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三姉妹は新人類  作者: 深山 驚
3/5

第3話

 

 朝食を食べ終わり、三姉妹はそれぞれ食器をかかえてキッチンに入った。当番のキャンディが流し台の前に立つと、自動的に手前の床がせり上がった。


 食器を洗いながらキャンディが尋ねる。


 「ねえねえ、さっきパパ上が言ってた幼稚園の話。あれっていつから?」


 「ヨウチエンってなに?」


 「シャンプー、パパ上の話を聞いてなかったの?」


 「聞いてたよ。ワルイ人がはいる場所じゃないの?」


 「それは刑務所。幼稚園は子どもが入るの!」


 「えッ?わたしたちワルイ子なの?」


 「ちがうちがう!良い子が行くの!」


 「あ―ッ、よかった!」


 キャンディがきれいに洗った食器を、メロディがキュッキュッと器用に布巾で拭きとって、シャンプーが手際よく食器棚に並べていく。


 匠とアロンダは食器洗いロボットを使わないで、頭と手の訓練のため子どもたちにも食後の後片付けをやらせている。


 「でもみんなに私たちがノヴァだって知られちゃうね」

 とキャンディ。


 「だから力は使っちゃダメなの」

 とメロディ。


 「じゃあ、テレポーテーションもリープもダメ?」

 とシャンプー。


 「うん、ぜんぶダメ!」


 「じゃあ、エアバイクも乗馬もダメ?」


 「子供はエアバイクを運転しちゃダメなの!それに幼稚園に馬はいないもん」


 「じゃあ、ソータイセイリロンは?」


 「えっ?シャンプー、相対性理論知ってるの?」


 「知ってるよ!ソータイセイリロンでしょ?」


 「あんた、自分でなに言ってるか知らないんでしょ?」


 「バレたか!」


 「バレバレ。ともかく幼稚園で物理学は習わないの」


 「えーッ、そうなの?つまんないの。ねえ、ブツリガクってなに?」


 「相対性理論ならパパ上に聞いたほうがいいよ、シャンプー」


 「もう聞いたもん。ねえ、目閉じて!見せたげる」


 シャンプーがメロディとキャンディの手を握ると三人は目を閉じた。接触型テレバシーを使う。


 しばらくして、メロディとキャンディはパッチリ目を開けて顔を見合わせた。


 「驚いた!シャンプー、これ全部わかるの?」


 「うん、言葉じゃ説明できないけど、記号と数字ならわかる」


 「すごーい、あんた、物理学と数学の天才ね!」


 「シャンプー、幼稚園より大学院に行く方がいいかも」


 「えーッ?わたし、病気じゃないよ!ノヴァは病気しないし」


 「ちがうちがう!大学病院じゃなくて大学院!」


 「ちがうの?あー、よかった!ねえ、ダイガクインってなに?」


 「頭のいい人が行くとこ。シャンプーみたいな」


 「でも、わたしみんなと一緒に居たいもん!」


 「そうだよね~。それに三歳で大学院なんか行ったら正体バレバレだもん」


 「じゃあ、やっぱりヨウチエンにしようっと!」


 「お婿さん、見つけなきゃ!」


 「三歳じゃ、まだ結婚できないのに?」


 「世の中、甘くないよね~」


 「ホント、婚活って苦労するわね~」


 「えーッ?メロディ、キツネ食べるの?」


 「シャンプー、なに言ってんの?トンカツじゃないよ。お婿さん探しのこと!」

 

 「ああ、よかった!だってわたし、ベジタリアンだもん」


 「あんたって時どき思いっきりズレるわね~、シャンプー」



 というわけで三つ子姉妹はそろって幼稚園に通うことに・・・

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