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三姉妹は新人類  作者: 深山 驚
4/5

第4話


 翌朝、アテナイア王朝の三姉妹は今日も元気いっぱい。ダイニングルームに駆けこんで匠に抱きついた。

 

「怪獣たち、明日からベルボトム幼稚園に通うんだよ!」

 三人を抱き上げた匠が言う。


「べるぼとむ幼稚園!?」

 三姉妹は顔を見合わせて異口同音に言った。


「パパ上、タイムアウト!タイムアウト!」

 両手でアルファベットの「T」を作ってメロディが匠に合図する。


「ピーッ!モンスターズ、一分間のタイムアウトです!」

 匠が抱き上げていた三つ子を優しく床に降ろす。


「ハドル!」

 メロディが号令をかけると、キャンディとシャンプーが駆け寄った。三姉妹お気に入りの場所、ソファの脇にしゃがんで顔を突き合わせる。


「ねえ、聞いた?ベルボトム幼稚園だって!」

とメロディ。

「聞いた!」

とキャンディ。

「そばにいたから聞こえた!ねえ、べるぼとむってなに?」

とシャンプー。


「あんた、知らないの?」


「わたしも知らない!変な名前~!」


「ねえ、メロディ、べるぼとむってなに?」


「幼稚園の名前よ!聞いてなかったの?」

 

「幼稚園なのは知ってるもん。ねえ、べるぼとむってなに?」


「なんで知らないの?ベルボトムよ!」


「知らないもん。べるぼとむってなに?」


「だからベルボトムなの!」


「意味わかんないよ~」

 シャンプ―が泣きそうな顔をして言う。


「メロディ、あんたも知らないんでしょ!」

 キャンディが突っ込む。


「・・・」


「あきれた~!メロディ、知らないのにハドルを組んだの?」

 

「だって三人しかいないんだもん。スクラム組めないでしょ!」


「ねえ、すくらむってなに?」

 

「スクラムっていうのはね、ラグビーでみんなが肩を組むの」

 メロディがシャンプーに説明する。


「なんで肩を組むの?らぐびーってなに?」


「なんでラグビーの話してんの?幼稚園じゃないの?」

 キャンディがまた突っ込む。


「・・・つまりね、ベルボトム幼稚園に私たちは入るの!」

 メロディはまた言葉に詰まった。


「それ、パパ上に聞いたよ。ねえ、べるぼとむってなに?」

 シャンプーはいつだってマイペース。


「メロディ、作戦会議になってないよ~!」

 キャンディは口を尖らせて、シャンプーはため息をつく。


「また、わからないことが増えちった!」


「・・・」

 メロディは言葉に詰まって、三人は黙りこくって顔を見合わせた。


「ねえ、わたしたち、昔のおトイレでしゃがんでるみたい!」


「シャンプー、あんたって時どき不適切発言するわね~」


「ピーっ!タイムアウト終了。朝ごはんよ~!」

 そこへ折よく、キッチンから食事を運んできたアロンダが声をかける。三姉妹は歓声をあげて、母親に駆け寄って抱きついた。


「ママ上、おはよ~」


「ママ上、わたし、お馬で幼稚園行っていい?」


「うちに馬なんかいないでしょ!なに言ってんの?」

 

「お馬はムリねえ~、でもロバが送ってくれるって」

とアロンダ。


「えッー?驢馬・・・??」

 

 三姉妹が異口同音にしかめっ面をして顔を見合わせると、アロンダは娘たちの頭を撫でながら、朗らかに笑った。

「パパ上のあだ名よ~。ミドルネームがロバートでしょ?」

 

「が~ん、パパ上って驢馬ろばだったの!?」

とメロディ。


「王様だもんね、一応。耳はフツーなのにね~」

とキャンディ。


「ねえ、みどるねーむってなに?」

とシャンプー。


「服は着てるのにね~」


「それって裸の王様でしょ?なに言ってんの」


「ねえ、みどるねーむってなに?」



 というわけで、三姉妹の作戦会議は紛糾して収拾がつかないまま中断、その後も驢馬を巡って大混乱。


 なし崩し的に謎の「ベルボトム幼稚園」に入園することに。


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