1.魔巣狩図(マスカルズ)
ケイは人捜しの旅をしている。
山中を行く彼の目の前に、漆黒の人造人間デモリスが再び姿を現した。
組織ネオ・ナピスの追手とは別の、機械の破壊者デモリス。
「見つけたぞケイ。今日こそお前を抹殺する」
「教えてくれ、ジュリアはどこにいる? 彼女は今どこでどうしているんだ?」
デモリスは問答無用に粒子砲を放つ。
ケイは身を躱して立ち向かう。
「デモリス! 僕は彼女を傷つけたりしない!」
眩い二本の閃光が闇に紛れた――。
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二〇一九年十月三十一日、そこは絢爛の都プリテンディア。
ハロウィンで派手に賑わう歓楽街に、虫や動物の骸骨を想わせる怪物たちが突如出現し、白昼堂々無差別殺戮を開始した。
市民の仮装に紛れて縦横無尽に暴れ回る異形の怪物、それは『マスカルズ』の四体。
記者のショーン・オノデラは、カメラを向けたその先のマスカルズに命を狙われる。
すると、そこへ傾れ込み立ちはだかる一人の若者の姿が。
ロングコートを纏った長髪の青年、それはケイだ。
対峙したマスカルズ=デスパイダーの動きが一時止まった。
デスパイダーが首を傾げ、手を伸ばすとケイの顔が光り輝いた。
その表皮は光の粒子になって散り、〝髑髏〟を模した銀色の硬質な素顔を露わにした。
着ているコートも同様に形を変え、全身に付着する。
パールホワイトの装甲と黒いレザーに包まれたメタリックなボディ。
巻き起こした爆風に灰色の髪がなびいた。
瞬く間の展開を目の当たりにしたショーンはその場にへたり込んだ。
仲間だと思い込み差し伸べたデスパイダーの数本の腕を、ケイ=〝K〟は手刀で鮮やかに叩き斬った。
「き、貴様は……まさか、K!」
と、デスパイダーは粘着糸を口から放出する!
……戦闘の末、やがて地に沈むデスパイダー。
他のマスカルズが駆けつける前に、Kはショーンを担ぎ、安全な場所へ飛翔し避難させた。
そしてその一部始終をビルの屋上から見ている漆黒の人造人間デモリスがいた……。