5.戦い方。
ここまで5章。
次回はようやく、初めての戦闘かな。
廃墟の外に出ると、凪咲が待っていた。
俺のことを認めると帰り支度を始め、こう口にする。
「戦うのか?」
「……あぁ」
短く答えると、彼女はどこか残念そうに息をついた。
もしかしたら凪咲は、俺がナイトメアという魔物と戦うのは反対だったのかもしれない。カトレアも言っていたが、いつ命を落としてもおかしくない、とのこと。
それを聞いて多少、肝は冷えたが決意は変わらなかった。
それでも、この悪友は心配だろう。
だから最大限の笑顔で言った。
「ありがとな、凪咲」
感謝の言葉を。
すると不意を突かれたためか、彼女は急に顔を真っ赤にした。
「な、なななななな!? アタシはお前なんて、心配してにゃい!!」
「それなら、そういうことで良いよ」
「う、うぐぅ……!」
思わず俺が笑うと、どこか不満げな表情を浮かべる凪咲。
しかしすぐに、こう言うのだった。
「でも、本当に危険だからな。危ないと思ったら、アタシに任せろ」
「……あぁ、分かった」
短く答えて、俺は夜空を見上げる。
あまりの急展開だけど、どこかでこうなると分かっていた気がした。とりあえず今は、前を向こう。そして、必ず――。
「先輩を、助けるんだ」
◆
その日の夢は、やけに身体に馴染むような感覚があった。
「あらよ、っと!」
俺は走りながら、銃口を的に目がけて向ける。
そして狙い過たず撃ち抜いた。一度や二度ではなく、何度となく。
ここは俺たちのチームが各々の腕を磨くため、設置された訓練場だった。俺は相方の銃を仕舞ってから、一息つく。
今日はこれで十分だろう。
そう思い、訓練場の一室から出ようとした。その時だ。
「…………ん、もしかして凪咲か?」
「ひうっ!」
俺が声をかけると、そこには一人の少女がいた。
学友であり、最近このチームに加わった立花凪咲だ。彼女はオドオドとしながら、俺の方をちらりと見てくる。
首を傾げていると彼女は突然に声を張り上げた。
「あの、拓馬くん! アタシに――銃の使い方、教えてくれないかな!!」
そして、深々と一礼。
俺は少々呆気にとられたが、すぐに笑った。
「そんな肩肘張るなよ、同級生だろ?」
「で、でも……。ここでは、先輩だし」
「関係ない、っての。ほら、こっちこいよ」
「あ、うん……!」
凪咲に手招きをして、もう一度訓練場の中に入る。
「よ、よろしくお願いします! ――先輩!」
練習用の銃を渡す。
すると少女は嬉しそうに、そう言った。
「よし、それじゃ。まずは――」
そうして、俺は戦い方のイロハを一から教えていく。
その日からしばらく、俺と凪咲は師弟関係にあったのだった。
◆
目を覚まして、内容をノートにメモする。
ついでといってはなんだが、夢の中の俺が凪咲に教えていた内容を、できるだけ事細かに。そしてすぐに反復練習するように、その場で基礎的な動きを確認した。
「まさか、本当に夢みたいになっていくなんてな」
その動きをいったん止めて、俺は気恥ずかしくなり頬を掻く。
しかし、すぐに気持ちを引き締めるのだった。
「でも、これは現実なんだ」――と。
いいや。いっそのこと、嘘でも本当でもどちらでも良い。
いまは一つのことを考えるのだ。
「絶対に助けます、朝倉先輩……!」
朝日を浴びようとカーテンを開けて、目を細める。
現在の俺にとっての初陣。その日はとてもよく、晴れていた。
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