㋆3日
朝、身支度を整えた私はリビングに駆け足で向かいました。
返事を期待していた私は、愕然とします。
「食べてない……」
昨日私が作った、晩御飯がそのままテーブルに置かれていました。
「はぁ……残念」
・・・・・・・・・・
「今日は、一段と元気がないですね」
「なんだ、便秘か?」
昼休み、三井名ちゃんが少し心配そうに聞いてきて、小鳥ちゃんはカレーを頬張りながら聞いてきます。
「小鳥ちゃん、今御飯中だよ~。お兄ちゃんからの返事がなくて……」
「ああ、そうだったんですね。なるほど、なるほど」
三井名ちゃんは何か納得がいたというような顔になって、うどんをすすりました。
「ますます、距離が離れた気がするよ~」
私は、ため息交じりそう返事します。
「なぁ、真里菜の兄ちゃんって、何歳ぐらいなんだ?」
小鳥ちゃんが唐突に聞いてきました。
「えっ、うーん。どうだろー。あ、家に楠学園高等部にある野球部トロフィーがあったよ」
「楠学園高等部? なら、兄に聞いといてやるよ。不登校の奴がいないか」
「え、小鳥ちゃん。お兄ちゃんいるの?」
「おう、楠学園高等部にな」
「これで、お兄さんの問題も解決できるかもですね? 真里菜さん」
「うん。ありがとう、小鳥ちゃん」
「別に……」
私が笑顔でそう言うと、顔を少し赤くしていき良いよくカレーを小鳥ちゃんは食べだします。
「ふふ」
その光景を微笑ましいそうな顔で、三井名ちゃんはみていました。
・・・・・・・・・・
次の日から、小鳥ちゃんは学園を休みました。
三井名ちゃんも流石に心配だからと、週末の今日にお見舞いについていきます。
「大丈夫かなぁ?」
「本当に優しいですね。あらかた、充電し忘れで連絡が来ないだけだとは思いますが……」
そう言って、三井名ちゃんは立ち止まりました。
どうやら着いたようです。
「うぁー、立派なお家だね」
私は、ついそう声を漏らしてしまいました。
目の前にあるお家は、門があり、和風の建築で庭が広そうです。
「さあ、こっちです」
そう言って三井名ちゃんは門をくぐって進んでいきました。
「まって~」
慌てて、後ろについていきます。
少し進んだところに玄関があり、チャイムを鳴らしましたが、誰も出てきません。
「留守ですかね?」
「かなぁ? あ、玄関開いてるみたいだよ?」
横開きのドアが少し開いていることに気付きました。
「あら、不用心ですね? 入って待ちましょう!」
三井名ちゃんはドアに手をかけます。
「だ、ダメだよ」
「ふふ、冗談です……キャッ。なんですこれ!?」
自分の手を見て、小さく悲鳴のような声を出しました。
「どうしたの?」
「こ、これって?」
手を私の方に向けて見せてくれます。
その手は、少し赤みががった黒い何かが付いていました。
「なんだろう? 絵具ではなさそうだよね?」
「……」
私の声に反応を示さず、じっとドアのすき間を覗いています。
「どうしたの?」
その様子に不安になって、緊張した声になりました。
「真里菜さん。移動しましょう!!」
「え、え?」
私の返事を待たず三井名ちゃんは私の手を取って、駆け出します。
そのまま、三井名ちゃんの家に行くことになりました。
そこからは、あまり思い出したくありません。
警察の人が小鳥ちゃんの家にきて、私たちもいろいろ話を聞かれました。
小鳥ちゃんが死んでいたのです。
そこからしばらく、私たちは学園しばらく休むことになりました。