優しいアーシャさん
「ただいま、アーシャ。この子、異世界から来たルカっていうんだ。
カイルも懐いてるし、これから一緒に暮らすから部屋を用意してやってくれ」
「異世界から来たの? かわいいわね~。 これからよろしくね♪」
アーシャさんは、嫌な顔ひとつせずに初対面の私を迎え入れてくれた。
なんて良い人なんだろう。
春の陽だまりのような暖かい雰囲気の、可愛いらしい女性。薄ピンクのワンピースが似合ってる。
異世界は早婚なのか、レオンさんもアーシャさんも十代後半に見える。
そういえば、リトル爺ちゃんは超晩婚だったな。
「ルカ、まず風呂に入るぞ。こっちだ」
レオンさんは、土ぼこりの私と小虎ちゃんを洗ってくれる気でいるのかな?
この世界のお風呂の使い方も教えてくれるつもりなのかも?
小虎ちゃんも、早く行こうよ!みたいな目で私を見てるけど。
いやいや、やっぱりいかんでしょ!
「レオンさん! 私、ここの野菜や果物の畑が素敵なので見学してきたいです!」
なぜか、右手を上げて宣言する私。選手宣誓みたいだよ。
「ルカちゃん。食べ頃の果物がいろいろなってるから、好きな果物をもいでいらっしゃい♪ 後で、私がお風呂の使い方を教えてあげるからね」
アーシャさん、優しい~♪
助け舟に甘えて、ルカはどんぶらこと畑へ行ってきます!
「ありがとう、アーシャさん!」
私が畑に向かって駆け出すと、後ろでアーシャさんの声が小さく聞こえた。
「ルカちゃんは小さくても女の子なんだから、ひとりで入りたいのよ。レオンったら、デリカシーに欠けるわよ」
アーシャさんが気遣いのできる良い人でよかった♪
広い畑、雲一つない青い空、美味しい空気。
気持ちよくて、うれしくて、走り回ってしまう。
気付けば、後ろからニワトリさんたちがついてきていた。
「ニワトリさん! これからここにお世話になるルカです。よろしくね♪」
「よろしくしてやるぜ! 俺は鶏助。妻の鶏子に、子供のピヨ吉、ピヨ助、ピヨ郎、ピヨ美、ピヨ子だ」
ちょっとツッパリ系?の鶏助さんに、おとなしそうな鶏子さん。
子供たちは、ほとんど見分けがつきません♪