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8月31日  作者: 狸寝入り
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㋆3日

 朝、身支度を整えた私はリビングに駆け足で向かいました。

 返事を期待していた私は、愕然とします。

「食べてない……」

 昨日私が作った、晩御飯がそのままテーブルに置かれていました。

「はぁ……残念」


 ・・・・・・・・・・


「今日は、一段と元気がないですね」

「なんだ、便秘か?」

 昼休み、三井名ちゃんが少し心配そうに聞いてきて、小鳥ちゃんはカレーを頬張りながら聞いてきます。

「小鳥ちゃん、今御飯中だよ~。お兄ちゃんからの返事がなくて……」

「ああ、そうだったんですね。なるほど、なるほど」

 三井名ちゃんは何か納得がいたというような顔になって、うどんをすすりました。

「ますます、距離が離れた気がするよ~」

 私は、ため息交じりそう返事します。

「なぁ、真里菜の兄ちゃんって、何歳ぐらいなんだ?」

 小鳥ちゃんが唐突に聞いてきました。

「えっ、うーん。どうだろー。あ、家に楠学園高等部にある野球部トロフィーがあったよ」

「楠学園高等部? なら、兄に聞いといてやるよ。不登校の奴がいないか」

「え、小鳥ちゃん。お兄ちゃんいるの?」

「おう、楠学園高等部にな」

「これで、お兄さんの問題も解決できるかもですね? 真里菜さん」

「うん。ありがとう、小鳥ちゃん」

「別に……」

 私が笑顔でそう言うと、顔を少し赤くしていき良いよくカレーを小鳥ちゃんは食べだします。

「ふふ」

 その光景を微笑ましいそうな顔で、三井名ちゃんはみていました。


 ・・・・・・・・・・


 次の日から、小鳥ちゃんは学園を休みました。

 三井名ちゃんも流石に心配だからと、週末の今日にお見舞いについていきます。

「大丈夫かなぁ?」

「本当に優しいですね。あらかた、充電し忘れで連絡が来ないだけだとは思いますが……」

 そう言って、三井名ちゃんは立ち止まりました。

 どうやら着いたようです。

「うぁー、立派なお家だね」

 私は、ついそう声を漏らしてしまいました。

 目の前にあるお家は、門があり、和風の建築で庭が広そうです。

「さあ、こっちです」

 そう言って三井名ちゃんは門をくぐって進んでいきました。

「まって~」

 慌てて、後ろについていきます。

 少し進んだところに玄関があり、チャイムを鳴らしましたが、誰も出てきません。

「留守ですかね?」

「かなぁ? あ、玄関開いてるみたいだよ?」

 横開きのドアが少し開いていることに気付きました。

「あら、不用心ですね? 入って待ちましょう!」

 三井名ちゃんはドアに手をかけます。

「だ、ダメだよ」

「ふふ、冗談です……キャッ。なんですこれ!?」

 自分の手を見て、小さく悲鳴のような声を出しました。

「どうしたの?」

「こ、これって?」

 手を私の方に向けて見せてくれます。

 その手は、少し赤みががった黒い何かが付いていました。

「なんだろう? 絵具ではなさそうだよね?」

「……」

 私の声に反応を示さず、じっとドアのすき間を覗いています。

「どうしたの?」

 その様子に不安になって、緊張した声になりました。

「真里菜さん。移動しましょう!!」

「え、え?」

 私の返事を待たず三井名ちゃんは私の手を取って、駆け出します。

 そのまま、三井名ちゃんの家に行くことになりました。

 そこからは、あまり思い出したくありません。

 警察の人が小鳥ちゃんの家にきて、私たちもいろいろ話を聞かれました。

 小鳥ちゃんが死んでいたのです。

 そこからしばらく、私たちは学園しばらく休むことになりました。










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