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MASKULL.K  作者: ホーリン・ホーク
11/15

11.逆襲のガイセル

挿絵(By みてみん)



 一直線に爆音を轟かせながらKは空を翔る。

 その青い目の点滅は正面真っ向から迫るマスカルズを感知した。


 黒い鯨のような飛行戦艦ドランホエイル、そしてその長大な背に砲台の如く立つのはオックスキャノン。猛る雄牛が嘶く。


『K! 散々仲間を()りやがって! 俺は許さんぞ、何が生け捕りだ! ブッ潰してやる!』


 オックスキャノンの肩、胸、腕からの一斉砲撃。

 Kが前傾し深く身を沈めると、メタルブロウのボディが展開し、その白い装甲がKのほぼ全身を覆った。


 青白い光の塊となったKがミサイルを粉砕してゆく。

 両者は交差し方向転換する。

 ドランホエイルからついに発射されるレールガン。

 しかしそれでも巨大に渦巻く分子破砕線=Kには通用しなかった。


 灰と化し、地に散ってゆくオックスとホエイル。

 Kの装甲はパタパタと解かれ、元の姿に戻された。

 宙を揺れ落ちる灰を背に、Kはただ真っ直ぐにナピス基地を目指した。



 ****



 女戦士ジャガールが目指すのはナピス基地のメインアソシエーションルーム。

 大小のモニターとランプの光が照明を兼ねる大広間。

 待ち受けるロボット兵、マスカルズ数体、脳以外は機械化された蜘蛛男・デスパイダーを殲滅し、彼女はそこへたどり着いた。


 白煙に包まれた巨大なスクリーン中央の玉座に誰かが座っている。

 彼は声を低く響かせ言った。

「ようこそ、麗しきジャガール。ならびにデモリス……いや、Dr.フォレストンよ」


 ジャガールの左肩、デモリスヘッドが宙に浮く。

 玉座の男は立ち上がり、闇からゆっくり顔を露わにした。

 デモリスヘッドの動きが止まった。

 男はあざけり言い放った。

「フフ……ハハハ! さすがに驚いたか、フォレストン! そう、俺は貴様の息子のリュウだ!」


 広間に響き渡る。

 デモリスヘッドは静止したまま。


「わかっているぞフォレストン! 貴様は自ら、脳をその中に移植した! 我らが神ネオ・ブレインは先の戦いでデモリスの動き、仕草からそれはフォレストンと同一だと割り出した。貴様はいつしか老衰した身体を捨て、デモリスそのものになったのだ」


『……そんなところだ。だがお前はリュウではない。顔をコピーしただけで何もかもが違う』


 リュウの顔を持つ男の脳にデモリスヘッド=フォレストンは語りかける。


『私は首から下を失くした代わりに未知の力を得た。脳波で全て聞こえる。お前の名はゼブラス。ネオ・ブレインがお前をそう呼び、指図している。この私を殺せと。……元はDr.キラムだったはずが、今は縞馬の皮を被るか?』

 

 偽のリュウ=ゼブラスはみしみしと鎧を軋ませた。

『貴様に余興は通じぬか。では直ちに殺すのみ』


 顔が裂け、男は縞模様の鉄面をさらけ出した。

 大型の剣を抜き、剣先をフォレストンに向けた。

『この裏切り者めが!』





 フォレストンはジャガールを意のままに操った。

 剣を振り回すゼブラスに早くも焦りが。


 ――か、体が重い! ……奴の念動力(サイコキネシス)! ジャガールの基本スペックなど儂よりはるかに下回るはず……なのに。


 高周波クローがゼブラスの胴をかすめる。

 フォレストンの朱色に光る目が冷酷に見つめている。

 奴を抑えねばと、ゼブラスはジャガールの攻撃を辛くも躱しながら、念じた。


『聞こえるかフォレストン! ……一つ教えてやろう。先ほどの復元された〝リュウの顔〟は本人の皮膚細胞から移植されたもの。そう、貴様の息子はまだ生きているのだ。あの時ドラグナイトに改造され、失敗したが死んではいなかったということだ』


 その瞬間ジャガールの動きが止まった。

 ゼブラスの呼びかける念波にフォレストンは動揺した。

 その隙をつき、ゼブラスはジャガールに斬りかかった!



 ****



 メタルブロウの導きで、Kはついにネオ・ナピス基地に降り立った。

 そこは北東部の、断崖と一体になった広大な機械の要塞だ。


 臆せず、アクセル全開に突き進む。

 鋼鉄の床と壁と階段を自在に駆る。その惨状を尻目に。

「ロボット兵の残骸……戦闘の痕跡。どういうことだ?」



 突き進むKの前に現れる、銀の鎧を纏う男。

 ギラリと光る抑圧に、Kは停まった。

 歩み寄る男、それはガイセルだ。



挿絵(By みてみん)

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