表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
8月31日  作者: 狸寝入り
3/6

7月2日

 次の日も何事もなく起きた私は、リビングに行き洗ってある食器を見て小さくガッツポーズをしました。

「良かった、食べてくれてる」

 美味しかったかな? どんな味が好みなんだろ? そんなことを考えながら、二人分の朝食を用意します。

「ふ~ん。目玉は、半熟~」

 鼻歌を歌いながら目玉焼きを作っていると、リビングにある電話が赤く光っていました。

「何だろ?」

 フライパンに蓋をし火を止めて、余熱で焼きながら電話の前に行きます。

「留守電? このボタンかな?」

 留守電と表示されていて、ボタンが赤く光っていたので押してみました。

「おう、娘よ。__はどうだ? 今、シリアにいるんだ__だろうけど、しばらく帰れそうにない。__」

 所々ノイズがひどく聞き取れないけど、父の帰りはしばらく後のようだ。

 聞き終えたところで丁度良くトースターから、パンが飛び出します。

「できた!」

 スキップでコンロの前に行き、蓋を開けたると目玉焼きはよく焼きになっていました。


 ・・・・・・・・・・


「おはようございます、真里菜さん」

「あ、おはよう。三井名ちゃん」

「何だか、元気がない感じですか?」

 教室に着くと三井名ちゃんが心配そうに、聞いてきました。

「へへ、そうかな? 今朝、目玉焼き失敗しちゃったからかな?」

 少し照れながらそう返します。

「ふふ、そうでしたか……あ、一限目。体育ですので一緒に行きましょう」

「うん、荷物置いてくるね」

 三井名ちゃんに案内してもらい体育館に移動しました。

「そういえば真里菜さんの家って、昨日のニュースで映っていた近くですよね?」

 今日の体育はシャトルランのようです。

 自分の番まで体育館の隅に座っていると、先に走り終えた三井名ちゃんが隣に座って、聞いてきました。

「うん、だから少し怖いんだ」

「お兄さんがいるのにですか?」

 三井名ちゃんが不思議そうに聞いてきます。

「う~ん。なんていうか、会ったことないんだよね」

「え、それはどういうことですか?」

「ひきこもり? なのかな? 部屋から出たとこ見たことないんだよね」

「え、引っ越してきてからから一度も? でも、カツ丼は食べったって言ってましたよね?」

 少し前のめりになって、早口で言ってきました。

「夜中に食べているみたいで見たことはないんだ」

「ますます、あの家は謎ですね」

「え、どういう意味? 三井名ちゃん。あ、呼ばれちゃった」

 すごく気になりながらも先生に呼ばれたので、スタート位置につきます。

 その後も先生の手伝いやすれ違いで、昼休みをむかえてしまいました。

「そろそろ聞いてもいい三井名ちゃん?」

 うどんに一味をかけながら、向かいに座る三井名ちゃんに声をかけます。

「はい? 何か授業で分からないとこでもありましたか?」

「そうじゃなくて~」

 ホントに覚えてないらしく、キョトンとしている。

「どうしたんだ? 喧嘩か?」

 三井名ちゃんの横に座りながら、小鳥ちゃんが聞いてきます。

「喧嘩じゃないよ~。ほら、体育の時三井名ちゃんが言った、私の家がどうとか」

 そう言うと、ああといった表情を三井名ちゃんはして、手をたたきました。

「そうです。小鳥」

「おお、どうしたんだよ」

 三井名ちゃんの声に驚いて、小鳥ちゃんは手に持っていたスプーンをカレーの上に落としまいます。

「お化け屋敷です。調査しなきゃなんです」

「はぁ? おい、真里菜。この頭、お花畑が言ってくる事は気にしなくていいぞ」

 跳ねたたカレーを気にすることもなく、小鳥ちゃんはカレーを食べ進めました。

「え、え、どうすればいいの? ってか、お化け屋敷てなに」

「もう、聞いてよ小鳥。真里菜さんの家はあの、お化け屋敷なんです」

「だから……え? マジか?」

 小鳥ちゃんがカレーをすくうのを止めて、私の方を見てきます。

「いや、違う……よ?」

 私は、三井名ちゃんの方に視線を向けました。

「あのね、真里菜さん。真里菜さん今住んでる家はこの辺りでは有名な心霊スポットなの」

 三井名ちゃんが生き生きと言ってきます。

「ホント? 三井名ちゃん? 小鳥ちゃん?」

 不安になって二人の顔をうかがいました。

「「……」」

「何で目をそらすの?」

「まあ、あの家なら行ってみたいな。一度、幽霊と戦ってみてーし」

「私も調査したいです」

「え? 何、二人とも」

 目をそらしたかと思えば、今度は二人して私の方を見てきます。

「放課後、遊びに行っていいですか? 真里菜さん」

「え、うん。いいけど……お化け屋敷ってどういうことなの?」

「放課後、改めて教えてやるよ」

「え、小鳥ちゃんも来てくれるの?」

「行ったらダメなのかよ」

「ううん。ウエルカムだよ」

 お化け屋敷の事は気になったけど、友達を家に招くという私のひそかな夢がかなったことが嬉しくて、この場では聞かないことにしました。








評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ