7月1日
朝、目覚ましを止め二階から一回の洗面所に移動します。
「ふぁ~。何か入ってるかな?」
顔を洗ってあくびを一つして、リビングにある冷凍庫の中に期待し移動する。
「あ、お兄ちゃん。食べてくれたんだ。ちゃんと洗ってくれてる」
水切り台にどんぶりがあるのを見て、まじめな人なのかなと思う。
「よし、朝食は作るぞっと。…………何もない」
冷蔵庫の中はどの扉を開けても空で、新品のようにきれいだった。
「む~。どうしよ」
部屋の時計は七時を指していて、材料を買いに行く暇はない。
「コンビニで朝食を買ってもらうか……」
自分は我慢できるけど、兄がどうかは分からないので、声をかけに二階に移動する。
コンコン。
「お兄ちゃん、起きてる?」
ノックをして、声をかけるも返事がない。
「開けるよ?」
そう声をかけて、ドアに手をかける。
「あれ? あれ?」
ガチャガチャとノブを回すも、鍵がかかているらしく開かない。
「用心深いのかな? お兄ちゃん! 朝ですよ」
声をかけてみる。
「……」
やはり返事がない。
「私、もう出るからちゃんと起きてくださいね?」
そう声をかけて、自室に戻り制服に着替え学園に向かう。
・・・・・・・・・・
「あ、お早うございます。真里菜さん」
教室に入ると三井名ちゃんが声をかけてきた。
「おはよう、三井名ちゃん。昨日は、ありがとね」
「いえいえ、困ったときはお互い様です」
「うぅ、ありがと」
改めてそう言って、抱きつく。
「ふふ、真里菜さんって面白いですね」
「そ、そうかな?」
「ふふ、そうだ! 今日の放課後、開いてますか?」
楽しそうに目を細めて、そう聞いてきた。
「放課後? うん大丈夫だけど、どうしたの?」
「昨日いっていたように、町を案内しようと思います。どうでしょうか」
「あ、そうだった。でも、家の手伝いは大丈夫なの?」
「はい、お父さんからの提案なので、良ければ」
「うん、行く。ありがとね、三井名ちゃん」
話が決まったところでチャイムが鳴り、お互いに席に着く。
授業が進み気が付くと、昼休みになった。
「真里菜さん。お昼に行きましょう」
席を立とうとしたところで、三井名ちゃんが声をかけてくれる。
「うん。でも私、食堂だよ?」
三井名が弁当を持っていたので、食堂に移動していいか聞く。
「かまいませんよ? 昨日も食堂で見かけてましたから、そうだと思ってましたし」
「え、そうだったんだ」
「はい、そうなんですよ。それに友達も食堂で待ってますので、早く行きましょう。紹介します」
驚いている私の背中を押して、三井名ちゃんが食堂に向かう。
・・・・・・・・・・
「えーと。あ、お待たせしました。小鳥」
三井名ちゃんが食堂の中を見渡し、テーブルに置いたオムライスをじーと見つめている小さな女の子に声をかけました。
「おう、三井名。って誰だそいつ?」
「こちらは……」
「可愛いー! 私、真里菜っていうの。君は初等部の子かな?」
スプーン片手に三井名の声に笑顔を向ける様子が、あまりにも可愛くつい抱きしめてしまう。
「ば、ちげーよ。私は中学生だ! 放せ~」
「え、そうなの! 三井名ちゃんこのかわいい子が、言ってた友達なんだよね?」
女の子を離して、後ろにいる三井名ちゃんに声をかける。
「ふふ、そうですよ。高虎小鳥っていいます」
「可愛い言うな! 三井名、この失礼な奴は誰だ」
「昨日転校してきた、木下真里菜さんです」
「真里菜でいいよ」
私も改めて、挨拶をした。
「ふん、そうかよ。三井名。はよ食おうぜ」
嫌われてしまったのか、そっぽを向かれる。
「じゃ、私も買ってくるから食べてて」
そう言って、券売機の方に行く。
「うーん。嫌われたかな?」
ついつい、暴走してしまったことを反省する。
券売機に言いものを見つけ、それも購入した。
「お、お待たせ」
「真里菜さんはなにをかったんですか?」
「えっと、日替わり定食……あれ、食べてないの?」
「はい、小鳥の提案でふふ」
「ふん、皆で食べたほうがうまいだろ」
「ありがとう、小鳥ちゃん。そうだ二人とも、これ良ければ」
テーブルに買ってきた、プリンを置く。
「プリン~」
「あら、ありがとうございます」
「それとさっきはごめんね。えっと、小鳥ちゃん」
「うぇ、もういいよ。次から気を付けろよ」
プリンを見てよだれを垂らしていたのを、袖で拭いながらながらそう言ってくれる。
「さ、仲直りも済みましたし食べますか」
「うん」
「おう」
新しい友達もできて、楽しい昼食を過ごした。
・・・・・・・・・・
放課後、約束どうり三井名ちゃんに商店街などを案内してもらい、晩御飯の材料を買って帰宅する。
「さぁ、今日こそまともな料理を作るぞー」
キッチンで気合を入れて腕まくりをし、ハンバーグを作り始めた。
(今日こそは、お兄ちゃんとご飯食をべて褒めてもらうんだ)
まだ見ぬお兄ちゃんに思いをはせて、いつも以上に気合を入れる。
「およ? 何だろ?」
二階で何かが倒れるような音がしたので、火を止めて二階に移動した。
「お兄ちゃん……大丈夫?」
とりあえずお兄ちゃんにの部屋に声をかける。
「……」
返事がなく、静かだ。
「お兄ちゃん? もうすぐ御飯だよ?」
「……」
やはり返事がない。
仕方ないので、ご飯づくりに戻る。
「できたー」
少しして、完成したものを皿に盛りつけていく。
「こないな~。仕方ない、食べるか」
声をかけても出てくる様子がないので、テレビをつけて味噌汁に箸をつける。
見ている番組は、松潤がコメンテータを務めているバラエティー番組だ。
(松潤かっこいいな~。お兄ちゃんはどうなんだろ? 出てこないところを見て、引きこもりという人なんだろうけど、怖い人じゃなきゃいいな)
兄に対する期待を下方修正しておく。
「うん、上出来! そういえば明日も晴れるかな?」
ハンバーグの出来に満足し、天気予報のやっていそうなチャンネルに合わせる。
「あ、ローカルニュースだ」
転校が多いせいで、ローカル番組を見るのが趣味になっていた。
(今日の夕方、遺体で発見された園田誠一さん、園田美代さんは何度も刺された跡があり、恨みによる犯行が高いと警察はコメントしております。また息子の園田真也さんの遺体が発見されてない事から、捜索が急がれています)
(あれ、これすぐ近くの家だよね?)
ニュースを聞いて怖くなった私は、急いで御飯を食べ終え。
シャワーを浴びて、早めに寝ることにした。
もちろん、部屋の明かりはつけたまま。