レオンさんと小虎と美女
「よかったねぇ。リトル爺さんには私から言っといてあげるから、レオンについて行きな」
レインボーモヒカン孔雀さんがうんうんと頷きながら揺れる。
「ありがとう、レインボーさん。じゃあ、おじいちゃんがここに来たら、レオンさんのお家にお世話になります、いろいろありがとうございましたって、伝えておいてくれますか?」
「わかったよ♪」
「また、この泉に来たら、レインボーさんに会えますか?」
「もちろんだよ♪ 私の友達をたくさん紹介してあげるよ」
わぁ、楽しみだなぁ。
金毛の小虎がじっと私を見つめながら、私に向かって手を伸ばしてる。
「ん? ルカに抱っこしてほしいのか? カイル」
カイルっていうんだ~。可愛いぬいぐるみみたいなモフモフの小虎ちゃん。
カイルに向かって腕を広げてみる。
「大丈夫か? カイルはこう見えて、けっこう重いぞ?」
「大丈夫です。おいで、カイル」
レオンさんから慎重に受け取ったカイルは、ふわふわのもふもふ。異世界の小虎は、毛並みも良くて手触りも最高。
でも6歳の私には重すぎたみたい。気づけば、カイルに押し倒されるような体勢に。
太いあんよで私を押さえているカイル。
ぷにぷにの肉球の感触に萌えていたら、かわいい小虎の顔が近づいてきて頬をなめてくれた。
至福。
感動。
小虎、最高♪
そっと、小虎の背中に手を回し、抱きしめてみる。
ふわふわで気持ちいい~♪ このなめらかな肌触りはやみつきになりそう~♪
「こんな野外で土まみれになって抱き合うなよ。これから、毎日、部屋ですればいいだろう?」
レオンさんが笑ってる。
これから毎日、こんな至福な時間が私を待っているの?
そんな贅沢していいのかな?
すごいイケメンのお父さんは眼福だし。
いまだかつてない状況になっております!
「じゃあ、そろそろ行くか。帰ったらすぐに風呂だ」
小虎と私を抱き起し、服についた土ぼこりを払ってくれるイケメン父。
お風呂って、え~っと…、6歳って、お父さんと一緒にお風呂に入る歳だっけ…?
いやいや、いかん!
私は頭は(ちょっとおバカな)大人、体は子供なのだから、イケメン父と風呂に入ってはいけないのだ!
そんな美しいものを見てはいけない!
「何、妄想してんだ。早く帰るぞ」
笑いながら小虎を抱いて歩き出すレオンさん。
たいした妄想してないのに、妄想確定してるし~。
少し歩いた所に、レオンさんの家はあった。
木造の大きなお屋敷。ログハウスを豪華にしたみたいな、ぬくもりを感じる建物だ。
よく見ると、この家に使われている木が生きているみたいに瑞々しい。
生きた家って感じ。
家の周りには、たくさんの野菜や果物が実っていた。
こんなに多種類の野菜や果物が成っていたら、自給自足できるんだろうなぁ。
ニワトリのような鳥たちが走ってる。
産みたて卵とか食べれるのかなぁ。
畑や鶏に見とれていたら、家のドアが開き、
「おかえりなさい、レオン、カイル!」
ロングストレートブロンドの美女が笑顔で出迎えてくれた。