統領とSPだけが使用する許可を出せる遠隔操作可能な銃)を各国の警察に持たせ、それ以外のあらゆる兵器を一掃する作戦が実行されたのである。

又、この条約を結ばない国は世界的反逆罪の扱いとなり、その国で条約に合意する新たな首相に変える様...各国の同意が求められた。

この条約の実行により世界各国では防衛費などにあてていた軍事予算を自然環境復興に回す様、国連が各国を巡回し調査や管理を務める事となったのである。




その後、地球復興条約が結ばれてから世界各国の首相達はまるで地球外生命体からの攻撃に立ち向かうかの様に一丸となって地球環境の復興を最優先に取り組み...現在のテクノロジーを使い温暖化や汚染による気候変動を正常に戻したのである。




時程なくして...

戦争の原因に注目し、ビジネス戦争を含むありとあらゆる戦い、争い、競争などの戦争に繋がりそうな根源を見直す会議が行なわれた。

人間の欲は生命力になりますが、「強欲」は災いの原因にもなり得ます。

この「強欲」が有る限り争いの元は消えない事に結論付けたこの会議は各国で新たな法案を出させたのである...



まず、重要なキーワードは「共存共栄」と言う事で、独占せずに均等に分けるための法案として「均等化法案」が出来たのである...これは各国の経済を支えるにあたり、高くて細い柱ではなく...低くても太い頑丈な柱で支える事を目的とし、主に大企業と中小企業の差を縮めたり、貧困の差を可能な限り無くし、一箇所(又は、一個人)にお金が集まらぬ仕組みにする計画である。


(元大蔵省印刷局の方が語った見解)

「今までに紙幣は十分に発行されているのに...経済は良くなってないし、世の中全体も潤ってない原因は一部の人達の所に紙幣が集まっているとしか考えられない...」




発案された「均等化法案」には3つの法が含まれ

1.「新独占禁止法」

2.「高所得制限法」

3.「高価格販売禁止法」

以上の3つである...


例えば 1.「新独占禁止法」とは大企業にしか手が出せない様な物事により中小企業が潰れる事態にならぬ様、独占的な宣伝も禁止する法案で、全ての宣伝費や宣伝回数を制限する事を含め...一回の宣伝(宣伝を受ける側の宣伝料)を最大100万円までとし、宣伝制作費(スボンサー側の宣伝制作費)も300万円を上限とする内容である。

またテレビなどで同じ会社を沢山発信する事が無い様に一日の一社宣伝回数上限を3回までとし、中小企業も宣伝に参入出来る様、均等化を図る法案である。

※制限の上限金額は世界各国、その国の物価に応じて変わる様です。



又、2.「高所得制限法」は大企業と中小企業の所得に差を無くし、どの様な職種であれ、やはり均等化を図る法案で...これは他人より高所得を求める事で災いに繋がる事が無い様にする(高所得に向けての争いに至る受験戦争や就職戦争をなくす)ための仕組みであり、中小企業や個人業でも均等な所得を得る様にする計画である。

一ヶ月の所得上限は60万円、ボーナスの上限は180万円で年2回までに制限し、年間の最大所得制限を1,020万円までとする法案になります。

但し、大家族や月々の支払いなどの事情に限り上限を検討する免除が含まれる様です。



更に、3.「高価格販売禁止法」では

原価の約4倍価格をを上限とし、今までの高価な値段付販売を禁止する内容で、やたらと高値に販売しているネームバリュー物や技術料、宝石類や土地などの原価が分からない物までも大幅(約2分の1以下)に値段を下げる鑑定を行なう法案である。

やはりこれも高所得を欲する争いを避けるための意図で「強欲」を無くす徹底した計画である。



さすがにこれらを含む法案には反対する側も多く対応側も苦戦する事態になったのである,..



反対側と対応側の炎上した主な意見一覧

1.「新独占禁止法」に対し

 (反対側)大企業だけが仕打ちを受けている!大企業のどこが悪いのでしょうか?

 (対応側)決して悪い訳ではありません...大企業が経済に大きく貢献しているのは確かですが、その他の中小企業や個人経営者にとっては営業の妨げにもなっている現状です...

例えば商店街の近くに大きなショピングモールが出来た事で閉店に追い込まれた店の様なお話しはよく聞きます。



 (反対側)宣伝の制作費まで制限する必要があるのか?300万円までの制作費では今までの様な凝ったクオリティーのCMが作れなくなる!

 (対応側)ですからこれも高額な出費が必要とならぬ内容で中小企業や個人の会社、もしくは個人のお店もTV宣伝に参入出来る様、低価格での平等条件にしました。



2.「高所得制限法」に対し

 (反対側)高給取りになるために若い時から苦労や努力して勝ち得た仕事だというのに...収入制限はあり得ないのでは?

 (対応側)確かにその様な面で世間では高所得者を「偉い」とか「立派」などの評価を得ているのかもしれませんが、一方では「欲張りだ」「他人より高価な物や多くの物を欲しがる者だ」という見解もある様です。

若い頃から失った時間は取り戻せません...

むしろ親と一緒に遊んだり、学んだり、愛情を与えられたりという貴重な時間を作る事を優先にして頂きたいのです。

政府が国民にモラルの教育はできませんが...環境を作る事は可能なのです。

又、今まで人一倍頑張った事の動機は何なのでしょうか?

親に押し付けられたのでしょうか?

欲の力の強さでしょうか?

いずれにせよモラルに繋がる大切な時間の犠牲や強欲による争いに巻き込まれる事が無い様に環境を整える計画になります。



 (反対側)こんな所得では贅沢出来ないではないか!

 (対応側)確かに今までの様な富裕層的な生活は困難になります。

贅沢が悪いと言う訳ではありません...

全ての人が裕福になる事は不可能ですが、平等にする事は可能だと思います。

これらは貧困の差を縮め、格差社会を無くす仕組みに変える法案なのです。



(反対側)所得をごまかしたらどうなる?

(対応側)完全マイナンバー制度になるので所得をごまかすのは難しくなりますし、ごまかしが発覚した場合はごまかした分の金額を没収という形になります。又、何回もごまかす様であれば、しばらくの間その人の口座は使えなくなるはずです。



(反対側)酷い法案だ!

(対応側)年間所得1,020万円を越える方にとっては酷い法案かもしれませんが...今までの様な飛び抜けて所得を得る事を許していては平等な社会になりません。

高所得の連鎖は貧困の差を広げ続け、本来行き渡るはずの均等な所得を壊しかねません...

国民が平等な所得を得られる仕組みで貧困の差を可能な限り無くすために、沢山の中小企業や個人業が増える様な環境に変える法案ですので納得して頂く事になります。




3.「高価格販売禁止法」に対し

 (反対側)ネームバリューは多大な時間とお金をかけて積み重ねた実績の上に成り立てた社名だというのに...そこに高値の敬意を払ってもらう事は自由ではないか!

 (対応側)ネームバリューや技術料に対する高値な敬意に自由な値付けをされた場合、切のない上限でエスカレートが生じ得ます。

一般のお客が高値の高級物争いに巻き込まれる事のない様にするため、原価を基準に上限の設定をする事になります。



(反対側)オークションの場合は購入者である落札者が値段を決めるではないか?

(対応側)落札者による値段付けの上限は制限しませんが落札者が個人の場合、年間所得制限内の金額になる事でしょう...つまり年収上限の1,020万円を越える落札は無効になるでしょう。



(反対側)宝石や土地などの販売値はどうなる?

(対応側)原価が分からない物は今までの平均価格から50%以上の減額となる事でしょう。

これもやはり高額争いを規制するためです...

犯罪の大半はお金絡みですので犯罪率を低くする対策でもあります。




以上の様な口論が続く中、国民の声は...

 (国民側)月々の支払いが60万円を越える場合はどうなる?

 (対応側)家賃や家の分割額は免除対象となるので、例えば一月60万円の所得者が20万円の家賃を払う場合、一月の所得上限は80万円という形になります。

又、大家族者の場合は子供3人以上を対象に子供一人に対し月10万円の上限が免除されるので、例えば子供3人の家庭は月の所得上限が90万円になります。



(国民側)宝くじの賞金にも上限制限されるのでしょうか?

(対応側)やはり年間所得上限1,020万円が基準となりますので一人1,020万円以上の賞金は受け取れません。

又、年間所得上限を上回る場合は支払い側が翌年以降まで預かるか、政府が関与する銀行が預かる形になります。



(国民側)パチンコやギャンブル収入はどうなる?

(対応側)全てお金に替える場合はマイナンバーカードを通す事が支払い側に義務付けられるのでやはりこれも年間所得制限内になります。



(国民側)治安や経済は変わるのでしょうか?

(対応側)もちろん、治安は警察のみが使用出来るセキュリティされた武器により、あらゆる武器が一掃されますし、犯罪の刑期も今まで以上に厳しくなります。

何より経済が安定する事で犯罪ストレスも減少するかと思います。

経済はお金絡みの競争や犯罪を無くす仕組みに変えて行くので、今まで手の届かなかった物や土地などが入手可能になるはずですし、中小企業や個人業が増える事で失業率も下がり...逆に人手不足になるのかもしれません。

沢山の新たな需要や仕事が増えるので中小企業や個人の会社やお店などで経済を支え合える様...環境を整える計画です。



(国民側)受験戦争もなくなるのでしょうか?

(対応側)就職戦争がなくなる事で受験戦争もなくなる仕組みに変えて行くので今までの様な厳しさはなくなるはずです。

特別な技術や知識が必要な職種以外は普通に高校まで頑張れば選べる職が増える事でしょう。



(対応側のまとめ)

これらの新しい法案は各国の物価状況によってそれぞれの国の所得制限額も変わりますが...法案内容は世界共通です。

どの国に行っても安心して生活出来る治安で安定した経済を共有出来る世界にする様...サミットは一丸となる会議を進め続ける予定です。





さて... 世界中の政府が一丸となり戦争禁止法をはじめ地球環境の復興から経済や治安の安定化、平等化へと改革を進める中、私達それぞれの国民は何を支持し、選択すると良いのでしょうか?

難しく考えずに、人類は誰もが幸せな生き方を望み、可能な限り辛く厳しく苦しみの無い生活を望む事でしょう...

ですが、そこに「自分だけ」の欲に気をつけなければならないのかもしれません...

「自分だけ」を取り合う事で争いの連鎖が生じ、共存共栄の平和に繋がらなくなるからです。





政府の今までに無い様な国民のための環境改革に対する意気込みに心を奪われる人達が増え始め...政府が整えた新たな環境の足場で国民はそれぞれ自分の必要な物事に気付き始めたのである...

それは「幸せ」な生活の追求です。

ある人は「幸せはお金では買えない」と言います。

またその意見に対し金持ちの人は「お金の無い奴に限ってそう言うのでは?」と反論します。

確かにお金は有れば有るほど心配事が無くなり裕福な生活が出来るでしょう...しかし、それが「幸せ」なのでしょうか?

「幸せ」はお金で買えるのでしょうか?

この事に自問自答し始めた人達は自分達に必要な物事を吟味し、「これは今の自分に必要な物なのか?」「今の自分に必要な事なのか?」「日々、苦労してでも欲しい物なのか?」「健康を害してまでも必要な事なのか?」...

この様な欲を分析し、犠牲になる時間や健康と、幸せを感じながら生活する時間との選択にたどり着き、「幸せはお金の問題では無い!」と結論づける人達が炎上し始め...政府が環境を整えてくれたおかげで今まで気付く事の無かった欲の断捨離をする人が増え、SNS上で拡散したのである。

かつては有名人の出る宣伝や新商品に影響されていた人達など...金銭欲や物欲といった欲を我慢するのでは無く、欲しがらなくなった人、又は興味が無くなった人...

その様なコントロールされないマインド(洗脳されない者)に変わった最強で最先端の新人類が世界中に誕生したのである。




街角で見かけた新人類にインタビューすると...

(ブラック企業で働いていた男性)

「緊張と苦痛と不安な毎日であったハードな職場である日、拡散されたSNSのコメントに気が付き...今の生活を変えるきっかけが出来ました。

健康や自由な時間や自分自身が崩れて行く毎日を辞め、何のために働くのかを考え直し...無理のない仕事で欲張らず、最低限必要だと思う物事を優先し、誘惑から目を背ければきっと新しい未来にたどり着けると思い退職しました。」



(過酷な営業をさせられていたセールスマン)

「ずっと考えてた事ですが...私達セールスマンは会社に上手く使われていただけなのだと。

教育的なロープレに完全歩合制度...歩合給欲しさに言いなりになってる自分が情けない。

怪しい値段の商品...原価+会社の利益+歩合給+誰かの取り分?

やたらと高値を付けた商品を買って下さるお客様...痛いげで見ていられない。

君の頑張りを見てお客は買ってくれるのだ!とマインドコントロールする上司...犠牲となる軒並み、友、親族への営業。

そんな自分が嫌になり、コントロールされないマインドで新たな仕事へ転職しました。」



(高級品に囲まれていた女性)

「今はブランド品や高級品が誰でも簡単に手に入るみたいだし...はっきり言って魅力も満足感も無くなりました。

それより今はお金では買えない物事の方が愛おしくなり、今まで見えなかった大切な物が見える様になった気がします。」



(ニートだった若者)

「やりたい仕事はライバルが多いし、やたら高度なスキル争いを見ていたら何も手が出せなくなり、仕事する気も失せていましたが...政府の新しい政策や世の中の異変を見ていたら、自分にも何か新しい物へ挑戦出来そうな気がしました。」



(リストラされたおじさん)

「仕事場では次々と成績を上げる者が増え、会社自体はあまり景気も良くないし、老兵を優先にリストラされました。

しかし、老兵となった自分を採用してくれる会社が少なかった時代は去った様な気がします...

世の中が人手不足になってくれたおかげで私の様な老兵にも新しい仕事の選択肢が増えました。」



(勉強に疲れていた少年)

「勉強勉強の毎日が無くなり、今まで遊ぶ時間も無かったけど...お父さんがキャッチボールしてくれたり、お母さんがやたら優しくなった気がします。

最近、僕の家では勉強してる時間より皆んなと一緒に居る時間の方が増えています。」



(電気屋で見つけたYou Tuber)

「テレビチューナーの付いていないモニターを買いに来たんだ...やたら宣伝ばかり続く番組はウンザリだし、芸能人もYou Tubeで観られるからモニターで十分です。

映画やドラマやアニメも定額制の有料動画でいっぱい観られるし、必要性を感じない新商品を次々と押し付けられる様な誘惑(洗脳)に陥らないですむからね。」



(公園で遊んでいた家族)

「最近、家族で公園に来る人が増えてる気がします...経済や治安が安定したからでしょうか?

公園に人が沢山いる光景は平和の象徴に思えます。

公園でのんびりする時間が無かった時代は過ぎ去ったのでしょうか...皆さん楽しそうな笑顔をしています。

平和って最高ですね。」




地球復興条約〜戦争禁止法、そして貧困の差を減少させ平等化を図る均等化法案...

これらは全世界で実行されている今の地球の姿です。

自然環境の悪化は食い止められ、同じ地球人同士の争いも減少し、世界中どこに居ても安心して生活できる世の中に成りつつあります。

あとはコントロールされないマインドの国民がまるで原始に帰ったかの様に新しい未来へのリセットで共存共栄の平和な時代に変わるのかもしれません。


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