6話 転変
甘く見ていた。
ゴブリンの挺身は、覚悟の上によるものだと思っていたが、そもそも覚悟が必要な行動ですらなかったのだ。
こちらから加害の意思なしと申し出ても、それを彼らは信用しないだろう。ともすればゴブリンの集落に、より被害を及ぼす謀りととられるかもしれない。
魔王が生贄の処理に専念する間だけ、彼らは安心して生活できる。
彼らが信用するのは魔王ではなく、魔王に行為を強制させられる自分たちの行動なのだ。
――断れない。
もし目の前のゴブリンの殺害を拒否すれば、新しい魔王はゴブリンの一匹すら殺せない力量だと宣言するも同じことだ。
それならば何百人もの生贄を差し出すより、何十人かで確実に始末したほうが良いと判断されかねない。
――人を、殺す。
人の形をした、意志疎通のできる生物を殺さなくてはならない。
それを忌避する感情は、この世界とは地続きではない場所で育まれたものだ。ここではだれもがゴブリンを殺すのが道理だと言うだろう。
前世で育まれた人格を守るために、前世の人格に反することをしなくてはならない。
自身を保証するものが力しかないこの世界で、魔王の肩書でしか評価されない赤子には選択の余地はない。
「わかった……。お前の石剣を貸してくれ」
「え、なぜです?」
神妙な願い出を、素っ頓狂な問いで返され、はたと気づく。
殺す覚悟に辟易していて思考が回っていなかった。
相手はそんなものを使わなくても即座に首を飛ばすくらいはできると思っていたに違いない。得物を貸してくれなどと、こちらがゴブリンを簡単に殺せる技能を所持していないこと暴露してしまったに等しい。
「いや、えっと、その……穏便に済ませるには不向きな技能というか……」
《翻訳》によって嘘だと伝わっているかもしれないと思いつつも咄嗟にごまかすしかなかった。
「――何と、手ぬるい! この命、奪って終わりなどとおっしゃいますな! 御身は色欲の魔王! まぐわい以上に効率的な魔力摂取の方法などありますまい!!」
「いや、ちょっと、待って?」
論理の破綻に身構えたところで、ゴブリンの諫言は前提の全てを吹き飛ばした。
魔王が格下を犠牲に成長するのが当たり前なら、最も効率的な手段でそれを行うのも道理なのはわかる。
だが、性行為はこちらも犠牲にするものが大きすぎる。
心は男なのに女の身体でセックスなど許容できない。それ以前に――
「僕は、まだ赤ちゃんなんだけど!?」
もはや威厳を取り繕う余裕すらない。
これを受け入れてしまったら、男女以前に人間としての尊厳破壊だ。
生きていくためには何でもすると心に決めてはいたが、生きていても仕方がないようなことはとてもできない。
「問題ないでしょう! 魔王の身体は魔核に合わせて最適な機能を持って生まれてくるはずです。さあ、御身のため、我が集落で最も体格に優れる私がお相手いたします!」
ゴブリンは細身でありながら無駄な肉のついていない肉体を誇示する。
野性味を感じさせるその体は、生前インドア派だった男からすれば確かに美しくも感じられるが、そういうことではない。
見た目と違って理知的で紳士なこのゴブリンは男心で見れば好印象ではあるが、それに性的に迫られるとなると話は別だ。
「待て、話せばわかる!」
「問答無用!」
跪いていたゴブリンはすくと立ち上がるとハンモックを結んだ枝に手をかける。
逃げるなら今この瞬間が最後のチャンスだ。
ゴブリンが足までも枝にかけたら、こちらが飛ぶよりも相手が跳び掛かるほうが早い。
お包みは手元にある。逃げられはするだろう。
だが、その後は?
魔物たちは魔王の居場所を嗅ぎつける。まだゴブリンなら逃げられもするが、素早い魔物、狂暴な魔物に追いつかれたときに、配下に置けるだけの魔力が確保できていなくては命運が尽きる。
ゴブリンとの性交渉は大前提として不可。殺害も難しい。説得は聞く耳を持たない。
では手詰まりか?
否。
ふたつ、遭遇から今に至って事態が好転している。
ひとつはゴブリンに殺意がないと判明したこと。
もうひとつは寝床に舞い戻れたおかげで落下の心配が無いことだ。
ハンモックに身を投げ出すのと、ゴブリンが枝に足をかけるのは同時だった。
「決心なされまし……ッ!?」
使ったのは腕よりも長い尾。
白く細い尾をゴブリンの足に巻き付け、相手を《操作》の対象へと切り替える。
同時に寝床に倒れこんだ自身の身体はピクリとも動かなくなる。
すんでのところでゴブリンの自由を奪うことに成功した。
「にじ……!? もうそんな……、うっ!」
無防備な状態で仲間を呼ばれては対処できない。声もあげさせないよう《操作》する。今なら腰に帯びた石剣で喉を突かせることも思いのままだ。
だが、それはしない。
今後何日も送られてくるゴブリンたち全員を《操作》で自滅させられるとは思えない。
仮に撃退が上手く行っても、魔力確保の効率に劣る手段を続けてはゴブリンの集落に見限られる可能性もある。
よって、このゴブリンには挺身を諦めるよう説得をしなければならない。
(拘束して言い聞かせる時間はできた。あとは――)
彼らが納得する見返りを提示するだけ。それも、仲間の命を差し出してでも得たい安心を超えるものを、だ。
「仲間のために犠牲になる心意気は買うけどね、悪いがそれは僕にとっては有難迷惑だ」
「……ッ、御身は力をつけることが第一のはず。我らはその一助となって存続を乞う。相互に利益のある申し出であるはずです!」
《操作》の拘束を一部緩めて発言を許す。
その間も、相手の遠吠えに警戒しつつ、腕を操って石剣の柄を握らせた。
妙な真似をすれば即座に自刃させる――。その威嚇は相手に伝わっているはずだが、さすがは挺身の一番手、その程度では動じない。
「僕が身を任せる相手は僕が決める。その決定を他者にゆだねることは僕にとっては死に等しい」
この気持ちは間違いなく真実だ。
世迷言では無いことは《翻訳》によって偽りなく相手に伝わったはずだ。
少しの間をおいてゴブリンは《操作》に抗っていた力を抜いた。
「よもや信じられませんが……、貴方様がそのように欲していることは理解できます。ですがそれでは困るのですよ。お力をつけて頂かねば、貴方に引き寄せられた魔物たちに、貴方も、我々も屠られてしまう。降って湧いて我々の安穏を脅かして置きながら、みさお程度で共生の申し出を蹴る。貴方こそはた迷惑なのだと知っていただきたい!」
早口でまくし立ててくるゴブリンの剣幕にもどこ吹く風。
場違いにも、《翻訳》の技能は当たりだったとほくそ笑んでしまった。
その訳によって、相手の感情の高ぶりが手に取るようにわかる。
相手にとっての優先順位が嘘偽りなく理解できるのは実に便利な技能である。
「ずいぶんと饒舌じゃないか。ん? お喋りがそんなに好きか?」
「貴方はっ!?」
実に、《翻訳》は便利だ。
煽ったその言葉の中に、こちらの真意を含ませられる。
こちらの挑発を受けてもゴブリンは激昂しない。それは、いまの一言で気づかされてしまったからだ。
《翻訳》を取得する直前、こちらに何かを訴えかけていた時のように、ゴブリンの会話は本来鳴き声のイントネーションでしか成立しない。
頭で多彩な思考を繰り広げてはいても、それを仲間に伝える手段が限られる。
翻って、《翻訳》を介した会話はどうか。
感情に合わせた絶妙なニュアンスはもちろん、なんと呼ばれているのか知らない概念まで相手に理解させることができる。考えたことが相手に伝えられない、そのもどかしさを感じることのない快感を、このゴブリンは知ってしまった。
「もっと――、お喋りしたくはないか?」
ゴクリと唾をのむ音が聞こえる。
寝床に伏せたまま己の口端が吊り上がるのがわかった。
「お前を僕の眷属に迎えたい。無論、お前の集落の者を全てだ」
「正気ですか!? ――正直、魅力的です。魅力的ですとも。……ですが、問題の解決になっていない。我々を眷属にして得られる戦力などたかが知れています。それでは魔力が集められず、より強い魔物に対抗できない」
本当に、ゴブリンの賢さには舌を巻く。
彼らは自分たちのことを弱者であると認識しているが、決して卑屈になっているのではない。彼我の力量差を正確に理解し、過去の経験から、いずれ訪れる事柄への予測まで立てられる。前世の人間たちとほぼ変わらない知能を有しているとみて間違いない。
彼らに足りないのはコミュニケーションの手段だけだ。
自分が発見・獲得したものを、他者へと正確に伝えるのに手間取ってしまう。
目の前のゴブリンから読み取れる、彼らの生活水準が低いのは、知能が低いのではなく意志や知識を上手く仲間に伝えられないからなのだろう。
もし彼らが《翻訳》を手に入れ、相互の意思伝達がシームレスになったとしたら……。
魔王から得る技能と向上した連携で、集団としての戦力は格段に上がるはずである。
だが、経験をしたこともないことを言い聞かされてもにわかには信じられまい。
よって戦力の向上は副次的なものとして、目下問題である強い魔物を引き寄せることへの対策を立てなくてはならない。
「お前は技能で魔王の気配を断てると思うか?」
「さすがにできると断言はできません……。しかし、確かにそれが成功したとあらば、あえて戦力にこだわる必要もありませんが……」
ゴブリンにとって戦いたくない魔王というのは考えられないものなのだろう。
誕生から周囲の魔物を狩り尽くし、強い魔物を配下に加え、障害を乗り越える力を手にするために戦いに明け暮れなくてはならない存在。きっと魔王の一生は、取り巻く環境が最終的に魔王自身の手に負えなくなり、身を滅ぼすことで終わるに違いない。
魔王としての正しい行いが最終的に滅びに向かうなら、その道からは外れなくてはならない。転生し、自制をする知能を供えられたことを恩恵と捉えるならば、戦わなくていい方法を模索することは理にかなっている。
和らいだ雰囲気と《翻訳》においてゴブリンに性急な自己犠牲がなくなったのを感じ、《操作》の拘束を解くことにした。
また一段下の枝に戻ろうとするゴブリンを引き留め、ハンモックを括った枝に座らせる。少し居心地が悪そうにしている姿を見るに、義理堅い性格なのだろう。眷属としてそばに置けるなら願ってもない存在だ。
「本当ならすぐにでも試してみたいところだが、魔王核に魔力がもう残っていない。お前と話すために技能を取ってしまったから、今すぐに気配を断つための技能は取れないんだ。溜めるまで少し待ってほしい」
一日を丸々生存の方策に使って、疲労が無視できないほど蓄積している。
寝床を作って、やっと安心できたと思えばゴブリンの襲撃だ。
《操作》で無理やり身体を動かしているが、意識に対して肉体の追従が鈍い。
今から魔力チャージをするのは正直言って赤子の身体が心配になる負担だ。
しかし、今このゴブリンを配下とできるかが今後の生存戦略の鍵となる事にも疑いはない。知恵を持って生まれ、本来の魔王が斯くあるよう、貪欲に魔力を集めなかったツケが今ここで回ってきたのだ。
だが、幸いゴブリンは《翻訳》に執心だ。
相手としては、己が命を捨てるのは気配を断つ技能が要を成さなかったときでいい。
僅かな時間を待てるほど理知的なのは会話の末に判明している。
「決めました。私を貴方様の眷属にしてください」
「――技能を取ってから決めなくていいのか?」
飛行でどうにか魔力を捻出しようとした矢先、性急とも思える申し出に驚く。もっと冷徹にこちらを吟味しているものだと思っていた。
「眷属に下って魔核を捧げれば、私の少ない魔力も若干の足しにはなるでしょう。技能で貴方様の気配を隠せなければ、その時は私の首を刎ねて頂ければよろしいのです。それに私は頂戴する技能を、この会話をなす技能と決めております。私のために新しい技能を取得して頂く必要もありません」
一度眷属となってしまえば、魔王に対して効率的な魔力摂取は強要できない。
となれば命を絶つことで少しでも魔力の足しになろうとしているのだろうが、魔核を抜き取られた後では十分な魔力の獲得は望めないかもしれない。
当然その疑問は口には出さないでおいた。
「わかった。頼むよ。互いの求める生存のために、お前の魔核をもらう」
ふわりと浮かび上がる。
眷属化のやり方などもちろん知らない。
けれど、この淫魔の身体と魔王核がそのための機能を有しているなら、技能の取得と同様にその始まりだけを意識すればよいはずだ。
ゴブリンに手を伸ばせば届く距離まで近づき下腹の熱を呼び起こす。
「うわっ、ぐうぅっ!?」
温かみを通り越し、焼け付くような感覚が下腹から全身に広がった。
魔王の核の中でのみ完結する技能の取得とは違い、眷属化とはおそらく魔核の融合だ。
相手の魔核を取り込み、己の支配下に置くために、魔力的な構造を変化させねばなるまい。熱で体が引き攣れそうな痛みを感じるが、逆に言えば技能の取得とは別のプロセスが働いている証拠である。
魔王核の使い方はその結果を求めること。
少なくとも魔王の核においては、過程は自動で行ってくれる。
――全身を満たした熱をゴブリンに向ける。
靄のように可視化された魔力が立ちのぼり、意志を持つように相手へと殺到した。
「ぐっ! こ、これが眷属への誘いですか!?」
相手も同様に魔力で体が焼けるような感覚に襲われているようだ。
聴覚にも雑音が混じるような痛みの中で、淡々とした音声だけが頭の中で明瞭に響きわたる。
《眷属化可能な魔物を捕捉。眷属化を要請しますか?》
要請をしてみたが、それだけでは変化はない。
あくまでも相手も承諾をしないと眷属化は成立しないようだ。
もし問答無用で眷属にすることができるなら、到底勝てない相手であってもゴミのような技能を投げつけた上で無力化できてしまう。そのような都合のいい話は存在しないということだ。
《魔物が技能:翻訳を求めています》
ここで相手の気に入る技能が提示できなければ破談となり、最悪命を取られてしまうのだろう。
頭に浮かんだ所持している技能のリストから《翻訳》を選び承認する。
魔力の指令が飛んだ瞬間、ゴブリンの身体が掻き消えた。
そこに残ったのは小指の爪ほどの小さな立方体だ。
「まさか、これが魔核?」
夜目のきく悠一の眼は、宙に浮かぶゴブリンの魔核を確かにとらえている。
だが同時に、魔力の扱いに長けた種族としての、それを感知する視覚には別のものが映っていた。
「――まるで、星の誕生だ!」
おそらくゴブリンの肉体は、一度すべて魔力に変換されてしまったのだ。
《翻訳》の付与と同時に魔の視覚は、鮮明な魔力の拡散を見た。
しかしそれは散逸することなく魔核を中心に収縮し、あたかも新星を生み出すかの如く再構築されようとしている。
「これって……、二人分だけの魔力だけじゃない!?」
一度拡散した魔力は辺りに漂う魔力の根源のようなものにも影響を及ぼしたのだろう。
再び魔核へと集合する際に周囲の物質が保有していた魔力まで引き寄せている。
総量を増した魔力は魔核を文字通り核として眷属の新しい身体を作り上げる。
夜目には虚空から人の体が現れたように、魔の視覚には膨大な光が人の体へと収束されたように映った。
ふたつの視覚が、それぞれ結んでいた像がひとつに重なる……!
「ゴブリンじゃ……、ない?」
まず子供ほどだった背丈が大きく伸び、二倍以上の長身になっていた。
森の緑と遜色のなかった肌は、雪のような色白に。
禿頭に産毛程度であった髪は、ブロンドの長髪に。
悠一の審美において醜悪だった顔立ちは、目鼻の整った美男子に。
もともと鍛えてあったであろう肉体は、太く伸びた骨格に合わせて張り付いた筋肉も増大していた。
面影を無理にでも見出すならば、先のとがった特徴的な耳くらいだろう。
魔力の変換が収まり完全に現世のものとなったゴブリンの肉体は、長身細マッチョで全裸のイケメンになっていた。
「――ゴブリンはその堕落した姿、とかいう創作もあったけどさぁ」
それもまた、ゴブリンと同様、生前に集めた資料の中に存在していた。
眷属にすることで姿が変わったことよりも、変貌したその姿にこそ驚きを隠せない。
眷属となったイケメンの胸から、水面を割るように大きさを増した立方体が出現する。宙に浮かんだまま、悠一の元まで漂ってくると下腹の紋様の中へと沈み込んでいく。
また熱が広がるのかと身構えたが、感じたのは逆に全身を潤すような一体感だった。
沈み込んだ魔核が、何の抵抗もなく色欲の魔王核に融合したのは、眷属化によって事前に調整がなされていたからか。
「これが、魔王様の眷属となった私の身体……」
イケメン全裸は変化を確かめるように新しい身体に視線を落とした。
ポージングを繰り返すたびに厚みを増した筋肉が脈打つ。
眷属化を経て体重が十倍以上増えているはずなのに、枝がほとんど撓らないのは“その種族”としての特性なのだろうか。
「その姿もゴブリンなのか?」
あまりにも変わってしまったその容姿を、だからこそ確認せずにはいられなかった。
眷属となったゴブリン(?)は枝を一段降りて跪く。
前は顔しか見えていなかった身体が、今となっては胸より上が見えている。
「わかりません。ですが魔王に下るときに、その魔物は眷属として適した姿に変わるのだと長から伝えられています。これほど変わるとは思いませんでしたが……」
「その姿に名前はあるのか?」
前世の記憶を持つ悠一にとって、この容姿に名前を付けるとしたらアレしかない。
だが、この世界に呼び名があるならそれに倣ったほうがいいだろう。
「このような姿は見たことがありません。強いて言うならばニンゲンに似ていますが、私も寡聞にしてものを知りませんので……」
これまで魔物の中でも底辺に近いゴブリンを眷属とした魔王などいなかったに違いない。ならば、ゴブリンからこの姿に転ずる情報は皆無である可能性は高い。
「僕が、その姿に名前を付けてもいいだろうか?」
「是非に。仕えるべき方より名前を頂戴するのは臣下の誉れにございますれば」
即座に頷き返す眷属からの信頼が篤い。
全ては魔王の気配を断ててこそだが、期待が持てる道理はある。
魔王を魔王たらしめているのはその内にある魔王核である。
だとすれば、技能は魔王核より出でて、そこから溢れる気配を断つのにも適正を持つのではないか。
「――ならばエルフだ。ゴブリンより我が眷属に下ったものを、エルフと名付ける!」
銘を受け、この世界における最初のエルフが居住まいを正し、顔を伏せる。
眷属化の魔核の融合によって下腹の熱は技能の取得に十分な魔力量を示している。
あとすべきことは気配の遮断を成功させて、配下の憂いを取り除くこと。
それが他者の命の上にしか存在できない魔王としての最初の責務となった。