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魔法原子論 ワークス・パップロート、イノ・クルーガー 1908年11月18日

 人は、何かに縛られている。




 過去に、現在に、そして未来に。




 この世の全てのものは、目に見えない何かのつながりでできている。


 つながりは手が伸びるように広がり、周りを巻き込んで力を増していく。



 因子と因子が複雑に絡み合い、まったく別の形に姿を変える。


 つながりは何かを成すための重要なファクターだ。




 これは我々の日常に驚くほど溶け込み、我々とともにこの場に息づく。



 時には熱く燃やし、水に流し、風で飛ばし、地に固まる。


 光が当たることもあれば、その陰になり、闇に沈むこともあるだろう。




 あたりを見回せばこの通り、いたるところにつながりを見つけられる。




 だが、このつながりが何よりも難しい。




 弱くてはやがて失い、強くてはなかなか離れられない。


 少なくては意味がなく、多くては管理が大変だ。



 ちょうどいい距離感、ちょうどいいつながり。



 誰もが求める答えだろう。




 しかし、つながりは我々が意図せず、周囲に発生するものだ。



 瞬く間に周囲を囲まれる。



 つながりはやがて鎖となってその身を絞めつけ、いつからか身動きが取れなくなるのだ。


 世界は、人は、多くの鎖で縛られた、強固な監獄によって閉じられている。



 ならば、いっそ「単一の原石」になるしかあるまい。



 唯一無二の、それ以上割り切ることのできない「素」に。


 すべてを取り払ったそれは、まったく新しい可能性となり得るのだ。




 さあ、出発の時だ。




 つながりから手を放し、鎖を断ち切るのだ。


 周りのすべてを押しのけて、すべてに影響を与える。



 そんなたった一つの存在になる。




 もしそれが叶うのならば――——




 我々は解放される。


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