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MASKULL.K  作者: ホーリン・ホーク
2/15

2.ネオ・ナピス

挿絵(By みてみん)



 地下基地に帰還する四体のマスカルズ。

 うち瀕死のデスパイダーは巨漢ブライノスに担がれている。

 組織の統括ジェネラル・ガイセルはデスパイダーの損傷を見る。

「……やはり敵対するか……K」



 かつて手練れの者を向かわせたがその捕獲に失敗した。

 ガイセルは蝙蝠(コウモリ)改造人間(マスカルズ)バルトの目に映した解析データを見つめる。


 Kが発動するブラストハンド=分子破砕線の威力は四十八年前の開発時レベルを凌駕していた。


「それこそ我々マスカルズが成長する存在だという証」とマッド・マンティスが鎌状の手を舐める。

 犀型のブライノスも頷く。

「確かに。我々は元より人間。全くの操り人形……ロボットではない」そして

「この哀れな蜘蛛男は旧式でKの認識が遅れた」と言い、デスパイダーを肩から下ろした。



 ガイセルはその銀の鎧を煌めかせ、壇上に上る。

 パネルにタッチすると虹色の未来都市が巨大スクリーンに浮かんだ。


「見よ。この均整のとれた統治国家の眺望を。我々は貪欲で脆弱な人類より進化した。満を持してこの現世を征する。始祖リガル・ナピスの意志〝ネオ・ブレイン〟が醜く歪んだ世を粛正するのだ!」



 エルドランド国軍の武器弾薬兵器を秘密裏に開発していたナピス・ファミリーは一九六四年に壊滅した。

 だが組織の残党が〝ネオ・ナピス〟を結成、人体改造による強化人間マスカルズを引き続き生み出していた。

 統制コンピューター・ネオ・ブレインのもと、やがて彼らは世界征服を掲げた……。



挿絵(By みてみん)



 一方、そこはプリテンディアの町外れの古ぼけた一軒家。午前十時。

 ショーン・オノデラはテレビで街の惨状と死傷者数を見ていた。

 目をこすりながら昨日の事実を回想する。

 助けてくれた若者のことを思う。

 怪物たちのことも。だが、それを収めたカメラはここにはない。



 ふと、玄関のチャイムが鳴る。

 気だるく出るとそこに立っていたのはあの若者だった。()()()()()の、人間の姿で。

 ショーンは震えながら頭を下げた。

「あ、あんた……き、昨日は、ありがとう」

 百八十センチのすらりとした飾り気のない青年。

 整った顔の青い目で柔和な笑みを浮かべる。


「無事でよかった」

「どうして、何故ここがわかったんだい?」

「一度触れたらその生体の波動を覚える。落とし物を届けに来た」

「え? 落とし物?」


 彼はショーンの一眼レフカメラを手渡した。

 そして「僕はケイだ」と名のった。

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