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第十四話 実行

 薫と奏衛門はビルの二階へと上ったところだった。内弟子たちと二手に分かれて行動しているところである。

「何か変……。誰も来ないなんて……」

 明かりの点いていないビルは、夜の闇に溶け込んでいた。何も物音はせず、まるで遊園地にあるお化け屋敷の様だ。青白い不気味な月の光と、繁華街の近くに立っているため、その明りが建物の中にも入ってきた。

 彰介たちは薫から連絡が入り次第、事務所に乗り込む事になっている。それまでは車内で待機。

「もしかしてどこかに逃げられ……」

「ちょっと黙って」

 電気の点いていないせいで視覚的自由は奪われるが、物音は耳でしっかりと捉えることは出来る。聞こえてくるのは誰かの話声。

「何言ってるかわからないわね……」

 確かに誰かの声は聞こえるのだが、あまりにも遠いのか、何を言っているのかは聞き取れない。

 その時、一筋の懐中電灯の光が薫たちを射した。

「あぁ、やっぱりお前か。おてんば女め」

 低くて重い男の声だ。男は長身で茶髪、眼鏡の奥には切れ長の目が光る。そして、その声に対抗するかのように薫は皮肉ったような口調で言った。

「ごきげんよう。変態さん」 

 その言葉に男は目を細め、軽く咳払いをする。

「誰ですか? この人」

「倉間竜哉っていう筋金入りのロリコン男で、同じ郷鈴会の人」

「へぇ……」

 薫と奏衛門の会話を聞き、竜哉はさらに目を細めた。そして大きく溜め息をついて懐中電灯の電源を切り、再び自然の明るさが訪れる。

「ねえ、そこは否定するところじゃないの? あ、もしかして認めた?」

 まるで挑発をするかのように薫は竜哉に語りかけた。竜哉の返事は猛烈な右ストレート。左頬にそれを受けた薫はその場で転倒するところだったが、奏衛門が見事に受け止めた。薄暗い中でも長時間いれば次第に目は慣れてくるのだ。

「ちょっと、乙女の顔に傷がついたらどう責任とってくれるの?」

「知るかよ、そんなこと。これは俺の仕事だ」

 要するにヤクザに雇われた傭兵と言う事だ。邪魔だから誰かを雇って消させてもらう、という行為は裏世界だと別に不思議ではない。むしろそれが普通なのだ。

 私利私欲に満ちた世界の中で自分がいかに動いて生き残るか。それを全て計算した者だけがこの世界で働けるのである。 

「蓬奈は、蓬奈は何処にいるんですか?」

「あぁ、たぶんこの先の部屋だ」

「……あ、ありがとうございます」

 まさか素直に教えてくれるとは、奏衛門も思ってみなかった事だ。ダメ押しで訊いたのだが、お陰で十分な収穫は出来た。

「キミは妹さんの所に行きなさい」

 薫はそう言うと体を構え、戦闘態勢へと入った。かなり凶暴そうに見える竜哉だが、何故か奏衛門には律儀に質問に答え、被害は一切加えない。

「ほう、こんな短時間で殺気が湧くとは驚きだ」

 竜哉は薫の腹部に回し蹴りをするが、それは薫の腕で受け止められた。そして、片足立ちで不安定になった竜哉の腹部を、逆に薫が蹴り飛ばす。



「うわ、汚いな……」

 薫と竜哉が戦闘をしている間に、奏衛門は奥にある部屋へと着いたところだった。扉の先は段ボールや紙クズなどで散乱した小さな部屋。ソファやテーブルなどの家具もいくつかあったが、全て埃を被っていて掃除をしない限り使えそうにもないものばかりだ。

「蓬奈……?」

 やや小さい声で呼んでみるものの、返答は来なかった。奏衛門は思い切って部屋の奥に入り込んでみると、そこにはクローゼットが一つ。

 まさかな、と思って開けてみると、やはり蓬奈が気を失ったまま中に入っていた。口はガムテープで閉ざされていて、手足は頑丈そうなロープで固定。そして目はアイマスクで覆われていた。

 それにしても隠す場所が完璧に幼稚である。まるで蓬奈の拉致が目的ではないような気がしてくる程だ。

 奏衛門は予め携えていた懐刀でロープを断ち切り、ガムテープとアイマスクを取り除いた。この場に彰介を来させるのは危険だと奏衛門は判断し、そのまま蓬奈を背負って外へ出ることにする。

 部屋の外に出ると既に戦闘は終わっていたようだが、倒れていたのは薫だった。長い黒髪は乱れ、口元には大きな痣がある。そして床には血を吐いた痕跡。

「不味いな……」

 携帯電話で内弟子たちに連絡を取ろうとしたのだが、電話が通じない。液晶画面を見ると圏外。こういう時に限って魔の二文字が画面に浮かび上がる。

 いくら身軽な女性と言えど、二人運ぶのは至難の業だ。命に別状はない事を確認し、先に蓬奈を運ぶ事にした。その間にヤクザや竜哉が現れない事を祈る。


 無事に外へ出る事ができ、そのまま車へと向かった。

「寝てるだけだから、たぶん数十分すれば起きるよ」

 奏衛門は蓬奈をそのまま彰介に預けた。後は薫と内弟子を連れて帰っても良いのだが、目を付けられているのはわかっていることだ。なるべく組長と話をつけておきたいところである。

「あの、他の人たちは?」

 少し不安を浮かべたような表情で彰介は訊いてきた。奏衛門だけ戻ってきたのがどうも引っかかるらしい。

「みんな平気だよ。じゃあ僕はまだ用があるから」

 そう装って奏衛門は再び事務所の中へと入って行った。

 

まずいよ!

執筆力の無さでいつの間にか彰介が空気になっています。

ええ、彼はもう少し後で動いてもらいます。



それと最近執筆スピードが愕然と落ちました。物語上の設定もあり、なるべく八月中には終わらせたいよ・・・。

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