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8月31日  作者: 狸寝入り
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7月1日

 朝、目覚ましを止め二階から一回の洗面所に移動します。

「ふぁ~。何か入ってるかな?」

 顔を洗ってあくびを一つして、リビングにある冷凍庫の中に期待し移動する。

「あ、お兄ちゃん。食べてくれたんだ。ちゃんと洗ってくれてる」

 水切り台にどんぶりがあるのを見て、まじめな人なのかなと思う。

「よし、朝食は作るぞっと。…………何もない」

 冷蔵庫の中はどの扉を開けても空で、新品のようにきれいだった。

「む~。どうしよ」

 部屋の時計は七時を指していて、材料を買いに行く暇はない。

「コンビニで朝食を買ってもらうか……」

 自分は我慢できるけど、兄がどうかは分からないので、声をかけに二階に移動する。

 コンコン。

「お兄ちゃん、起きてる?」

 ノックをして、声をかけるも返事がない。

「開けるよ?」

 そう声をかけて、ドアに手をかける。

「あれ? あれ?」

 ガチャガチャとノブを回すも、鍵がかかているらしく開かない。

「用心深いのかな? お兄ちゃん! 朝ですよ」

 声をかけてみる。

「……」

 やはり返事がない。

「私、もう出るからちゃんと起きてくださいね?」

 そう声をかけて、自室に戻り制服に着替え学園に向かう。


 ・・・・・・・・・・


「あ、お早うございます。真里菜さん」

 教室に入ると三井名ちゃんが声をかけてきた。

「おはよう、三井名ちゃん。昨日は、ありがとね」

「いえいえ、困ったときはお互い様です」

「うぅ、ありがと」

 改めてそう言って、抱きつく。

「ふふ、真里菜さんって面白いですね」

「そ、そうかな?」

「ふふ、そうだ! 今日の放課後、開いてますか?」

 楽しそうに目を細めて、そう聞いてきた。

「放課後? うん大丈夫だけど、どうしたの?」

「昨日いっていたように、町を案内しようと思います。どうでしょうか」

「あ、そうだった。でも、家の手伝いは大丈夫なの?」

「はい、お父さんからの提案なので、良ければ」

「うん、行く。ありがとね、三井名ちゃん」

 話が決まったところでチャイムが鳴り、お互いに席に着く。

 授業が進み気が付くと、昼休みになった。

「真里菜さん。お昼に行きましょう」

 席を立とうとしたところで、三井名ちゃんが声をかけてくれる。

「うん。でも私、食堂だよ?」

 三井名が弁当を持っていたので、食堂に移動していいか聞く。

「かまいませんよ? 昨日も食堂で見かけてましたから、そうだと思ってましたし」

「え、そうだったんだ」

「はい、そうなんですよ。それに友達も食堂で待ってますので、早く行きましょう。紹介します」

 驚いている私の背中を押して、三井名ちゃんが食堂に向かう。


 ・・・・・・・・・・


「えーと。あ、お待たせしました。小鳥ことり

 三井名ちゃんが食堂の中を見渡し、テーブルに置いたオムライスをじーと見つめている小さな女の子に声をかけました。

「おう、三井名。って誰だそいつ?」

「こちらは……」

「可愛いー! 私、真里菜っていうの。君は初等部の子かな?」

 スプーン片手に三井名の声に笑顔を向ける様子が、あまりにも可愛くつい抱きしめてしまう。

「ば、ちげーよ。私は中学生だ! 放せ~」

「え、そうなの! 三井名ちゃんこのかわいい子が、言ってた友達なんだよね?」

 女の子を離して、後ろにいる三井名ちゃんに声をかける。

「ふふ、そうですよ。高虎小鳥(たかとらことりっていいます」

「可愛い言うな! 三井名、この失礼な奴は誰だ」

「昨日転校してきた、木下真里菜さんです」

「真里菜でいいよ」

 私も改めて、挨拶をした。

「ふん、そうかよ。三井名。はよ食おうぜ」

 嫌われてしまったのか、そっぽを向かれる。

「じゃ、私も買ってくるから食べてて」

 そう言って、券売機の方に行く。

「うーん。嫌われたかな?」

 ついつい、暴走してしまったことを反省する。

 券売機に言いものを見つけ、それも購入した。

「お、お待たせ」

「真里菜さんはなにをかったんですか?」

「えっと、日替わり定食……あれ、食べてないの?」

「はい、小鳥の提案でふふ」

「ふん、皆で食べたほうがうまいだろ」

「ありがとう、小鳥ちゃん。そうだ二人とも、これ良ければ」

 テーブルに買ってきた、プリンを置く。

「プリン~」

「あら、ありがとうございます」

「それとさっきはごめんね。えっと、小鳥ちゃん」

「うぇ、もういいよ。次から気を付けろよ」

 プリンを見てよだれを垂らしていたのを、袖で拭いながらながらそう言ってくれる。

「さ、仲直りも済みましたし食べますか」

「うん」

「おう」

 新しい友達もできて、楽しい昼食を過ごした。


 ・・・・・・・・・・


 放課後、約束どうり三井名ちゃんに商店街などを案内してもらい、晩御飯の材料を買って帰宅する。

「さぁ、今日こそまともな料理を作るぞー」

 キッチンで気合を入れて腕まくりをし、ハンバーグを作り始めた。

(今日こそは、お兄ちゃんとご飯食をべて褒めてもらうんだ)

 まだ見ぬお兄ちゃんに思いをはせて、いつも以上に気合を入れる。

「およ? 何だろ?」

 二階で何かが倒れるような音がしたので、火を止めて二階に移動した。

「お兄ちゃん……大丈夫?」

 とりあえずお兄ちゃんにの部屋に声をかける。

「……」

 返事がなく、静かだ。

「お兄ちゃん? もうすぐ御飯だよ?」

「……」

 やはり返事がない。

 仕方ないので、ご飯づくりに戻る。

「できたー」

 少しして、完成したものを皿に盛りつけていく。

「こないな~。仕方ない、食べるか」

 声をかけても出てくる様子がないので、テレビをつけて味噌汁に箸をつける。

 見ている番組は、松潤がコメンテータを務めているバラエティー番組だ。

(松潤かっこいいな~。お兄ちゃんはどうなんだろ? 出てこないところを見て、引きこもりという人なんだろうけど、怖い人じゃなきゃいいな)

 兄に対する期待を下方修正しておく。

「うん、上出来! そういえば明日も晴れるかな?」

 ハンバーグの出来に満足し、天気予報のやっていそうなチャンネルに合わせる。

「あ、ローカルニュースだ」

 転校が多いせいで、ローカル番組を見るのが趣味になっていた。

(今日の夕方、遺体で発見された園田誠一そのだせいいちさん、園田美代そのだみよさんは何度も刺された跡があり、恨みによる犯行が高いと警察はコメントしております。また息子の園田真也そのだしんやさんの遺体が発見されてない事から、捜索が急がれています)

(あれ、これすぐ近くの家だよね?)

 ニュースを聞いて怖くなった私は、急いで御飯を食べ終え。

 シャワーを浴びて、早めに寝ることにした。

 もちろん、部屋の明かりはつけたまま。










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